"花組芝居・悪女クレオパトラ"音楽制作日記

クレオパトラちらし
 ふとしたことから、この企画を思いついてしまいました。三日坊主の私に、いったい続けられるものやら心配ですが。また、公演を見る前にネタばれしてしまったら絶対おもしろくないし、どこまで具体的な内容について触れられるか微妙なところでもありますが。
 あらかじめお断りしておきますが、話題が内輪的でご理解しにくい点もあろうかと思いますが、ご容赦ください。

お読みになりましたら、ご意見・ご感想・ご質問などをお寄せください。nt7a-skmt@asahi-net.or.jp


'97.6.22
 三軒茶屋キャロットタワー内の喫茶店。今回の作曲に関しての打ち合わせ。今回は義太夫三味線の田中悠美子さんと分担・共同作業となる。サンプル曲を聴きながら説明を聞く。といってもまだ台本がないので、全体のイメージやすでに具体的な構想があるものについての話が中心。えぇ?SMAP?J-Pop?普段は全然聞かないからなあ。それにエスニックか。それに加えて義太夫?今回のサウンドテーマは無節操な非統一感かしら。前衛的な演出とのことなので。アジア・中近東・アフリカあたりの音ネタを用意しよう。

'97.7.2〜7.27
 加納さんから4回に分けて週1回程度のペースで台本のFAXが届く。2〜3シーンできるごとに5〜10ページのFAX。家のFAXは紙をカットしてくれないので、巻物のような状態で。曲の構想を練っているうちに、もう曲の指示が20箇所を越えてしまった。台本は、これでほぼ9割方の完成だとのこと。前後のつながりなく、できあがったシーンから送られてくるので、登場人物の関係や位置づけがうまく把握できない。私、クレオパトラの話をちゃんと読んだことがないのです。図書館からクレオパトラに関する本を数冊借りてきて読んでみる。それで全体の話の流れは把握できた。しかし、クレオパトラという人物像は宮尾登美子的少女漫画チックな捉え方から、近親相姦や性の奥義を究めた妖艶な女という解釈からいろいろあって、おもしろい。
 この間に音ネタや必要となるメディアなどを用意する。特にバックアップは必須で、ハードディスクレコーダを使用している関係で、ディスクが飛んでしまったらすべてやり直し。とりあえず230MBのMOディスクを10枚用意した。前回・前々回はこの程度(約2GB)で間に合ったのだが、今回は三味線の録音が多くなりそうなので足りないかも。

'97.8.1
 明日は三味線の録音のため、田中悠美子さんが家にやってくる。家にはまともなマイクがなかったので、最近コストパフォーマンスが高いと評判のRODEのコンデンサーマイクを事前に購入してある。しかし、はたと気がついた。家には私の分しか椅子がない!急遽、渋谷のハンズで折り畳み椅子を2つ購入。その後、友人で元花組の広田豹が出演する青空美人の公演を青山円形劇場にて見る。観劇の後、花組の大井ちゃん、いりえちゃん、"花組Theater Goer's"でお馴染みの大原さん等々大勢で飲みに行く。でも、いりえちゃんや大原さんとはあまりお話しできなかった。残念。

'97.8.2
 三味線録音。田中由美子さんの担当部分を録音する。彼女はあんパンをおみやげに持ってきてくれた(私、あんこ系の甘い物はちょっと苦手:ごめんなさい)。義太夫に使われる太棹はさぞや大きいのかと思ったら、なんと分解して持ってきた。持ち運びに便利なように分解できる構造になっているようだ。それから、日本の胡弓を間近で初めて見た。弦が3本あるんだ。なにも知らない私。彼女のキャリアからもわかるように、さすがの弾きっぷりでした。さすがに8時間に及ぶ録音で終わりの方はぐったりしていましたが。小柄なのにパワーありますね。
 録音の途中から加納さんが合流。事前の電話では、台本の残りを書き上げたいので、仕上がったら伺いますとおっしゃっていたが、はたして出来立ての台本を持参して下さった。田中さんの義太夫を聞いて、大いに納得した様子。
 現段階では曲の指示が30曲ほどある。試作した物が6曲でまだまだ全然。稽古初日は11日だが、それまでに何曲試作できるだろう。

