するとテキは上のジャーキーの部分だけをこそぎ取って食べるという手段に打って出た。

ならばと、サツマイモフードは廃棄して、白米ご飯に細かくちぎったジャーキーを混ぜる→やはり上のほうのジャーキーだけこそいで食べる。
それではと、さらに粉々にしたジャーキーを追加し、まんべんなくご飯を混ぜ混ぜ→匂いを嗅いだだけで食べない。
しからばと、それらをいったん廃棄して、今度はカツオ節混ぜ混ぜご飯→匂いを嗅いで上のほうを少しだけ食べる。

とはいえ、食欲がないわけではないらしい。
その証拠に、ご飯ジャーの蓋を開けるたびにワトスンがにじり寄ってくる。
試しにご飯粒だけを冷まして少し与えてみると……食べた!
も少し与えてみる→完食。
さらにもう少し→これまた完食。
どう考えても単品より混ぜ混ぜのほうが美味しかろうと思うのだが、どうやらワトスンのこの日のテーマは『白米』だったらしい・・・・(^ ^;

翌日。
白米ご飯ブームは1日で去ったらしく、匂いを嗅ぐだけで口をつけない。
そこでジャーキーをトッピング→匂いを嗅いで少しだけ食べる。
またかよ〜 (‐ ‐B と思いつつ、白米ご飯+ジャーキーを半分ほど廃棄し、イタグレチームが食べているグロースを少し混ぜてみる→匂いを嗅いでグロースだけ少し食べる。
今度はオール廃棄し、再度白米ご飯にジャーキーを多めにトッピング→匂いを嗅いでジャーキーが多めの部分だけ少し食べる。
さらに甘味をつけたらどうだろうかとハチミツをプラス(←このへんからだんだんアヤシくなってくる)→匂いを嗅いだだけで食べない。
ハチミツはお気に召さないらしい (^ ^;

とにかくタンパク質が多くなってはイケナイと、台所中をウロつきながら何度もワトスンのゴハンを作り直す。
そんな私の目にふと飛び込んできたもの、それはポーションタイプのクレマトップ・・・・。
最近のコーヒーミルクって、たしか植物性だよな。
そんな考えが頭をよぎり、ふらふらとポーションに手を伸ばす。
成分表示に目を落とせば、タンパク質は極小。
思わずジャーキー粥にぶっかけてしまいましたとも。
海の向こう、遠い異国の地ではオートミールなる異人さんの食べ物があるといふ。
ここでお粥にコーヒーミルクをかけてなぜ悪い? みたいな開き直り。

すると、ミルクのかかっている部分を少しだけ食すワトスン。
そのあとコーヒーミルクだけポーション1個ぶん皿に入れてやったら、それはペロリ。
結局この日はここで玉砕。
ちょっとずつではあるが、まあトータル的には各種少しはお腹の中に貯まってるし…と自分に言い聞かせつつ(^ ^;

そんな日々が2週間ほど続いた。
ある時はイタグレチームの食しているフード単品。
またある時は茹でたジャガイモ。
その日にお気に召して食べたからといって、次の日に出すと匂いを嗅いだだけでもう食べない。
お腹が空いているくせに「あれはイヤ、これはイヤ」しているワトスンに、内心ではいい加減にイライラが募る。
思わず口をガッ!と開けてフードをガーーーッ!と流し込みたい衝動に駆られるが、そんなことをしては元も子もない。

すでに幾日こんな不毛なことを延々と繰り返してきただろうか。
しかも毎晩10時〜11時コースとあっては、こちらもだんだんノイローゼ気味 (^ ^;
その間に試した食材は、ササミジャーキー、アキレスジャーキー、白米ゴハン、サツマイモ、ジャガイモ、カツオ節、無塩バター、ハチミツ、コーヒーミルク、イチゴジャム、メイプルシロップ・・・・・。
後半では低タンパクの基準はひとまず満たしているものの、かなりアヤシゲな食材となり果て、すでに腎臓病食もへったくれもなくなっている。
そして謎のフードメニューと化した食器をワトスンの前に置きながら、「これで食べなかったら、明日病院で点滴だよ〜」などと、あたかも呪文のように(しかもビミョ〜な節回しで)ブツブツ唱えている私がそこにいたりして(しくしく)。

                                 
                                               (後編へ続く)
フカフカになってリボンまでつけてもらったワトスン
人間たちには「かわいい〜♪」と大好評だったが
ワトスン的にはメイワクそう (^ ^;
でもこの短毛にリボンをつけるテクは神業!!
ひえぇぇぇぇっ、今日っすか? とは心の声。 

