中身を引っ張り出す間もあらばこそ、箱ごと破壊していたあのニーニが、たったの1枚ですよ! 1枚!!
ああ、なんて謙虚になったんだ(嬉)
しかしそんなぬか喜びも束の間、まるで陽炎のように儚い幻想であった。
日を追うごとに、こま切れにされた囮テッシュの中身が広範囲に散乱するようになり、外箱につけられた歯型の数が増え、角はひしゃげ。。。。
悪戯ついでにテーブルの上のリモコンは床に払い落とされ。。。。。
まあ、やっぱりと言おうか、三つ子の魂百までと言おうか。予想通りのオチですわ(しくしく)
さてニーニはどれくらいもつのだろう?
当初、私は1日が限度だろうと覚悟していた。
ところが、予想に反してけっこうもった。まあだいたい5日くらいは大人しくしていただろう。
そして「もう二度と病院に置き去りにしないでください」と言わんばかりの謙虚さで、私や母の顔をペロペロ舐め回すというおべっかまで使っていた。
五割……いえ贅沢は申しません、二割でいいですから今この時のニーニを全快したあとも残しておいてくださいと神サマにお願いしてみたりして。
それくらい、それはもう可愛らしい態度だった。
何度叱ってもベッド脇のテーブルを歩道としか考えていないニーニが、カラー&プチギブスでそこから飛び降りでもしたら大変なので一計を案じて中身の残り少なくなったティッシュの箱を、そちらに気がいくように囮として置いておいた。
すると、部屋を留守にしている間に1枚だけ引き出してあった。
の盛り上がりで見て取れた。
だがこの時はブレイズの気が向かなかったようだ。
しばらく足元のほうで布団がもぞもぞと波打っていたと思ったら、いきなりビッグウェーブのごとくザザーッと掛け布団が盛り上がった。
あっ!と思う間に布団の津波はブレ&ニーニを巻き込んだままベッドの下へと流れていった。
退院三日後のことである。。。。
めちゃめちゃ焦ったのは言うまでもない。
慌てて布団土砂の中からニーニを回収したが(ブレイズはすでに自力で脱出し、母の部屋へと逃亡)、大事に至らなかったことを確認して安堵した次の瞬間には、こめかみピクピク(^ ^#


骨折箇所に巻かれたテーピングをべつだん気にしているふうでも
おマタ丸出しで寝とります
石膏(?)が実にいい感じで振り子の役目をするらしく、持ち上がった脚が遠心力でベッドのヘリだの壁だのにガンゴンと連打している。
これが第二の『骨に響くぞポイント』
おかげで退院時には床についていた右前脚が、帰還してからつかなくなってしまった。。。。
そんなわけで被害拡大(出費拡大ともいう)を危惧し、初詣に出かけた母の帰りを待って入れ替わりでそそくさと食事や入浴をしに行く。
ところが、日頃どんなに母に懐いていても、いざとなったらやはり『私』なのである。
いくら母がなだめても、私の姿が見えないと落ち着かないらしい。
「やっぱりな〜♪」などと、ちょっと鼻高々の私であるが、その鼻があっという間にポロリと落ちる事実が発覚した。
骨折当日、病院に至るまでの道程で散々ニーニに手を噛まれた私であったが、それは痛さのあまり無我夢中でしたことなのだと思っていた。
しかし
YOKOさん「うちの犬たちは骨折した時でも噛まないよ〜」
サナっちさん「うちも噛まなかったわ」
ガーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!
飼い犬に手を噛まれるとは、まさにこのことね(しくしく)


「ニーニはアンジーの子だから頭足りないかもね〜」とは、YOKOさんが事あるごとに言うセリフ。
しかしイタグレのアホっぽいところが好きな私は、ショックを受けるどころかナルホド〜と妙に納得。
いわゆる「賢い」とか「おバカ」とかは人間の物差しで計ってのことだが、私のように大雑把な飼い主にはあまり賢い犬よりも少々ネジが外れ気味のほうが、扱いが楽でいい(かもしれない)。
眠っているからと思って部屋を出ても、傍を離れている時間があまり長いと布団から這い出してきてしまっているから。
過保護は良くない、そんなの放っておけばいいやん、との意見もあろうが、ニーニが可哀相だからというより、二次災害起こされては大変という切実な思いがそこにはあるのだ。
布団から這い出したニーニに私の姿がないと分かれば、向かう先は部屋の出入り口たるドア。
ベッドからおりる時は当然前脚から床につくので、一瞬とはいえ骨折したほうの右前脚でも体重を受け止めることになる。
これが第一の『骨に響くぞポイント』
さらに身体をぶるぶるっとさせた時に、骨折箇所をガードしている薄い
ないので、それならば大丈夫かもと試しにカラーを外してみた。やはり邪魔そうだし。
身軽になったニーニは、スキップするような足どりで犬用丸ベッドに入っていったかと思うと、ザッザザザッ!との音も高らかに、いきなり両前脚を使って猛烈に穴掘りを始めた。
ぎゃ〜〜〜っ! やめんか、このドあほう〜〜っ!!
てなわけで、再びカラーを巻かれてしまったのは言うまでもない。

