かろうじて、これまでの人生が走馬灯のように駆け巡ることはなかったが、なんだか微妙に自分の将来の姿を垣間見ている気がしないでもない。
もちろん、すでに幹事としての立場なんぞ、とうの昔にきれいさっぱり忘れている。
ついでに言えばバーベキュー大会のレポートだというのに、肝心なバーベキューを焼いているところの写真も撮り忘れた。
ま、とりあえずは美味しくて楽しい一日だったということで。。。
よる湿気で、蒸し風呂状態の暑さがじっとりと肌にまとわりついてくる。
これでは本当に煮沸されかねない勢いだ。
美味しいバーベキューで満腹になり、立ちのぼる水蒸気とともに魂までもが吸い上げられていくようでなんだか意識も朦朧としてきた(眠くなってきたとも言う)。
すでに早々と電池切れになり「抱っこ〜」とせがむブレ&ホーを膝に乗せ、ドッグラン内のベンチでボーっとしている私のその姿は、あたかも黄昏たジイさんそのもの。
生ぬるくなったペプシを片手に、時おり思い出したようにタバコをふかし、おいおいここは養老院か? みたいな。。。

抜けるのは不可能に思えるので、オーナーさんがノーマークだったのも無理からぬこと。
これは確かに干物のようなイタグレだからこそ可能な、ある意味において特技とも言える珍芸当、専売特許に他なるまい。イタグレげにおそるべし。。。

それにしても暑い!
前回の撮影会兼下見の時にはまるで砂漠にでも放り込まれたかのような、飼い主までもが干物になりそうな乾いた暑さだったが、今回は気温の上昇とともに土壌から吸い上げられる雨水に
ズらしい)」とも口走っていた。
気になっていたものの、等間隔に巡らせた横板と横板の隙間を乱すのが美的感覚的に許せなくて(?)、今まで塞がずにいたのだとの説明。
しかしながら、最初は確かに綺麗に等間隔になっていたかも知れない隙間は、風雨による木の膨縮を繰り返したためか(??)、その時点で見る限りでは美的並列もへったくれもなくなっていた。
だからこそ『脱走可の穴場』として犬たちに目をつけられたわけだし。
とはいえ一般的な概念からすると隙間をすり抜けられそうな小型犬には届かない場所にその穴場は存在していたし、届くサイズの犬となると今度は身幅から言ってそこをすり
かくして隙間は無事に横板で塞がれ、ここからの脱出は不可能となった。だがしかし、実はホームズはもう一箇所、別の場所からもにょろりと脱出していたのだった。
そこもお願いして塞いでいただく。オーナーさんは気持ち良く「気になるところがあったらどんどん言ってくださいね。そうやって皆さんの意見を参考にしていきますので」と言ってすぐに作業に取りかかってくださる。
さらに「いや〜、(隙間が)気になってはいたんですけどね〜(←どうやらお得意のフレー
いつまでたっても戻ってこないオーナーさん。
ちょうどお昼時だったため、先に食事をしてから修理に取り掛かるのだろうと、交代で監視しつつ、隙間から顔を出している犬を引っぺがしつつ、オーナーさんが再び現われるのを今か今かと待ち続ける。
だが待てど暮らせどオーナーさんは戻ってこない。
そして2時間近くは経過したと思われる頃、「いや〜、忘れてましたよ」と。。。
ナイスなオチ、ありがとう(‐‐#
いやいや、それでも某Sに比べればマッハのごとき迅速さであろう。
そんな我々の騒ぎを見ていた双眸が、またしてもあった。言わずと知れたオーナーさん。
「こりゃ〜塞がないといけませんね」と、どこかへ消えていく。さすが対応が素早い。
やれやれ、これでひと安心……などと思ったのも束の間、
輝かしいデビュー戦のブルーマウンテンでは柵に挟まり、すいらんではサナっちさんに見つかって御用となり、ついにここ松之郷でウナギのように横板と横板の間をすり抜けた。
そんなに脱出(脱走)が好きならば、プリンセス・テンコーの弟子にでもなれ! みたいな。。。
まったく捕獲できたから良かったものの、このまま行方不明になってしまったり、車に轢かれでもしたらと考えると生きた心地がしない。
本当に親の心子知らずである。
さらにこういったことはすぐに模倣犯が出現する。
ホームズが抜け出した板と板の隙間に、「こいつはイケる!」と外に出たい組(正確には飼い主の元に行きたい組)がわらわらと集ってきて顔を突き出す。
良い事というのは見習わないくせに、悪いことはすぐ真似したがるのだから、犬の世界もご都合主義なことこのうえない。
とはいえ第2第3の脱走者が出てはかなわないので、板と板の隙間が特に広くなっているところ(ホームズが脱走したところ)に椅子でバリケードを作り監視員を置く。
とはいえ何をして良いのやらも分からず、匂いを嗅ぎつけてやってきた蝿を追い払うという、本筋とはあまり関係の無いシンプルかつ不毛な行動に出る私。
そこへオーナーさんの奥様が瓜のお新香(自家製)を差し入れてくださった。
こういうアットホームな雰囲気の良さというのは、やはり個人経営ならではだろう。

