
どれくらい時間がたったかは定かではないが、そろそろYOKOさんと合流するべくバジママさんが携帯を手に……するや否や顔面蒼白。
なんとYOKOさんからの着信履歴がずら〜っと並んでいたらしいのだが、それに気づかなかったらしい。
「ぎゃ〜!殺されるぅ〜!!」と血眼になって東の元締めの姿を探し求める我々三人衆。
ほどなくYOKOさんと合流し、これにて2004年売店めぐりの旅(アジアインターともいう)は終了した。
その後、食事に立ち寄った場所で初老のご夫婦に声を掛けられ、こんな会話をした。
ご主人 「イタグレですよね?」 私 「そうです」
ご主人 「どこから来たの?」 私 「千葉から来ました」
そのあとご主人は「う〜ん、カンペキ イタグレ!」とにっこり笑って奥様を振り返った。
もちろん揚げ足とりの私は心中密かに『カンペキじゃないイタグレって? ねえねえ、カンペキじゃないイタグレってどんなの? 千葉と関係あるの?』とツッコミを入れていたともさ。
しかしこの目上の人にツッコミを入れるという不徳を、天は見逃しはしなかった。この数時間後、見事に鉄槌が下ることになる。
家に帰り着き、店を閉め(私が居なくても営業していた。つまり仕事をサボって出かけた)、犬たちを散歩に連れ出す仕度をしていると電話が鳴った。
受話器を取るなり「見た、見た!」の声。なにがなんだか分からず「は?」と聞き返すが、電話の主は興奮したように「ハチ、ハチ!」と繰り返す。
最初、これは父のお客さん(別種の自営業。わが家は自営業一家だったりする)から、父宛てにかかってきた電話だと思っていたので要領を得ずにこちらも「は?」を繰り返していた。
が、ややあって相手が名乗り、電話の主はYOKOさんと判明。同時にすべての謎が解けた。
『ハチ』は『蜂』でも『鉢』でもなく、数字の『8』だった。そしてその数字の意味するところはフジテレビ!!
たった今ドッグショーのニュースをやっていて、ホームズがアップで映っていたらしい。ガ――ン!
慌ててテレビを点けるも、すでに画面ではギャラリーに最後のインタビューをし終えているところだった。
YOKOさんに散々罵られたのは言うまでもない。そしてポツリと淋しく出た言葉が「私の人生こんなもん」
そう、いつも前段階を準備しているものの(今回もビデオを録ろうとセットしていた)、肝心なところで用を足さない。
以前にも決定的瞬間をそうやって見逃したことがある。何時間も前からスタンバイしておきながら、その瞬間には呑気に洗濯していて見逃したのだった。
ここまでくればツメが甘いというよりも、大バカ者である。
そして失意のどん底にいる私に、YOKOさんが追い討ちをかけるように「私もそう思った。あなたの人生こんなもんなんだな〜って」とポツリ。
その後、母子で大騒ぎに大騒ぎを重ねた末に、フジテレビのHPにて瞬きするほど一瞬のホームズテレビデビューの映像を見ることができた。
そのことに関してはひとまずめでたしめでたしと言えなくもないが、この先もこうやって一生タイミングを逃す人生を送っていくのかと思うと、なんだかガックリくる。
「幸せを数えたら〜 片手にさえ余る〜 不幸せ数えたら〜 両手でも足りない〜♪」などと、ふと口ずさんでしまう自分がそこにいたりして。。。
そこで今度はバジママさんが別のクッキーをくださるが、これも同じ。
家では喜んで食べるし、べつに外では物を食べてはいけないという躾けをしているわけでもないのに、なぜか食べようとしない。
ところが「じゃあ、これは?」とバジママさんがジャーキータイプのおやつを出してくるなり、ホームズの態度がコロリと変わる。
「もっとちょ〜だい」とせがんだ挙げ句、バジママさんに張り付いて離れない。ホームズったらなんてお利口さんなのだろう、そう、栄養は外で摂ってくるのよ……ではなくて、なんてゲンキンな奴!
