

敷布団に黄ばんだオーストラリア地図が描かれていた。しかもすでにかなり時間がたっているとみえ、染み込んだぶんを含め、ほぼ乾きかけている。
すでに日の入り間近で外に干せないため、シーツと敷布団カバーだけを洗濯し、本体には消臭剤を浴びるほどかけて拭き取った。
翌日、空は曇りがちだったが干さないよりはマシと布団を外に出すも、途中で雨が降ってきてしまった。
そして同日の午後、今度は掛け布団に北海道地図が描かれているのを発見。額に青筋を浮かべつつも夏掛けを洗濯機に放り込んだ。予備がないので、仕方なく犬の寝床用に使う予定だったコタツカバーを掛けてその夜は寝た。
さらに次の日、そのコタツカバーの上にウンチが転がっていた。朝からの雨模様でコタツカバーは洗濯できなかったものの、室内干ししていた夏掛けがどうにか夕方までには乾いてくれた。
一連の犯行に及んだのがブレイズなのかホームズなのか、はたまた両者なのか、日頃が日頃なので今さら究明する気にもなれなかったが、困るのは一度こういうことが起こるとしばらく続いてしまうことだ。
この夜、外出のため犬たちだけを留守番させる空白の時間があった。一抹もニ抹も不安はあったが、「ちゃんとお利口さんにしているんだよ。布団の上にオシッコなんかしたら皮剥いじゃうからね〜!」とブレイズとホームズに言い聞かせ、品行方正なワトスンには「よろしく頼むね」と言って家を出る。
時間にして1〜2時間ほどだったのだが、帰宅後せっかく乾いた夏掛けに前2回よりもさらに巨大なチチカカ湖が創造されているのは発見した時には、さすがにクラッときた。しかも夏掛けを貫通して、水脈は敷布団の中へと消えている…
今回だけは限りなく黒に近い容疑者が浮上した。一度にこれほど大量のオシッコをホームズはしない。
だがそれが分かったからとて何の慰めになるだろう。夏掛けはまたしても使用不可能となり、コタツカバーは洗濯場に放置されたままだ。
泣く泣くやはり犬の敷物用にとっておいた、ホームズが大穴をあけてしまった毛布シーツを出してきて掛け布団の代わりにした。
その後、雨は3日間我が家の屋根を濡らし続けた…
すでに崩壊しつつあるワトスン用籐籠に寝ているブレイズの上に、植木鉢用の受け皿がちょこんと乗っていた。
ホームズがここで悪戯していて、放置したまま眠り込んでしまったらしい。
ブレイズは気にも留めずにひたすら寝ている。
神経質なワトスンに比べ、ブレイズは(イタグレは)物事あまり気にしない性格だ。
甘えているのか、ホームズはブレイズの上に乗って眠るのが好きだ。身体の上なら
まだしも、時には顔の上に乗って寝ていることもある。
しかしブレイズは気にしない。何事も無いようにひたすら惰眠をむさぼっている。
顔を塞がれたら息苦しいと思うのだが、そんなことは無いのだろうか。
人間が自分とさほど変わらない体重の人に上に乗られたら、重苦しくて眠るどころ
ではないだろうに。現に人間よりずっと小さくて軽いホームズでさえ、顔から首に
かけて乗られた時には苦しさのあまり目が覚めた。
以前に飼っていたスナネズミもそうだった。ペアで飼っていたので6匹の子供が
産まれたのだが、子供たちはよくピラミッド状に折り重なって寝ていた。
動物というのは、そんなものなのだろうか。人間と違って四肢を自由に使える
わけじゃなし、細かいことをいちいち気にしていたら身が持たないとか…
ブレイズたちには毛の先ほども触られたくないワトスンでさえも、もしも自分の
本当の子供だったら、ブレイズ&ホームズコンビのように微笑ましい場面を見
せてくれたのではないだろうか。
ブレイズはホームズの実親ではないが、我が家にやってきたその日から母親
代わりにかいがいしく面倒をみてくれたブレイズを、ホームズ自身は親だと
思っているに違いない(身体の模様も似ているし)
ひょっとしたらブレイズもホームズを自分の子供だと思っているかも知れない。
2頭のやりとりを見ているとそんなふうに思える。
とするとワトスンは、さしずめ厳格なお父さんだったりして(女の子だけど)。
「動物のお医者さん」出てくるミケのように、たまに教育的指導(?)もしているし。
ワトスンには悪いが、3頭並ぶとお父さんという雰囲気は一層出ている。
結局何が言いたかったのか? この話にオチは無い。
縁側談議だから、まぁいいか…
ホームズがついに「お赤飯」事になった。
ブレイズは生後8ヶ月ほどで始まっているので、1歳4ヶ月のホームズは「お待たせしました〜」という感じだ。
別に仔犬を産ませる予定は今のところ無いので、気を揉むほどのことでもないのだが…
現在ホームズのオシリは赤く膨らみ、まるでおサルのお尻みたいでちょっと笑える。ガニ股が余計ガニ股になったような気もして、歩いている後ろ姿が妙にユーモラスでいい味をだしている。
だがおもしろがってばかりもいられない。ホームズの行くところ、点々と赤いシミができるからだ。特に私のベッドなどはホームズが寝泊りするため、赤い水玉事件(詳細はYAG’EさんのHPの育児日記にて)を彷彿とさせる。
知らない人が見たら、点々と血痕のついたシーツはなかなかスプラッタな光景だろう。
犬の場合は3週間続くらしい。しかも半年ごと。
我が家の現状からしてホームズに子供を産んでもらうのは無理な相談なのだが、それでも当分は避妊手術をしないつもりでいる。
その昔ワトスンを避妊してしまったあとで素晴らしいお婿さん候補と出会い、とても後悔したからだ。
ブレイズの場合は幼少時に後肢脱臼という負傷歴があるので、大なり小なり身体に負担のかかると思われる出産は見合わせた。
だからホームズは今のところ2〜3年は現状維持と考えている。しかしながらあのワンパクホームズのお母さんぶりというのは、イマイチ想像がつかない…