15. 穴 

1999.11.21

ぼくは普通の会社員

何が普通かと言うのは

説明すると難しいのだけれど

とにかく普通なんだ

ある日

ぼくはいつものように

会社ヘ行こうと道を歩いていた

それは5年間歩き続けたいつもの道だ

道を変えてみようなんて思ったことすら無い

なぜなら

そんなことをしても日常は変わらないからだ

そう

でもそのある日に限って

いつもとは違った

道には穴が空いていて

ぼくはその穴に落ちてしまった

とても深く大きな穴だった

ぼくは穴から出ようと

もがき苦しみ

何とかして穴から脱出することが出来た

穴から出ると

道には穴が消えていた

何も無かったかのように

穴からは出れたけれど

ぼくは大怪我をして、

会社に遅れて会社を首になった

***

あの穴は何だったのだろう

***

ぼくは仕事を探す為に街を歩いていた

それはぼくにとって非日常的な事だと感じた

風が吹いて

落ちていた新聞紙がぼくの足に絡み付いた

拾い上げて新聞に目を通してみた

たくさんの事件が載っている

殺されたり

事故にあったり

怪我をしたり

ぼくとは縁もゆかりも無い人が

殺されたり

事故にあったり

怪我をしたり

たくさん載っていた

ぼくとは関係無い人達なのに

ぼくは記事を一生懸命目で追っていた


<過去の記述> Introduction/ものがたりについて/message/FRANCESCO / I HATE YOU / 赤い糸 / 存在と価値 / 鏡の中の自分 / パンドラの箱 / 神の手 / お墓に入ったかわいそうな子供 / 目に見えないもの / 

*** ホームへ戻る ***