思わず飼い主赤面。「おにょれホームズ〜恥かかせおって〜」と内心どついてやりたい心境。
ひと息入れたのち、YOKOさんがハンドラーのTさんにご挨拶に行き、残された我々はまたしても売店めぐり。
しかしこの熱気溢れる人ごみの中を、ちび黒サンボのトラよろしくグルグル回っていてはさすがに喉も渇いてきた。そこでYOKOさん、バジママさん、サトシさんと自動販売機でジュースを買い、会場の裏庭に出る。
ビッグサイト館内はショー会場以外に犬を連れて出られないが、会場が一階にあるため、建物に面した裏庭がギャラリーや参加者たちの休憩場になっている。そして会場の入り口でチケットさえ提示すれば、何度でも出入りが可能。
野外は少々風が出てきてはいたが、相変わらずのポカポカ陽気で空も青い。ジュースを飲みながら煙を吐き出すと、まさに生き返った気分。
ここでサトシさんが犬たちにおやつのクッキーをくださった。
ところが一旦は口に入れたものの、ホームズはクッキーを食べず地面
に置いてまった。
その後バジママさんにピッタリマークで離れないホームズ
バジママさんからジャーキータイプのおやつをもらうホームズ
ってもいいですか?」の声とともに、な、なんと冗談が冗談でなくなってしまった!!
もちろん異論のあるはずもなく、鼻息も荒く「お願いします!」と満面の笑み。言うまでもなく撮影の対象は犬たちだが、こちらとて体脂肪率急上昇中のこの身を全国に晒したくはナイ。
犬を撮影するところを初めて見たが、小型のイタグレのこととてカメラマンさんは腹這い状態。そして犬が正面向いてカメラレンズに収まるのを忍耐強く待つ。
しかしシール組のやんちゃ姫たちは「そんなこと知らないも〜ん」とふざけっこに忙しい。そしてただ一頭だけ蚊帳の外にはじき出されてぼ〜っとしていたホームズに白羽の矢が。。。
もうこうなったらホームズの意向もへったくれも無い。ミーハ―飼い主、スパルタステージママに大変身。「座れ」だの「前を見ろ」だの、我を忘れて躍起になる。
やがて撮影も終わりテレビ局のかたが行ってしまうと、「でもこういうのって時間の都合でカットされちゃうのが常なんだよね〜」などとちょっと余裕に構えてYOKOさんたちと言い合いながらも、隙を突いて公衆電話にダッシュ(←今どき携帯持ってない人)
家に電話をかけるなり「ホームズがテレビに出るかも知れないから、今日は一日チャンネルを8に合わせてニュースを見るべし!」と、手のひらを返したような期待満々の態度に変身。
ところで今日という日はドッグショーを見にきていたわけだが、その後に何をしていたかというと例によって売店めぐり。イタグレの審査は午前中に終わってしまっていたため、ひたすら売店めぐり。そしてさらに売店めぐり。脇に抱えたホームズが、だんだんダランとしてきても、抱えなおして売店めぐり。
バジルちゃんとの再会に抱きついて喜ぶホームズ
かつてはブレイズもビビリまくった、このショー会場の尋常ならざる人と犬の波も喧騒も恐るるに足りず。目の前に立ちはだかるものは、たとえそれが自分より何倍も大きいボルゾイの尻尾であろうがちょっかいを出したがるファイト!
