2002年は骨折に始まり骨折に終わった年だった。
年明け早々からホームズが左前脚を骨折し、年末に父親が左肩を骨折したのだ。
そしてその2匹の世話係だった私。ホームズは分かるが、父の場合、別に父ひとり子ひとりという家族構成じゃないんだけど…
ホームズはカワイイが、ギブスの取れるまで心配の種は尽きなかった。父は幸いにも利き腕は無事だったので介助はそれほど大変でもなかったが、態度がカワイクなかった。本人に悪気が無いのは分かっているが、ひとこと余計かひとこと多い。
だからして私は別の意味で骨を折った。願わくば2003年は骨折り損にならない年であって欲しいものだ。

冬の風物詩、それはホームズのジンマシンとブレイズの鼻炎。
ホームズのジンマシンはストーブのまん前にいたり、朝の寝起きなど長時間温まると発症するようだ。幸いにも発疹が出るのは顔だけで本人も痒がらないし、1時間ほどで消えてしまう。
今では慣れっこになってしまって「あ〜、また出てるよ」程度にしか思わないが、最初に見た時にはおおいに焦った。
正確にはジンマシンはブレイズで1度経験済みなのだが、ホームズの場合、顔の半分が3箇所ほど腫れあがり、目はカウンターパンチをお見舞いされた矢吹ジョーさながらに。まるで違う生き物と化してしまったのだ。
またある時は布団に潜って寝ていたホームズの耳が、ふやけたような妙な質感になっていた。裏返してみると、耳の内側のピンクの部分(ほとんど毛の生えていないところ)が毒キノコ状態の水玉模様に…
ホームズの場合は症状がごく軽いし、原因もおおかた予想がついているので今のところ放置しているが、発疹が喉に出てしまうと要注意らしい。腫れ具合によっては気道が圧迫され、呼吸が苦しくなるのだそうだ。
今年も冬の始まりとともに2〜3度お目見えしたが、それ以降はまだ発疹らしい発疹は出ていない。成犬になって体力(抵抗力)がついたというところか。
反してブレイズの鼻炎はこの冬も盛大だ。「ヘ〜プシュィ〜ン!」と、別の部屋にいても聞こえるほど派手なクシャミをし、時には副産物として鼻水を飛ばすことも。そして「ズズ〜」と鼻水をすする。おかげでシーツや服などにカピカピになったシミを発見することもしばしば。
が、ブレイズには気の毒だが、これはこれでなかなかオヤジくさくてオモロかったりする。
まぁ、ひとつの個性ということで。。。
そんなイタグレたちにとっては迷惑な冬だが、私的には嬉しいこともある。時々ではあるが、ワトスンが甘えて膝の上に乗ってきてくれるのだ。
これはイタグレ同様に寒いのが嫌いな飼い主の、冬季限定のささやかな楽しみだったりする。

ワトスンがまだ若かりし頃の話。
コンビニで買い物をする母を、ワトスンと一緒に外で待っていた。そこへどう見てもガソリン満タンのオジさんがコンビニから出てきた。
「かわいいね〜」と声を掛けてくれるも、吐く息がプンプン酒臭い。だから「どうもありがとうございます♪」の返礼で終わりにしたかった。それなのにワトスンときたら尻尾をちぎれんばかりに振って、オジさんに愛想をふりまく(昔は愛想の良い犬だった)。
気を良くしたオジさんがしゃがみ込み、ワトスンはオジさんの赤ら顔をペロペロ舐め回す。
やがて種族を超えたスキンシップはエスカレートの一途をたどり、とうとうチューを始めてしまった。しかも調子に乗った酔っ払いのオヤジ、自分の酒臭い唾を口から出してワトスンに舐めさせだした。しかし小心者の私は「う〜気持ちワル〜!ちょっとオッさん、ワトスンが病気になったらどうするの!!」の言葉を吐き気とともに飲み込む。
出会いがあれば、別れがある。やがてはた迷惑なオヤジは満足して去っていった。
だが、この話の本当の悲劇はこれから起こる。
それから1〜2分後、今度は年の頃なら二十歳前後の若い女の子がコンビニから出てきた。
彼女も「かわいい〜♪」とワトスンに声を掛けてくれる。またしても思い切り愛想をふりまくワトスン。そして制止する間もなく、あろうことか今度は女の子がワトスンとチューを始めてしまったのだ。
ああ〜、酔っ払いオヤジとの間接キス…。むろん彼女はそんなこととはつゆ知らないし、こちらも事実を言うに言えない。世の中には知らないほうが幸せなこともあるさ的な気分。
ただ、ワトスンの汚れた口を消毒してもらったような安堵感と感謝の気持ちが、内心密かに広がっていた。

ホームズグルメ紀行、今回のお題は「干し柿」。
発見が早かったため、干し柿はまわりに点々と歯型がついている段階だった。袋を引っ張り出して破き、1個目を齧り始めたところで御用となったのだ。
犯行現場は母の部屋。1mほどの高さの場所に乗せておいたので大丈夫だと思ったらしいが、イタグレは身体が小さいように見えても、立ち上がると縦に長い。ちょっとした足場さえあれば、それぐらいの高さなど余裕も余裕。日頃ガス台や流し台(おイモ一時保管ゾーン)に伸び上がって盗み食いのチャンスを窺っているホームズたちを見ているはずなのに、まったく母ときたら計算が甘い。
盗み食いを報告すると、「種は飲み込んでないよね」と焦る母。種が腸にでも詰まったら大変だと考えたらしい。たしかに以前ブレイズが4cmほどのウサギの毛の塊を丸呑みした時には私も焦った。しかし柿の種の場合、大きければ噛み砕くだろうし、小さければそのままウンチで出てくるのでは??
そんな要らぬ心配をするより、隠し場所の心配をしたほうが身のためだと内心密かに思っていたりして…