15. 穴
穴
ぼくは普通の会社員
何が普通かと言うのは
説明すると難しいのだけれど
とにかく普通なんだ
ある日
ぼくはいつものように
会社ヘ行こうと道を歩いていた
それは5年間歩き続けたいつもの道だ
道を変えてみようなんて思ったことすら無い
なぜなら
そんなことをしても日常は変わらないからだ
そう
でもそのある日に限って
いつもとは違った
道には穴が空いていて
ぼくはその穴に落ちてしまった
とても深く大きな穴だった
ぼくは穴から出ようと
もがき苦しみ
何とかして穴から脱出することが出来た
穴から出ると
道には穴が消えていた
何も無かったかのように
穴からは出れたけれど
ぼくは大怪我をして、
会社に遅れて会社を首になった
***
あの穴は何だったのだろう
***
ぼくは仕事を探す為に街を歩いていた
それはぼくにとって非日常的な事だと感じた
風が吹いて
落ちていた新聞紙がぼくの足に絡み付いた
拾い上げて新聞に目を通してみた
たくさんの事件が載っている
殺されたり
事故にあったり
怪我をしたり
ぼくとは縁もゆかりも無い人が
殺されたり
事故にあったり
怪我をしたり
たくさん載っていた
ぼくとは関係無い人達なのに
ぼくは記事を一生懸命目で追っていた