ちなみにこのボルゾイは大変大人しい子だったがホームズは尻込みをし、かつあらぬ方向に視線を泳がせていた。
そしてウララちゃんと同胎姉妹のティアラちゃんが到着するに及んでは、くんずほぐれず毬のように転がりながら再会を喜び合う(←のちに白熱しすぎて姉妹喧嘩に発展する)
そんな折も折、ふと気がつくとすぐ近くに撮影機材を担いだ御仁の姿が。
見ればその機材の横には燦然と『フジテレビ』の文字。どうやらアジアインターの取材らしい。
昔からミーハ―根性と野次馬根性の権化のような私は、テレビ局というだけで妙にわくわくしてしまう。ヒソヒソと「テレビ局が来てるよ〜。映っちゃったらどうする〜?」などと冗談を交わし合っていると、「すみません、ちょっと撮らせてもら
周囲の人たちから筑波博に行ってきたという話を耳にするにつけ、「えらい気合いが入ってるな〜」などと感心したものだった。そして数年後にようやく自分の誤りに気づく。気づくの遅すぎっ!
ちなみに筑波は茨城で、千葉とは隣接している。九州のは筑紫(←しかも一字しか合ってナイ)
そうやって自分の誤りにはそ知らぬ顔で口を拭っている間にも、一行を乗せた車はビッグサイトに到着。
さすがに晴天に恵まれた今年は、前回よりも観客動員数が多い。ショー会場の中はすでに人の熱気でゆで卵ができそうなほどだ。
そして車の中での張り切りようはどこへやら、今回も今回とてビビリまくるホームズ。さらには車中にて最初の時点ではしゃぎ過ぎたため、車を降りる前からすでに電池切れを起こしていたわけだが。。。
そんなテンション下降中のホームズの救世主となったのが、Little
Wonder 末っ子パピーのウララちゃん。
喜ぶホームズ。しかし今回マリちゃんママが出産したパピーたちはノリがハンパではなかった。イケイケぶりの桁が今までの子たちとは違う。
ホームズが「わ〜い♪」と思う間もあらばこそ、「お姉ちゃん(血は繋がってないけど)、遊んでぇ〜」とパンチの連打が飛ぶ。家では同じことをブレイズやワトスンに対してやっているくせに、こと自分に関しては怯むホームズ。思わず「あんた家では同じことしてるでしょうが〜」と説教してやるものの、そういうことは学習も教訓にもしないのが犬の犬たるところであろう。
それにしても今回の子たちのイケイケぶりの何と素晴らしいことか!それはもう惚れ惚れするほど。
徐々に勢力を拡大しつつある黒(シール)軍団たち。
写真だと誰が誰だか見分けがつかない(^^;
もちろん昨年のアジアインターで雨と寒さに祟られ、悲惨な目に合ったことなどきれいさっぱり忘れている。
さて、今回のアジアインターにおける目玉その1は、我らがLittle
Wonder & YAG'Eの西の元締め、YAG'Eさんの東京入りが実現したことだろう。
何度か事前情報はキャッチしていたものの、ご多忙な身に加えてやはり大阪は遠い。なかなか実現には至らならなかった。
私的にお会いするのはこれが2度目なのだが、YOKOさんと一緒の時に度々YOKOさんの携帯に電話があったりするので「お噂はかねがね♪」という感じだったりする。
東の元締めと西の元締めの電話は、傍で聞いているとまるで二元漫才。
会話の断片から想像するに、YOKOさんがツッコミでYAG'Eさんがボケ担当というのが当らずとも遠からずか。
約3年ぶりのYAG'Eさんは、すっかり普通の人だった。
では以前はどうだったのかと言うと、なんとなくミュージシャンぽかったとだけ記しておこう。
しかしこちらがそう思っている以上、先方にだって思うところはある。ずばり「太った?」と、ドンピシャの線を突かれてしまった。
そんな恐るべき洞察力のYAG'Eさんだったが、いきなり「有明海ってさ〜」と予期せぬボケをかまし、YOKOさんと私に同時ツッコミを入れられる。