'97.8.5
 クレオパトラ登場の曲ができあがる。歌も入っているのですが、これを加納さんが歌うのだろうか・・・。しかし深夜にこんな歌をとっている私は何者だろう。
さて、今回も何曲か役者さんの歌が入る予定。他にも、ミイラの歌なんてういものができあがっている。ミイラのスマップか?まだ作ってないけど、アントニウスの演説歌やローマ兵士の歌なども・・・

'97.8.11
 都内某所にて稽古初日。顔合わせと演出プランの説明・本読みなど。まだ台本も構成も含めて流動的だそうだ。キャストも決まっていない。本読みをしながらプランを練るそうだ。キャストについて加納さんに聞いたところ、私の作った歌が歌えるかどうかも考え出すと、なかなか決められないと冗談混じりに言っていた。

'97.8.18
 昨日、作りためた何曲かをMDとDATに納めて、速達で加納さんと田中さんへ送付した。すでに届いたらしく、早速昼前に加納さんから連絡がある。”上方騒ぎの部分には太棹を入れた方がよさそうに思うので、入れてみてくれますか?”。あるいは稽古場で合わせてみた後、”千鳥の合方の45秒から以降の尺を3倍に延ばしてもらえますか?”などといった具合に手直しの指示が入る。また、”XXの場は、台本を零から書き直していて、出来上がり次第FAXしますので、その部分の曲は保留にしておいて下さい”とも。このような具合に、稽古と平行して作業している。
 今回送った曲のいくつかは、歌舞伎の下座音楽をモチーフにしている。もちろん全然違ったものに仕上がっていますが。きっと聞いても、これがそうだと言われなければわからないでしょう。あと、中近東系の音色を意識して使ってみたりしてます。

'97.8.20
 中近東系といえば、Led Zeppelinの"Kashmir"という曲が思い浮かびますが(そんなの思い浮かぶの私だけ?)、どこかに遊びでそれ風な曲を入れたいな。でもまだ手を着けてないシーンの中で、入りそうな部分はないなぁ。残念。

'97.8.22
 演出助手の山中さんから電話。曲の進行状況の問い合わせ。読み合わせの段階でやはり曲を合わせてみてみたいので、何曲かできたら送付するのではなく、1曲できたらすぐに送って欲しいとのこと。確かに今回は歌が多いし、それが場面進行の重要な役割(歯切れ悪い表現ですいません)を担う箇所が多いので、早めにチェックして方向性を示しておきたいところなのでしょう。そういった曲が後何曲か残っている。

'97.8.24
 一時はやっていたJANGLEというリズムパターンがありますが、これ使ってみようかな。ん、これを和楽器に置き換えたらおもしろいかな。あ、お囃子のようで面白いや。ああ、これは和洋それぞれを別なシーンに使ってみよう。てな具合に安易に作られてしまうこともあります。

'97.8.25
 そういえば、書き直しの台本まだ来ないな。難航しているのかしら。さっき中脇ちゃんのホームページを見たらキャスティングもまだ決まっていないと書いてあった。これは土壇場まで変更・修正がありそうですね。

'97.8.26
 今朝8時半頃に加納さんから電話。昨日送った分についてのコメントをもらう。歌など大筋ではOKをいただいた。歌の旋律が”お囃子マンボ”みたいだから、そこだけお囃子を入れてみて欲しいとか、曲のエンディングの止め拍子は能風ではなくて、洋風な感じで等々。
 手直しの台本はできあがっているそうですが、稽古で合わせてみて曲をどうするか考えたいので保留中とのこと。電話中に倉庫搬出隊が到着したらしくドアベルが鳴っていた。今日から立ち稽古のため、小道具類を運ぶのだろう。
 午後、制作の大宮さんから電話。本番用の録音編集の予定について。義太夫関係は9月16日頃、歌と本編集は23日頃になりそうだ。そろそろ尻に火がついてきた。