ちょっと予算の準備が・・・・もとい、心の準備が (^ ^;
しかしこれ以上ハゲハゲになっても困るので、ここは腹を括るしか・・・。
そんな思いが去来している私の耳に入ってきた院長先生のお言葉
「強心剤用意しといて」
しえぇぇぇぇっ、シャンプー代ケチって自分で洗わなくて良かった〜。
同じシャンプー中にポックリいかれるのでも、私が自宅で洗っててより、
病院で洗ってもらっててのほうが、まだ諦めもつくというもの。
何しろドクターが控えていてすぐに最善の処置はしてもらえますから。

そんなこんなで見違えるほどキレイになって帰ってきたワトスンだったが、
嘔吐とサツマイモを結びつけてしまったのか、前日まであれほど喜んで食べていたサツマイモを、その夜からまったく食べなくなってしまった……。
犬にそれほどの知恵はないというが、私としてはサツマイモ=嘔吐という間違った図式がワトスンの頭の中で出来上がっているような気がしてならない。
ワトスンは頭のいい犬である。我が家の犬たちの中では、だけど(笑)
そして神経質な犬である。イタグレに比べたらず〜〜っと。
したがって、コヤツならそんなことを考えかねないのよね〜(^ ^;
仕方が無いのでジャーキーを少しトッピング。

サツマイモ作戦でどうにかご飯を食べるようになったワトスンだが、ふと見れば背中の腰の付近に大きなジャリッパゲが出来ていた。
しかもその箇所の皮膚は赤く、毛穴から出血したといわんばかりにポツポツと細かいカサブタが浮き上がっている。
さらに数箇所、予備軍的に皮膚が赤くなっている。
病院で診てもらうと、湿疹の一種ということで特にひどい2ヶ所の毛を刈って薬を付けてもらう。
さらに抗生物質の飲み薬を自宅で飲ませることに。
この時、「抗生物質か〜」と予感めいたものが頭をよぎった・・・・・。

明けて翌日。
ひと足先に起きていた母に、「ワトスンが吐いてあるんだけど」と起こされる。
なぬ?! と跳ね起きた私の目に飛び込んできたのは、よだれをダラダラ垂らしているワトスンの顔。
階下はスゴイことになっていた・・・・。
この頃では1階のほうが涼しいこともあり、またウルサイ三羽烏(犬だけど)もいないので、ワトスンは1階で寝ている。
本当は何かあった時にすぐ気づけないので2階で寝ててくれたほうが有り難いのだが、老い先短い当人(犬)の意思を尊重して好きにさせていた。
そしてまんまと「何かあった」わけである (^ ^;
居間へと続く廊下が、まるでナメクジが這ったあとのようになっているではないか。
要するに水ゲロとでも形容する液体が、ずーっと続いているのだ。殆ど食べていないので物体は出なかったようだ。
居間に飲み水が置いてあるので、どうやら吐いては飲み吐いては飲みしてたらしい (^ ^;
居間の、お膳の下に敷いたマットにも2ヶ所ほど吐いた痕跡が・・・・。

病院へ連れて行き、かくかくしかじかと事情を説明すると、やはり抗生物質が合わなかった模様。
ならば、さてどうするかという話になる。
院長先生いわく「この時期の湿疹を、我々は『怠け病』と呼んでいるんだよ〜」
要するに飼い主がシャンプーやブラッシングを怠けて冬毛をちゃんと抜いておかないから、湿度の高い今の時期、蒸れて湿疹ができてしまうのだという。
たしかに昨年の末以来、約半年間に渡ってワトスンは一度もシャンプーしてなかったりして(汗)

だがべつに怠けていたわけではない(それもあるケド)
すでに心臓やら何やら、あちらこちらにガタきているワトスンであるからして、大嫌いなお風呂の最中にストレスがMAXに達し、ポックリいかれても困るという、ちゃんとした事情があったのだ(言い訳ともいう)
しかもドライヤーも嫌いで逃げ回るため、いつも7割がた乾かしたところでこちらが諦めてしまう。
若い時分はそれでも良かったけれど、なにしろご老体なので風邪をひかせてしまっても・・・・。
さらにトドメの一撃として、お風呂場から解放されたワトスンは、溜まったストレスを一気に爆発させたかの勢いで家中を猛スピードで走り回るのである。
おいおい、心臓弱ってるんだってば・・・・(^ ^B

そんなこんなでワトスンのシャンプーは夏になったら病院にお願いして洗ってもらおうと考えていた。
などと院長先生に話すと、「今日、シャンプーの予約空いてる?」とトリマーさんたちに確認。