カラー&小ギブス(?)を付けられた身としては、やはり重心がとりにくいらしい。
トイレタイムの最中、ペットシーツに吸収されるオシッコがニー二の前脚まで広がって濡らしていく。
しかし、そんなことは全然気にならないニーニであったので、脚をどけるような真似はしない。
そして今日も絨毯にはオシッコで出来た手形が押印されているのであった。。。。

ホームズが退院してきた時には、3日間は泥のように眠り続けて大人しくしていた。
「毎回ニーニの餌に睡眠薬を混ぜるってのはどう?」などと不穏な発言が出るほど、飼い主サイドとしては、療養中はできるだけ動かず静かにしていて欲しいものである。
この点に関しては「骨折したのがブレイズだったら楽だったのにな〜」などと、ブレイズにはお気の毒ともいえる血も涙もない発言すら飛び出しているが、もしもブレイズなら折れた骨がくっ付き「もう大丈夫だよ」と言われてもなお、自主的に桜の花が咲く頃までだって療養生活を続けるであろう(冬眠ともいう)

また気性の面でも、意外に神経質(気難しい?)な一面があるので、ニーニに対して一線を画しているところがある。
それが今や凶器付き(エリザベスカラーともいう)ニーニとなったのだから、なおさら受け入れ難い。
さらに、飼い主サイドとしてもニーニだけを特別に可愛がっているつもりはないものの、完治するまではどうしても手をかけてしまうので、それが自分を差し置いてとなって少々スネ気味。
またしても夜の外泊(母の布団にお泊り)が続いている。
ニーニはニーニで日頃の素行の悪さから一見傍若無人なように見えるものの、布団に入ろうとしてホームズに怒られたりすると、もうそこへは入っていけない。
遊びモードの時には、あまりのしつこさにホームズがぶちキレようがお構いなしにちょっかいを出し続けるくせに、眠る時とご飯の時だけはホームズのことが怖くて遠慮するのだから犬の力関係というのはイマイチ分からない。
その点、水辺に生い茂る葦のごとくに日々を送っているブレイズは頓着がない。
ニーニがすり寄っていこうが、多少カラーが脇腹に刺さろうが、「眠いものは眠い」という信念のもとにひたすら惰眠をむさぼっている。
てなわけでニーニを布団に入れる際には、必ずブレイズを真ん中にしてホームズの反対側というポジショニングを遵守せねばならない。

布団に入ってテレビを見ていた時のことである。
ホームズは別宅(母のところ)へ出張中で、足元にはブレイズだけが寝ていた。
最初は私のすぐ横にいたニーニだったが、ブレイズの隣に寝たくなったらしく、ほふく前進でにじり寄って行くのが布団
頭の足りない(笑)ニーニは、エリザベスカラーを巻かれていてもさほど気にならないらしい。
そりゃもちろん鬱陶しいと感じていないはずはなかろうが、我が家の犬たちの中において、ニーニほどカラーに順応した奴は見た事がない。
あの一見ぼ〜っとしているブレイズでさえ、カラーを巻いた時にはそれが気になってなかなか寝つけなかったりと難儀したものだが。
しかし今、布団をめくるとカラーを装着したまま大の字にひっくり返ってスヤスヤとお眠り遊ばしているニーニ嬢があらせられる。
まあ本当に頭が足りないかどうかは別として、あまり物事にこだわらない性格というのは、このような場合には大変助かるのではなかろうか。
このような場合以外には、ウンチ踏み踏み etc…と困りものだが。


ホームズはニーニが来るまで末っ子甘えたい放題だったこともあり、

退院直後、ニーニはひっつき虫と化していた。
とにかく私がすぐ傍らにいないと不安なのだ。
ニーニにとっては痛い思いをしたこと(←たぶん、それはもう忘れている。従って教訓もヘチマも学習もない)より、何日間も病院に置き去りにされたことのほうが何倍も精神的な打撃に違いない。
このまま見捨てられてしまうのではないかと、小さな脳ミソ…もとい小さな胸を痛め続けていたはず。
まあニーニに限ったことではないが、退院直後はそんな不安定な精神状態を引きずっている。
そんなわけで飼い主のほうは、おちおちご飯も食べていられない。