
2005年夏。
それは私とサナっちさんにとって、あたかも甲子園を目指す高校球児のごとく、熱い熱い季節となった。
そもそもの事の起こりは、アリアちゃんが出産した4頭の仔犬たちの中に、1頭だけ毛色のちょっと違った子(のちのウニカちゃん)がいたこと。
LITTLE WONDER & YAG'Eで仔犬が生まれると、HPに公開された画像を眺めては今回どの子が自分のいちばんのお気に入りかという話で盛り上がるのが常であり、飼い主さんが決まるまで『仔犬欲しい病』に悩まされ続けるのは、おそらく私のみならずのことだろう。
今回も最初はそんな毎度お馴染みのノリで、他の子たちに比べると淡く柔らかい色彩の毛色をしたウニカちゃんがサナっちさんと私のイチオシとなった(←好みが似ている)。
我が家とサナっちさんのお宅とでは、奇遇にも犬たちのメンバー構成が似ている。
ともに3頭の多頭飼いで、その三女にあたるのがホームズ&サナちゃんの姉妹。そして最年長の子たちはそろそろ『お迎え』を覚悟せねばならないお年頃、いつ要介護となるやも定かではない。
そんなわけで今後新たに構成員を増やすとしても、それはまずご老体の天寿を全うさせてからのこと、あと4〜5年(そこまで長生きできるかどうかは別として)は先だろうと考えていた。
されど「待て」と言われて待てないのがナマモノである。ウニカちゃんはすでにこの世に誕生してしまい、「あと4〜5年してからもう一度生まれなおしてきて〜」とは無茶な相談。
そして、それがいかなる縁結びの神様の悪戯か、今回に限ってサナっちさんの想いは歯止めがきかないばかりにどんどん募り、ついには暴走までのカウントダウンに入ってしまったのだった。
幸か不幸か私はこの時期、腱鞘炎になってしまった右手が最悪の状態を迎えており、日常生活にも多大なる支障をきたしているありさまで、ぶっちゃけ仔犬どころではなかったのが正直なところ。
つまり、ここでウニカちゃんに対するふたりの命運が分かれたともいえよう。
早々と戦線は離脱したものの、悩めるサナっちさんへの思いやりまでをも放棄したわけではない。そこでいまや理性の崖っぷちに立たされているサナっちさんの背中を一押しして差し上げることにした。
ウニカちゃんの母であるアリアちゃんとニーニの母であるアンジーちゃんは、年齢からして今後出産させるとしても、おそらくあと1回だろうとはYOKOさん談。
さらに現LITTLE WONDER でウニカちゃん色を出産できるのはアリアちゃんだけ。しかも今回の子たちもバッジオパパ色が殆どのように、次回の出産でウニカちゃん色が生まれるとは限らない。
おっ、お客さんお目が高いね〜 この子は超レアな子ですぜ〜
ここで会ったが百年目、これを運命の出会いと呼ばずして何と呼びましょう?!
などと、懇切丁寧にサナっちさんをそそのかす。
そんなある日、サナっちさんから届いた一通のメール。
それは「まだ未確定」との前置きをしつつも、仔犬に付ける名前候補の一覧表(ニヤリ)
トドメとばかりYOKOさんに内覧会を開いていただき、ほどなくしてウニカちゃんは無事サナっちさん宅に嫁いでいった。めでたし めでたし(笑)
しかし話はそれで終わりにはならなかった。
衛星都市千葉では、エピソード2にてサナっちさんの逆襲が始まる。
ウニカちゃんがサナちゃんの妹になった頃、腱鞘炎の具合もだいぶ良くなってきていた私は、約1ヵ月遅れで誕生したアンジーベビーの今回ただ1頭の女児(のちのニーニ)に、ウニカちゃんフィーバーの余韻も手伝って、微妙にハマっていた。
そして崖っぷちの下の底なし沼では、サナっちさんが私を引きずり込もうと画策していたのだった。
我が家が動物病院の数軒先という地の利を生かし(?)、サナっちさんは病院帰りにウニカちゃんを見せびらかし……もとい、見せてくださりに立ち寄るという、実演販売さながらの作戦に打って出た。
たしか、最初にウニカちゃんを連れてきた時のサナっちさんのセリフは「病院だけの行き帰りだと外出がマイナスイメージになっちゃうから、ここでホーちゃんたちと遊ばせて楽しいことも経験させてあげたい」みたいな内容だったと記憶している。
それがニーニを飼うことに決まったとたん、病院で「今日も帰りに寄って行くの?」と尋ねられ、「いえ、もう飼うって決まったからいいんです」と答えて直帰されたそうな(←豪快先生よりのタレコミ)
いや〜実に率直なかたですね、サナっちさんて(笑)
ニーニをうちの子にすると決めるまでには、ほぼ丸1ヵ月というもの悩みに悩んだ。
一番のネックは、やはりワトスンのこと。他の犬に対して大変な気難し屋のワトスンは、これまでしぶしぶながらもブレ&ホーたちに最大限の譲歩を示してくれた。だが「もう1頭増やしていい?」と尋ねて、果たして「いいよ」と言ってくれるだろうか? 無理だろうな〜(^^;
だが7月で14歳を迎えたワトスンは、病院の院長先生のお言葉を借りるならば「あとはオマケの人生」
いくら目標は16歳と言っても、こればかりは天寿の決めることで、お別れは1年後かも知れないし、半年後にやってくるかも知れない。
もしもそうなってしまった場合、「あ〜、やっぱあの時にアンジーベビーGETしとけば良かったな〜」という気持ちになりはしないだろうか?
また、逆にワトスンが18歳まで生きた場合(←目標年数が増えている)、そんなヨイヨイになってから仔犬を迎えるよりも、まだ余力のある今のうちに迎えておいたほうが良いのではないだろうか??
それにジギーママ、エースパパの引退に引き続き、アリアママ、アンジーママの引退間近という話を聞いて思ったのは、あと4年後、五年後にLITTLE
WONDERでYOKOさんが仔犬を繁殖しているという確実な保証はどこにもないということ。
などという理詰め(屁理屈?)から、「飼うつもりはなかったはずなのに、この子がどうしても欲しくてたまらないのは、やっぱりこの子に縁があるから」という運命の出会い説まで、もう頭の中は一日中そんな考えでぐるぐる回りっぱなし。
6月9日生まれのアンジーベビーたちを新しい飼い主さんの元に渡せるのは、8月中旬頃からになる。
てなわけでとりあえず7月いっぱいは悩ませてもらうことにした。もちろん、その間にYOKOさんが良いと思う飼い主さん候補が現れたのなら諦めるという前提で。
私のお悩み月間中に、ニーニを欲しいという人は、案の定現れた。が、お住まいが遠路ということもあり(とだけ言っておこう)、幸運にもYOKOさんの首は縦には動かなかった。
そしてついに7月も今日で終わりというその日、私がYOKOさんに伝えた旨は「とりあえず見るだけ見に行っていいですか?」だった。
しかしながらこの段階での「見に行く」というセリフは、もはや「飼います」のほぼ同義語であろう。
結局、予定していた内覧会の日どりが私サイドの都合でボツになってしまい、YOKOさんの「じゃあ、いつにしようか?」の問いに
「飼います」
きっぱり。
この急転直下の返答には、さすがにYOKOさんもちょっとビビったみたいだった。
こうして(私的には)多大なる葛藤の末、LITTLE
WONDER K胎のアンジーベビーは我が家の四女となることになった。
そうと決まれば名前を考えねばならない。