ところで我が家の腰抜けコンビたちだが、飼い主がドッグランから出て行こうものなら、柵越しにどこまでも後を追ってくる。
そして自分たちで呼んだくせに「まったくホームズは油断も隙もないんだから〜」と、いかにも理不尽な小言を垂れる。
だがホームズに関して「油断も隙もない」のは事実。何しろこれまでにオフ会の会場として使用した3箇所のドッグラン全てで、脱走に無駄な労力を費やしているのだから。
他の子たちにしたところで大なり小なり似たようなものではあるが、その態度を家にいる時も示してみろよと言いたくなるほどのご立派な忠誠心だ。
特にホームズは変なところに知恵が回るというか、チャレンジ精神旺盛なので要注意。
この時も後脚立ちで柵の隙間から頭と前脚を出し、訴えるような目つきでこちらを覗いていたホームズをバーベキューコーナーでYOKOさんと見ながら、「おっ、かわいいじゃん。写真撮らなくちゃ」などと笑いながら話していて(←この時点ではまだ余裕)YOKOさんがホームズをカメラ目線にするために「ホームズ〜」と呼んだ次の瞬間だった。
抜けたよ柵を。にょろりとな。
慌ててホームズを捕獲しに走り寄る私(←すでに余裕の態度は跡形もなく吹き飛んだ)。
柵越えの決定的瞬間
(写真提供 YOKOさん)
満面でビビる私を尻目に「誰か焼くの得意な人〜」と、さっさと参加者の中から焼き手を募る。
ここで名乗りをあげてくれたのが孔明ママさんと、孔明ママさんのお友だち。2枚の鉄板に油を引き、てきぱきと作業を進めていく。
す、素晴らしいっ!!
などと感心している場合ではない。
腐っても幹事は幹事、二人が働くのをただボーっと
眺めているだけというのはやはり状況的にマズかろう。
てなわけで、ひとまず手伝っているようなフリだけでもしよう。

参加者の面子もほぼ揃い、お腹の虫もそろそろ鳴り出したとなれば、やることはひとつ。
そう、食材を焼き始めるのだ。そして幹事たるもの、率先してその業務に携わるのが世の慣わし、自然の摂理ではあるまいか。
遠路はるばるやっとのことで東金駅に到着したUさん(3時間以上かかったらしい)を迎えに行くYOKOさんのぶんまで、その大役(というほどのものでもない)を立派に務め……
られるわけがない。この私に。
だがそこはYOKOさん、さすがに心得たものである。

る見識は著しく偏っているらしい。

そんなどうでも良い見識はさておき、YOKOさんが電車組の参加者の皆さんを乗せて戻ってくるのと前後して、マイカー組の参加者の皆さんも続々と到着してきた。
人間も犬たちもいよいよ賑やかになり、当初の心配もどこ吹く風。雨はすっかり止んだし、今回もまたまた楽しいバーベキュー大会になりそうだ。
やはり日頃から善行は積んでおくに限る。ちなみに積んでいるのはもちろん私ではナイ。