'97.8.27
 朝8時頃加納さんより電話。この電話で目が覚めた。加納さんは朝型人間なのだそうだ。昨日の稽古で合わせてみて浮かんだ修正点についての指示。それから、台本の構成見直しによる修正や新たに追加する3曲の説明などを聞く。この追加でキューの数が45を越えた。
 今週末に田中さんがやってきて新たに録音をするが、稽古をお休みにして加納さんも参加することに。前回録音した義太夫のキーを変更する必要が出てきたらしい。今回は歌ものが多いからその手の修正が数多い。

'97.8.30
 第2回目の録音。長丁場でした。昼過ぎから始めて真夜中までかかりました。それでも全てを録り終えることはできずに、来週もう一度残りを録音することに。加納さんも稽古を休みにして駆けつけてくれました。やはり音の仕上がり(内容的なものとペース)が気になっている様子。
 xxのシーンに使う義太夫の合間に、私がだんまり模様の曲を作り、大筋加納さんからもOKが出ていた曲が、どうも田中さんのイメージに合わないらしい。結局1から作り直す方向で私も納得。田中さんは良いよなぁ、録音すんだら作業はおしまいなんだから。作り直すのは俺だぜぇ、と愚痴ってみたりして。はは。でも、実は共同でなにか創作する場合には必ず直面するイメージのずれこそが、共同作業の一番面白いところなんですよね。相手がどういうイメージを持っているのかを推測しながら議論し、イメージを摺り合わせてよりよいものを作っていくのは楽しいですね。それがイヤだったらこんな商売やってられまへん。

'97.9.1
 一曲どーもイメージが浮かんでこない曲があるんだよなぁ。先日録音の合間に作りかけていたものを加納さんに聴いてもらっても、イメージがちょっと違うと指摘されたし。ちょっと違うかなあってわかっているんだけど、いい感じの浮かんでこないの。手直しは別にして、まだ手をつけてない曲はほとんどあとそれ位なんだけど。

'97.9.4
 田中さんの太棹による、管弦合方に他の音をかぶせる。イメージがディスコ風のものとエスニック風のものと2つ浮かんだので、どちらを選択すべきか迷う。えーい両方作ってしまえ。

'97.9.5
 できた曲を送るのと入れ違いに、加納さんからFAXが入る。後を追うようにサンプルを収録したMDが速達で届く。9月3日に通し稽古(といっても演技以外の段取りや流れを確認するためのもの)の結果明らかになった、サウンドへのリクエストである。おっと、3曲が修正、さらに3曲が新たに追加だ。先日より難航するxxのシーンは再度1から作り直しの指示。なかなか引っかかって決まりませんね。

'97.9.7
 3回目の太棹・胡弓録音。残りから考えて2〜3時間で終わらないだろうか、と期待していたが甘かった。結局13時から22時まで。この日の稽古を休みにして、加納さんも立ち会った。田中さんの曲を、あえこれ言いながら音を録音したり加工したりして仕上げていく。これで田中さんの担当部分は全て終了と言うことになる。お帰れ様でした。
 先週録音した音を音響の清水さんに聞いてもらったところ、音質的に問題はなくあえてスタジオで取り直す必要はないだろうとの見解をいただき、16日に予定されていた太棹類のスタジオ録音はキャンセルになった。さらに、歌の録音だけで1日かかってしまいそうなので、歌は23日・本編集は30日の2日間に変更になった。ラッキー。本編集まで日がのびたので手直しの時間に余裕ができた。
 しかし、前回の録音時もそうだったが、作業が終盤にさしかかるとやたらとMacが落ちまくるんだよなあ、まるでもう疲れたからやめてくれと言わんばかりに。しかも録音の最中に落ちるので演奏している田中さんには申し訳ないし、しかしいったいどうなっているのか理由がさっぱりわからず困った。症状的にはハードディスクレコーダーのバッファーがオーバーフローしてハングしているようで、場合によってはMac本体をリスタートしてもハングしたときの音が鳴り続けていたりする。誰か対処法を教えて・・。

