13. お墓に入ったかわいそうな子供
「ものがたり」からの抜粋 むかしむかしあるところに、とても心が純真な子供がいました。 子供の父親と母親はとても優しく正直者で村のなかでは評判の良い両親でしたが、 子供が10歳になる前に二人とも病気で亡くなってしまいました。 子供を育てる親戚や兄弟が他にいなかった為に、村の役人は子供を村で一番の金持 ちの家に預けることにしました。 子供は役人に言われるままに、お金持ちの家に訪ねていきました。 お金持ちの家の主人と奥方はとても裕福でしたが、心は貧しく意地悪でとてもけち でした。 役人の言いつけの為にしぶしぶ子供を預かることを承諾しましたが、内心ではとん でもないことだと思っていました。こんな子供の為に金を使うなんて、金をどぶに 捨てるもんだと思ってました。 金持ちの主人は訪ねて来た子供を家の裏にある物置きに入って生活するように指示 し、食事はいっさい与えませんでした。 お腹の減った子供は物置きの近くに生えている雑草や昆虫を食べて過ごしていました。 ときどきは主人や奥方の残飯を台所付近のゴミ捨て場で見つけることが出来、子供は それを食べることは許されました。 子供は何とかものを食べているおかげで痩せ細りながらも元気に過ごしていました。 金持ちの主人は子供が意外にも元気に過ごしているのを見て、ただ物置きに置いてお くのは勿体無いと考えました。 主人は子供に朝から晩まで庭仕事や家畜の世話をさせました。 食べるものもあまり食べず、一日中働いているので子供はとうとうふらふらになって しまいました。 子供がふらふらになっているのを近所の人が見つけ、近所の人は役人にこのことを伝 えました。 役人はかんかんに怒って金持ちの主人に文句を言いました。 「こんど子供をこのように扱ったら全部財産を没収して、お前達は一生牢や行きだ。」 金持ちの主人は平謝りに謝って、すっとんで家に帰りました。 家に帰ると子供を呼び寄せ、腹立ちまぎれに子供を殴りました。 子供をちゃんと面倒見るくらいなら殺してしまった方がましだ、と金持ちの主人は考え ました。 子供は病気で寝てることにして墓の中にこっそり入れてしまえ、と金持ちの主人は考え ました。 その日の夜、金持ちの主人は子供を連れて墓場ヘ行き、子供に墓を入れる穴を作らせま した。 小さな穴が出来上がると子供用の棺桶をそこに置き、子供に中に入るよう命じました。 子供は中に入りました。 金持ちの主人は棺桶に土をかけ、完全に埋まってしまうとそのまま家に帰ってしまいま した。 しばらくしてお腹の減った子供は外に出ようと棺桶の蓋を押しましたが上に土が掛かっ ているために蓋を押し上げることが出来ませんでした。仕方なく子供はそのまま寝ました。 次の日、目が覚めた子供は再び棺桶の蓋を押し上げましたが、やはりなりませんでした。 その次の日も目が覚めた子供は再び棺桶の蓋を押し上げましたが、やはりなりませんでし た。 お腹の減った子供は困り果て、何とか外に出れないものかと考え、棺桶のあちこちを押し てみました。 すると棺桶の頭の上の部分が開いたので子供はそこから外に出ました。 そこは小さな穴が開いていてトンネルになってました。きっときつねかウサギの穴だろう と子供は思いました。 子供はそのトンネルを通って地上に出ました。 子供は金持ちの主人の家に戻りました。 そこでいつもと同じように朝に主人に挨拶をして庭仕事をして家畜の世話をしました、、、 金持ちの主人は子供を墓に入れてから何日かして変な夢を見るようになりました。 それはあの墓に入れた子供が朝に主人に挨拶をして庭仕事をして家畜の世話をする夢でした。 その夢は毎日続きました。その度に金持ちの主人は胸を締め付けられ、うなされるようにな りました。 耐えかねた金持ちの主人は墓場へと戻り、子供が入っている棺桶を開けてみました。 そこには子供はいませんでした。棺桶の頭の上の部分の板が壊れていました。 金持ちの主人は辺りを必死に探しましたがついに子供は見つかりませんでした。 金持ちの主人は死ぬまでその夢を見続け、うなされ続けました。