すなわち、このさい焼けるものは何でも焼いちまえ、みたいな。。。
ちなみにYOKOさんはバーベキュー大会でヒツジの丸焼きをやってみたいそうなのだが、この話を聞いた時にも私は一瞬「パプアニューギニア??(原住民込み)」と、ほとんど場違いな想像をしてしまった。
べつにオーストラリアでもテキサス州でも構わないと思うのだが、どうやら私の食材に対す
「ここでサンマも焼けますから」
『サ・ン・マ』の3文字が、頭の中でエコーをかけながらリフレインする。
たしかに炭で焼いたサンマは美味かろう。
だが人生経験もアウトドア経験もオーナーさんの足元にも及ばない私には、想像だにしなかった食材。
怒涛のようなカルチャーショックの波が、私の持っていたバーベキューに対するイメージを、一瞬にして大きく塗り替える。
そう、私は今まで大きな過ちを犯していたのだ。
形にばかり捉われていないで、もっともっと自由な発想を持つべきなのだ。
そしてそれこそが『食』というものの真髄、究極の奥義に他なるまい。
を告げると、「そうなんですよ。火で煮沸消毒されちゃいますから大丈夫なんですけどね」と、言い訳を兼ねて自分の気持ちと折り合いをつけるオーナーさん。
煮沸はちょっと無理だろう……などと内心ではツッコミを入れながらも素直に同意する私。
そして火をおこしを続行しながらオーナーさんの口をついて出た言葉。
をウロウロしていた。
そんな最中、バーベキューコーナーにて問題発生??
遡ること何日か前にオーナーさんたちが内輪でバーベキューをした時の灰が、格子状の鉄板のほう(一枚板のと二種類置いてある)に付いたままになっていたのだ。
慌てて灰をこそぎ落とすオーナーさん。
と、まあここまでは有りがちな反応であろう。
だが、さすがこだわりのオーナーさん、食材を乗せるべくも無いような端の端のほうまで気になるらしい。重箱の隅をつつく如くの勢いで灰をこそぎ落としている。
しかし所詮は灰。犬のウンチが乗っていたのなら問題だが、灰が被っているくらいどうということも無かろうに。
どうせこれから火を通すわけだし、たいした問題ではない旨
とか)以外は役に立たないと思っていればまず間違いない。
今回はバーベキュー大会と銘打っているのだから、本来なら留守番中に火起おこしなんぞという未体験ゾーンに突入していなければならない。幹事としては。
だが幸いにもここ松之郷では、火おこしはオーナーさんが引き受けてくださる。
かくして私は留守番というよりも、単なるマイカー組の目印的な存在として松之郷の敷地の中
とフォローを入れると、「そう、そうなんですよ〜」と道具を片付けながらオーナーさんが話に食いついてきた。このネタ振りでようやく自分を許す口実を見出したらしい。

木戸の問題が無事に解決したところで、電車組の参加者たちがそろそろ東金の駅に到着する時間となった。
お出迎えに行くYOKOさんに後を頼まれ、一人とり残される。
念のためにYOKOさんの携帯を渡されたものの、留守番の役にも立たないのが私という人間である。
デスクワーク(オフ会メールの作成とか、プレゼント品の袋詰

でに納得のいく迎え方をしたいという、揺るぎないポリシーがあるらしい。
前回までのオフ会が物事にこだわりの無いない某所Sで、今回はこだわりの松之郷。なんだか極端から極端な気もするが、どちらも誠にいい味を出している点では一致していよう。
とにもかくにも木戸は無事に閉まるようになり、ブレ&ホーを放
牧し直し一件落着……と思いきや、オーナーさんがまだこだわっていた。。。
そこで「あれだけ雨が降ったんですから、やっぱり木も水を吸って膨張しちゃいますよね〜」
「いや〜、これは完全にこちらの落ち度ですから。本当にどうもすみません」と施設の不備を詫びるオーナーさん。
こちらは対応の素早さを褒めていたつもりだったのだが、修理をするオーナーさんと我々の間にはいささか距離があったので文句を言っているように聞こえたのかもと焦る私。
「あの、こちらの文句を言っていたんじゃないんですよ」と慌てて言い訳する。
ところがオーナーさん、「いえいえ、お宅さまがたが何を話してらしたのかは知りませんが、これは完全にこちらの手落ちです。ここを何とかしておかないとと気づいていながらも
今まで放っておいた私の責任なんですよ」と自分を責め続ける。
その様たるや、「何もそこまで…」とこちらがかえって恐縮してしまうほど。
前にYOKOさんから『こだわりのオーナー』とは聞いていたが、たしかにむちゃくちゃこだわっとる。。。
オーナーさんには、遠路はるばる遊びに来たお客さんを完璧なま
出入り口の鍵が壊れてますので…」と言われてしまう某所Sとは大違いではないか(SはSで、そののんべんだらりとした雰囲気が好きなわけだが)。
修理の作業を眺めながらYOKOさんにそんなことを言っていると
たり、閉まらぬ木戸と格闘していると、胸のあたりが微かに「ミシッ」と鳴った。
そこは以前に痛めてしまった場所で、どうやらクセになってしまっているようなのだ。
つまりこの「ミシッ」という音は、「あんさん、これ以上はあきまへんで〜」という警告のサイン。
ここでもう一押しする根性などは毛頭もなく、早々と惨敗を認めてYOKOさんに助けを求めに行く。
そんな様子を、やや離れた場所で見ていた双眸があった。誰あろう松之郷のオーナーさん。
電光石火の勢いで物置小屋から電動ドリルを持ち出し速攻修理を始める。
この対応の素早さ!!
昼からの貸切にもかかわらずフロントで「ドッグラン
からベンチなどなど、そこに設置されているものすべてがオーナーさんの手作りである。
であるからして、多少の予期せぬ珍事はご愛嬌。
貸切にしていただいたドッグランにブレ&ホーたちを放牧し、
出入
り口の扉を閉めようとすると、雨で水気を含んだ木材が膨張してしまって閉まらない。
ひとまずブレ&ホーを隣りの空いているドッグランへと移動し、押したり引いたり持ち上げ
そしてエライのは華パパさんだけではなかった。
天候の様子見をしていた参加予定者の方々が、「決行」の二文字を前にして続々と鬨の声を上げる。
さすがLittle Wonder & YAG'E関係者、根性の入れ方が違う。
とりあえず食材を大量に余らすことだけはせずに済みそうでYOKOさんと二人、ホッと胸を撫で下ろす。
あとは何とかバーベキューが終わるまでお天気がもってくれれば有り難い。

