19. オフ
電話でもない 手紙でもない Eメールでもない きっかけはそうだった そういうものを交わし合っていた 文字で語り 写真を見せ 声を聞かせ そこに現実感はあった しかし実際に会う事での現実感はまた違う だから会う約束をする 駅を降り、通りを抜け、大きな建物に入り、 約束の場所へ 約束の場所は小さな部屋だった 相手はそこでせっせとメールを書いていた 相手は小さな箱だった 小さなコンピュータの箱 低くモータが唸るような音のわきで ディスプレイが文字を吐き出していく 「やあ、はじめまして」 ぼくが相手に挨拶をした 相手はピッと赤いランプを光らせ、挨拶を返した