'97.9.10
 演出助手山中さんから電話。本編集日は29日に訂正。録音前に歌の稽古をしたいので日程の調整の問い合わせ。田中さんの担当する義太夫の練習は13日に行う。私も行けるようだったら参加する。私が担当の歌練習は20日に行うことになる。それまでに本番用のオケを用意しなければ。

'97.9.11
 朝、加納さんよりFAX。立ち稽古の都合で至急必要な曲のリストが送られてきた。まずいな、催促されてしまった。現時点で全然手を着けていない曲が1曲ある。それも至急必要だし、段取りを合わせるためや踊りの振り付けのためにも必要なものもあるし、役者さんが歌を練習するためのカラオケも必要だ。うーん、端から手を着けていくか。

'97.9.14
 田中さんより電話。昨日稽古場で役者さんの義太夫謡を練習したとのこと。私も行く予定にしていたが、1曲仕上がらない曲があってそれを作業するために参加しなかった。思っていたよりもうまく謡えていたので安心したらしい。23日の歌録音の際に、太棹を部分的に差し替えたいがどうだろうかとの打診。音色が重いので太棹の駒を変えて取り直したいそうだ。録音環境が違うので私の家で録音した音とうまくつながるか心配。あと、時間的に余裕があるか検討してみる必要がありそう。

'97.9.15
 稽古場訪問。立ち稽古で段取りやら演出を煮詰めている状態。稽古場へ入るなり、ガンバ大阪のエムボマみたいっすよ、その髪型、だって。そりゃないっしょ、大井ちゃん。今日の稽古は予定通り6ページ進んだとのこと。チケット売り上げ一覧表が張ってある。ほんとに土日は完売しているようだ。制作の大宮さんの話では、世田谷パブリックシアターは公共施設で立ち見は入れられないそうなので、土日当日券のお客さんには入れない人も出てくるかもしれないそうだ。15日水曜日の昼と(この日はビデオ収緑があるそうだ)18日土曜日の夜に追加公演を行うので、ご覧になりたい方にはこっちを勧めて下さいって。
 稽古終了後、役者さんが踊りの自主練に励んでいる。ジャニーズ系の動きは三十路の体にはきつそうだ。その後、加納さん、植本ちゃん、それからジュサブローさんの事務所をまかされている、息子の寿和さんと飲みに行く。舞台関係の話題で盛り上がったが、連日の寝不足のため帰りはふらふらだった。

'97.9.16
 松竹のクレオパトラ公演を見に行った。舞台の上手と下手の幕前にドラム・パーカッションが置いてあり、芝居の進行に合わせて3人の演奏者が生演奏していた。軍隊は太鼓ね、やはり。それからオーケストラを使ったと思われる音楽など、かけてる金がだいぶん違うんでしょうね。ただ、花組の公演とは質的に違うので、参考にはなりませんでしたが。

'97.9.18
 歌録音ための準備を始めているが、よくよく並べてみると相当な分量になる。また、1曲がかなり長かったりする。今回の公演は壮大なる前衛劇か、はたまた花組歌謡ショーか!?

'97.9.19
 なんとかしてくれー! Mac上で走らせているシーケンサーが、どこをどう設定を変えても途中でハングして動かなくなってしまう。太棹など録音したもの全てはこのシーケンサーを経由して録音れているので、この期に及んで出来なくなりましたでは済まされない。あの手この手と復旧を試みたあげく、シーケンサーソフトのいくつかのファイルが壊れていると判断し、そっくり全部捨てて再インストールしたら直った。おかげで朝まで一睡もできず。朝方ずいぶん雨が降っていると思ったら台風が来ていたのね。

