台風21号は戦後最大級というだけあって、たしかに凄かった。翌日、被害の出なかった家に向かって「よく頑張ったね」と思わずねぎらいの言葉をかけたほどだ。
ちょうどこの日は仕事が休みだったため、縁側談議を更新すべく「山鳩編」の後編を作成していた。
ご覧になって分かるように現在「山鳩編」は1編しかないが、本来は前後編ものだったのだ。
ホームページはビルダーを使って作成しているのだが、最近なぜか縁側談議の文章を入力しておくと文字化けが激しい。だから書き溜めておこうなどと考えた日には、次に開いた時に判読不能になっていることが多々。しかしその原因を追求し、修正できるほどの頭脳は持ち合わせていない…
というわけで仕方なくWordで書き溜めておくことにしたのだが、その日は休日=暇ということで横着をし、ビルダーで一気に仕上げてしまえと考えたのが、そもそもの不幸の始まりだった。
作文が遅い上にキーボードを叩くのがこれまた遅い。ブラインドタッチなど夢のまた夢、左右10本ある指はフルでも4本しか活用できていない始末だ。さらには画像レイアウトで墓穴を掘る。結局3時間ほどの予定が延々5時間以上に及んでしまった。
頃は台風真っ只中。母が天啓のように「停電にならなきゃいいんだけど」とボソリ。そうだ、その心配があった。停電なんかになられたら、これまでの苦労がすべて水泡と帰す。内心母に感謝しつつ、こまめな保存を心がける。
だが待てよ。再起動しても文字化けしてたら何の意味も無い。そこで念のため、ある程度のところで一度データをプロバイダーに送っておいた。こうしておけばこちらが判読不能になった時には、もう一度データを呼び戻せば良い。この時点でそれは「なかなか気が利くじゃ〜ん」と自画自賛のアイデアにみえた。
やがてあと少しで完成というところで案の定、電気が消えて部屋の中が真っ暗になり、パソコンの電源ももちろん切れた。
「良かった〜」と胸を撫で下ろしつつラストスパートへ。
ところがリンクを張る段になって不具合が生じた。どうしても上手く張れず、前編とダブってしまうのだ。
ハッ、もしや!!と気づいた時には遅かった。
実は背景画像を張り直すのを横着して、前編のページを文章を消去して後編に流用していたのだ。保存名を変更しておけば問題は無い。しかしマヌケなことに変更するのを忘れていた…
つまりは前編に上書きアップしてしまっていたのだ。
その後、ゲゲゲの鬼太郎の一反木綿のごとく、全身がヘロヘロ状の虚脱感に襲われたのは言うまでもない。

最近、飼い主としてのスキルが向上した。
ともに尻グセの悪いブレイズとホームズだが、犯行現場に残された痕跡のちょっとした違いに気づいたのだ。
ホームズはたとえ1階で遊んでいてもオシッコがしたくなると急いで2階へ駆け上がっていく。ペットシーツが少々汚れていようがあまり気にせず、たいがいはトイレで用を足しているようだ。反してブレイズはペットシーツが少しでも汚れていると気に入らないところがあり、また、人が見ている場合でも平気でトイレ以外の場所で用を足している時もある。
このことから察するに、オシッコソソウの9割がたはブレイズの犯行とみて間違いないだろう。
さらにウンチだが、ホームズは用を足したあと、トイレから出てきた時点で砂をかける仕草をする。つまりウンチの転がっている付近の絨毯が引っ掻かれていればホームズ、ただウンチだけが転がっている場合にはブレイズの犯行なのだ。
まぁ、それが分かったからとてどうなるものでもないけどね…

しばらくして、ようやく5分だけ時間ができたので急いで庭に連れ出した。ピーピーウンチに違いないので、むしろ庭でしてくれたほうが後の始末もしやすい。
しかしワトスンは猫の額ほどの庭をただウロウロするばかりで、どうしてもウンチをしない。腹具合は1分1秒を争うほど荒れ狂っているはずなのに。
仕方が無いのでワトスンが縄張りを主張している家の前の街路樹まで連れていった。が、ここでもワトスンは用を足さない。
苦しんでいるワトスンを可哀相に思う反面、刻々と迫るタイムリミットに「どこでもいいから、さっさとしてしまえ!」という気分になったのは事実。
結局、ワトスンは2時間も我慢せねばならなかった。そしてワトスンは痛いお腹、私は昼食抜きのハラペコを抱えて近所の雑木林まで猛ダッシュしたのだった。
この話をすると大概の人は「利口なんだね〜」と感心する。だが当事者としては利口でなくてもいいから、もっと臨機応変にして欲しいと思う。
ソソウは掃除をすれば済む。それよりも今すぐ仕事を抜け出して連れていってやりたいのをぐっと我慢するとか、あとで可哀相なことをしたと感じるほうがずっとずっとストレスになる。
ブレイズやホームズのいい加減さとワトスンの律義さを足して2で割るとちょうど良いと思うのだが、世の中うまくいかないもんだね。
そういえばいつもはオシッコをしたあと楽しみにしているご褒美を、昨夜はなぜか食べなかった。後ろめたいところがあったからか、お腹の調子が悪かったからなのか…
止むにに止まれずの行為なのだから可哀相だったと思いこそすれ、怒ろうなどとは毛頭思わないのだが、ワトスン自身は自分のしでかしてしまった不始末を相当気にしている。
いくら慰めても、その日はウンチがしてあった場所をひたすら避け続けていた。いつもはそこに寝転んでいるのに、階段に寝そべってションボリ顔だ。
ワトスンはソソウをしてしまうと、いつもこうなのだ。

こんなこともあった。
ワトスンのお腹の調子悪くなったのだが、どうしても仕事の手が空かずに外に連れ出してやれなかった。
真夜中、「ワトが挙動不審なんだけど」と母に起こされた。
その時、当のワトスンは何事もないかのように水を飲んでいる最中だったが、母によるとしばらく前から廊下と母の部屋を落ち着き無くウロウロしていたらしい。
それを物語るかのように階段の転落防止用のフェンスがこじ開けてあり、さらにワトスン用トイレのブレホー進入禁止フェンス(2頭が中のトイレ砂を食べてしまうため)も開いてあった。
状況から、オシッコがしたくなったもののトイレに前回分が残っていたので出来ずにいたのかと考え、それを取り除き、飼い主お約束の幼剏言葉で「チッコする?」と尋ねる。ワトスンはすぐさまトイレに入って用を足すと、すたすたと寝床に戻っていった。
そーかそーかオシッコがしたかったのか〜メデタシメデタシ、と人間たちも再び寝床へ。
翌朝、ちょうど階段と玄関の真ん中あたりに大きなウンチが3本、川の字になって転がっていた。しかも打ち止めとおぼしき1本はかなり緩い。
つまりは推理が間違っていたのだ。
夜中にお腹の調子が悪くなったワトスンは、耐え切れなくなって必死の思いで階下におりていった。しかし玄関が開いているはずもなく、仕方なく自分専用のトイレに用を足そうと考えたものの、前回分のオシッコが掃除されていなかったので再び階下へ。そこで限界突破してしまった。
私が起こされた時にはすでにスッキリさわやか気分で水を飲んでいたのだ。
後ろめたいところがあるものだから「チッコする?」の問いにも間髪いれずに従ったわけだ。