同じ有明は有明でも、東京湾にムツゴロウはおりまへんて。
とはいえ、実はYAG'Eさんのイージーミスを笑える立場ではなかったりする。
なぜなら長いこと『筑波博』は九州で開催されたと思っていたからだ。





散歩中に「わあ〜カワイイ〜、カンガルーみたい〜」と声を掛けられた。
イタグレに「カンガルー犬」という別名をつけている人は、ご近所界隈でも少なくない。
だが考えてみれば「カンガルーみたい」という根拠には、ぴょんぴょん飛び跳ねてるという裏打ちもある。
リードを付けてぴょんぴょん飛び跳ねながら散歩している。。。
要するに躾ができてないって証拠じゃん! みたいな。。。
ショードッグへの道は遠い(出ないけど)
ブレイズが後脚をクロスさせたまま寝転んでいた。
起き上がろうとして足が絡まっていることに気づき、一瞬困ったような目でこちらを見上げる。
足の長いイタグレならではのアクシデントだが、実はそれ以前の話ではないかとの噂もある。
ブレイズならではの、おマヌケ話かと。
わが家の春は狂犬病の予防注射とともにやってくる。
そして柔らかな南風吹くなか、財布の中には隙間風が吹き荒れる。これを皮切りに、混合ワクチンだの、フィラリアの予防薬だの、イベント目白押しになるからだ。
さてワトスンとブレイズは何事もなく終わった狂犬病の予防注射であるが、ホームズではある意味大いに盛り上がった。
注射の洗礼は大人しく受けたホームズだったが、「ついでに爪も切っておこうか」とYOKOさんが背後の棚から爪切りを取り出している時に「ヒュ〜ン ヒュ〜ン」とめそめそ泣きが始まった。
そして「注射がしみちゃったかな〜。かわいそうだったね〜」とYOKOさんが慰めを言い終わるか終わらないうちに、めそめそ泣きは「ギャオ〜ン! ギャオ〜ン!」と地獄の釜の蓋が開いたかのような大絶叫へと(今回も)変わった。
ホームズを押さえていた先生が「よしよし」と抱きかかえて宥めようとしてくださったのを、先生の聴診器に食らいついてアダで返すホームズ。もちろんわざとではない。絶叫している口先にたまたま聴診器があったため、どさくさ紛れに思わず食いついてしまったのだ。が、壊されちゃたまらない。慌ててホームズを受け取る。
ここに至り、すっかり凹んでしまったホームズ。私の脇の下に顔を突っ込んでぐんにゃりしているその姿は、腕の中に埋もれて本当に凹んでいた。
爪を切るために前脚をつかんでも無反応。なすがまま、されるがままで足に全然力が入っていない。
ヌイグルミで中身のあまり入っていないクタクタのやつがあるが、まさにそれ状態。
ここまで落ち込むホームズは滅多に見ないが、あまりのオーバーアクションに可哀相と思う間もなく、つい大爆笑してしまった無情な飼い主とは誰あろうこの私。
しかもこれは注射針を抜いてから、優に1分は経過した頃の出来事である。
何ゆえ針が刺さった瞬間じゃないわけ??
4月3日、今年もアジアインターに行ってきた。
昨年のアジアインターとはうって変わり、当日は朝から絶好のイタグレ日和と相成る。
しかし晴天に恵まれようが霰が降ろうが、今回も連れていくのは3頭中でいちばん軽量かつコンパクト、持ち運びに便利なホームズのみと決まっていた。
にもかかわらず、前日の晩からさりげに飼い主の動向を見張るブレイズ。そして当日、その甲斐もなく、またしても置いてきぼりにされるブレイズ。
いっそ今回はブレイズを連れて行ってやろうか。そんな考えも頭をよぎったが、往生際の悪いホームズを置いていくと腹立ち紛れにろくでもないことをしでかしそうなので、結局は我の強いモン勝ち。
「待って〜 置いてかないで〜」と切ない声で鳴くブレイズを尻目に、嬉々として家を後にし、迎えにきてくださったYOKOさんの車に乗り込む薄情なホームズ。