'97.9.20
 稽古場にて歌の稽古。配役や声のキーや声質に応じてパートを割り振る。花組音楽班の植本ちゃんにサポートしてもらって練習した。みなさん役者が本業ですから、必ずしも全員歌が上手という訳ではないので、その辺は大目に見てやって下さい。ある曲で女性ボーカルをどうしても入れたいと言うことになり、以前花組の公演・雪の丞変化に参加された、宝塚出身の幸和希さんに依頼することに。そしてその曲の歌はゲスト編と言うことで、男性コーラスは私がやることに。うわあ、大変だ。
 夕方から通し稽古。一通りの立ち稽古をつけたあと初めての通しだそうだ。全体を見るのは私も初めて。ジュサブローさんを含め関係者が集まる。木原さんも来ていた。芝居は2時間をゆうに超える大作になります。観劇前にクレオパトラにまつわる話を予習しておくとより一層楽しめるかもしれません。通しの中で楽曲の問題点も浮かび上がってきたので、改めて手直しが必要になる。
 稽古後、加納さん木原さん水下さん山下さん、それから楽曲の版権管理を依頼しているグラスフルーツの西垣さんと飲みに行った。木原さんが通しを見た忌憚のない感想を加納さんにぶつける。加納さんは黙ってそれに耳を傾ける。
 帰りの電車で木原さんと蕎麦の話題で盛り上がる。木原さん、今度浅草大黒屋へ連れていって下さい。

'97.9.21
 昨日の稽古で指摘された歌を修正する。幸和希さんが歌うものだ。23日が録音なので事前に楽譜とテープをお渡しすることが出来るかどうか。今日は稽古が休みなので、できあがったものを加納さんの家へ届けた。

'97.9.23
 世田谷パブリックシアター関連施設内にある録音スタジオで歌の録音。お役所施設なので10時始まり22時退室のケツカッチン。前半は義太夫から録音する。11時頃から始めて、17時近くまでかかる。うーん、このペースでは今日中に歌を全て録り終えることは出来ないな。案の定録り残しが出てしまった。その分は29日の本編集の際に行う事になる。20時前にミュージカルの稽古を終えて駆けつけた幸和希さんが到着。さすがに本職は手慣れた感じで段取りがはかどる。私が歌った仮歌ではダークダックスみたいなコーラスだったのが、一転華やかな感じに仕上がった。加えて私のハモリも録音した。多々納得いかない点はあったが、私の歌はご愛敬なのでご容赦下さい。でも宝塚出身の方とデュエットできて楽しかったです。
 終了後、加納さん幸さん桂・植本・八代・大井ちゃんらと飲みに行く。奇しくも植本ちゃんと私の誕生日が同じだと言うことが判明。毎年誕生日には思い出すね。

'97.9.24
 稽古場訪問。エンディング部分など、まだ演出が固まっていないところがあり、音もまだ流動的なので、稽古を見ながら音もイメージを作っていく。結局この時点でまだ演出の固まっていないシーンがあるので、そこは後日改めて稽古を見せてもらう予定。21時に稽古終了後、家に帰って作業を進める。本番用の編集までもうあまり時間がない。

'97.9.26
 指摘された修正個所を直したものと、先日のエンディング部を作成して稽古場へ持参。そこで未定のシーンを見せてもらう予定だったが、音先で行くことになり曲の雰囲気や尺を詰める。日曜日には稽古で合わせて、本編集までに不具合を修正できように日曜の朝までに加納さんへ届けることにする。

'97.9.27
 昨晩から作り続けていてようやく明け方近くに一揃いできあがったので、そのまま加納さんの自宅ポストへ届ける。家から加納さんの家までは夜中なら車で20分くらい。
 昼前に稽古場へ確認の連絡を入れたら、朝ポストを確認する余裕がなくて手元にないとのこと。まずい。誰かが取りに行ってくれることになったが、連絡しなかったら行き違いになっていたところ。
 夕方、曲を確認した加納さんから連絡。大筋でOK。あとはいくつか台詞バックに流れる部分の尺や音の雰囲気などいくつか修正点をもらう。