先発隊の我々が到着した頃には、松之郷の雨も上がっていた。ドッグランの状態も想像していたより悪くない。
前回、下見がてら訪れた時に、オーナーさんが「ドッグランの全面に芝を張るつもりです」と宣言していた通り、どのドッグランにも芝がきれいに張られており、おかげでドロドロにならずに済んでいた。
ここ松之郷ガーデナアは個人所有の施設で、ドッグランの囲い
そんなわけで前日から参加を迷っていた華パパさんより、今回は単独(人間のみ)での参加意思表明の連絡が入った時には思わず「エライ!!」と唸ってしまったYOKOさんと私。
華パパさんにしてみれば、大量に買い込んだ食材を無駄にしてしまっては気の毒という、幹事側の立場を慮ってのことに相違あるまい。
らから電話をかけ、半ば脅すようにして強引に参加の確約をとりつける。

松之郷へ向かう車中の人となる頃には、我が家の周辺での雨は上がっていたものの、肝心の松之郷ではいまだ絶好調の素晴らしい降りを見せているらしい。
場所によって雨模様もさまざま、参加予定者の皆さんから次々とキャンセルやら問い合わせの連絡が入る。
とりわけ電車組の参加者にとって、雨や雪の天候は最悪である。
自分の荷物を持ちつつ、犬を入れたキャリーケースを持ちつつ、傘をさして移動するというのはなかなかの重労働。
幸いにも松之郷のバーベキューコーナーには屋根が付いているので、多少の雨ならば防げる。
だがこの分では当日キャンセル者が出るのも必至。
というわけで、今回の参加予定者の中でも無制限に等しい胃袋の収容率を誇るUさんに朝っぱ
柵からベンチ、バーベキュー設備、トイレに至るまで全てオーナーさんの手作り。
いわゆる企業的とか、既製的ではかもし出すことのできない良さが随所に溢れている。
夏の暑さもようやくひと心地つき、涼やかな風吹く秋晴れの中……の予定も大いに狂う、しのつく雨で1日が始まった9月の某日、松之郷ガーデナアにてバーベキュー大会が開催された。

前日の夜、YOKOさんの仕事が終わってから幹事二人組で材料の買い出しに行くも、気になるのはやはり当日のお天気具合。予報では非常に芳しくない。
ちなみにこの買出しでの私の役割は何だったか?
カートも満足に押せず、右左折どころか直進もままならない私は、買い物中のYOKOさんの単なる暇潰しの相手。要するにペットに近い存在。。。

一夜明け、外を眺めれば小ぬか雨。
しかしバーベキューの材料といえば当然ナマモノ。ナマモノは腐る。よって少々の雨ならば強行突破。