東京国際映画祭協賛企画「増村保造レトロスペクティブ」によるリバイバル上映での鑑賞。
源氏鶏太の原作を元にした、「シンデレラ」の翻案的青春映画。若尾文子にとってこれが、後に彼女の主演作全20作を世に送り出すことになる増村保造監督との最初の仕事となる。
田舎に預けられていた妾腹の娘、有子は、祖母の死を機に東京の父の家へ引き取られる。しかし、そこで待ち構えていたのは地獄の日々。正妻やその子等にいじめ抜かれ、女中同然の扱いを受ける。味方は古い女中(蝶々)と、有子が腕力でねじ伏せた末っ子だけ。そんな逆境でも、有子はとにかく明るく前向き。それが返ってまわりの反感を買いもするのだが、当然好感も得る。そして、正宅の長女が狙っていた企業経営者御曹司(川崎敬三)のハートを射止める。その一方で彼女は、まだ見ぬ実母を捜し求める。
テンポよく繰り出されるコミカルな台詞が、場内を爆笑の渦に。近作で、こんなにも心を温め快活にしてくれる作品には巡り合ったことがない。菅原謙二の「武士道精神」と御曹司川崎敬三の頼りないけど一途で率直な愛し方、そして有子の幸せを願って止まないこの二人の不思議な友情。いいコンビだ。
旧作故にビデオでの鑑賞が中心になり勝ちだけれど、映画館という公共空間で観る楽しさもまた格別。一連の特別上映の開幕上映作に相応しい作品だ。観終わった後思わず拍手をしたい衝動に駆られた。
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