'97.9.28
 夕方から通し稽古。しかし私は明日の編集までに手直しを終える必要があるため、参加せず。21時頃、通し終了の頃合いを見計らって、最終確認の連絡を入れる。加納さんは何ヶ所か気になる点があるらしく、今晩ビデオで確認して最終的に決定したいので、明日の編集には数曲に関して異なる尺を用意して下さいとのこと。また、田中さんが通しを見てオープニング部のつながりなど幾つか気になった点を指摘。明日までに間に合う部分は修正し、明日の編集で直せる部分はその時対応することに。

'97.9.29
 本番用の編集。先日録り残した歌から録音。パート数が多いので11時頃から録音をスタートしたが結局14時くらいまでかかってしまった。
 その後、順番にマスターへ落としていく。公演では3台のCD(うち1台は4ch)を使って音出しするので、各CDごとに曲順にあわせてマスターを作っていく。主に歌の入っている4chCDから始めるが、その場でミキシングしながらの作業のためなかなかはかどらない。夕方には田中さんも駆けつけて編集に立ち会う。雷蔵さんの川に溺れながらしゃべる台詞を録音したが、水の中の声の効果を出すのに音響の清水さんが御大自ら洗面器に張った水にストローをさし、台詞に合わせてブクブクブクブク。さすが音効職人さんだ。
 そうこうするうちに、1枚目のCD分が終わったのが23時。ここで田中さんは帰宅。結局全部撮り終わったのが朝の6時。ここで加納さんと私は帰宅。演出助手の山中さんと音響の清水さん奥山さんは、この後稽古用にマスターからダビング作業があるので残っていた。それにしても加納さんこの日(9.30)の稽古は大丈夫だったのだろうか。

'97.10.1
 昼にグラスフルーツの西垣さんから電話。劇場で限定販売する公演記念カセットの収録について。基本的には歌で行きましょうと言うことになっているが、本番用の音は生で歌う部分を収録していないので、録音し直さなければならない。しかし、劇場入りが間近にせまり稽古も切迫している状況で、役者さんがスタジオに集合して録音する時間的な余裕がない。結局自主練習時間の午前中の合間を縫って、稽古場で収録する方向で決まる。

'97.10.2
 グラスフルーツ事務所にて公演記念カセット制作の件で西垣さんと打ち合わせ。昨夜制作の大宮さんから西垣さんへ連絡があり、稽古が間に合わないので歌を録音する余裕がなく、手持ちの素材を利用してカセットを作って欲しいという事になった。片面分の”ミイラの歌”と”船の道行”はDATに落として持参したのだが、もう片面分はこれから新たに作ることになった。歌を録音すれば、本番用のカラオケにミックスして楽勝で出来上がりと思っていただけに、時間的にちょっと心配。しかし西垣さんが納期を月曜日まで延ばしてくれたので、なんとかなるでしょう。ファンの方も贔屓の役者さんの歌が聴きたかったでしょうが、一部割愛になりました。ごめんなさい。

'97.10.5
 カセット用の曲ができあがったので、稽古場へ持参して加納さんにチェックしてもらう。この日は稽古場での最後の通しがあったので、見せてもらう。衣装を着るとまた雰囲気がだいぶん違って感じられる。生で歌うパートは動きが多く衣装をつけていることもあり結構苦しそう。6日は通常の稽古の後ばらしてトラックに積み込むらしい。いよいよ7日から劇場入りだ。
 カセット用の曲はOKをいただいたので、稽古の後広尾のグラスフルーツ事務所へ届ける。これで私の仕事はおしまい(後かたづけを除いて)。後は芝居の仕上がりを楽しみに待ちましょう。お疲れさまでした。

ー完ー 乱文をお読み下さいましてありがとうございました。

**歌の予告編を公開しまーす。** (Real Audio ファイル)
ただし仮歌バージョンなので、歌っているのは私です。あしからず。
##うちの音楽専用マシン・クアドラ君では、11kHzのファイルは処理速度が遅くて聴くことが出来なかった(号泣)ので、5.5kHzに落としました。##

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