クロスステッチ 記事
ステッチ技法
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糸端の始末
糸端は基本的に結びません。裏側でステッチにくぐらせて始末します。
また、刺す目が離れているときは、あまり長く糸を渡さないようにします。そのようなときはいったん切って、離れたところから刺し始めます。これはステッチがゆるんだり、布が引きつれたり、表から渡した糸が透けて見えたりさせないためです。
刺し始め
- 布の裏から糸を表に出します。
- 布の裏に糸端が残る程度に表に引きます。
- 指で裏の糸端を押さえて、表から裏にステッチを刺します。
- ステッチを刺しながら裏の糸端を数個(3から4目程度)のステッチで押さえます。
- 同じ色が数目も続かないときは、隣の他の色のステッチの裏にくぐらせるか、初めのステッチ(裏側)に複数回巻き付けます。
刺し終わり
- 布の裏の刺し終わったステッチ数目の中に糸端をくぐらせ、糸を切ります。
近くにくぐらせるところが何目もないときは、複数回同じ所に巻き付けます。
クロスステッチ
×の形に刺すステッチです。
ここで述べる刺し方は一例です。見た目がそろっていれば刺す順序はあまり気にしなくても構いません。
横に同じ色が並んでいる場合、まずステッチの下側部分を刺してから、上側部分を刺し戻ります。
つまり ××× と刺すには、
- /
1つ目のステッチの左下から表に糸を出し、右上から裏に抜きます。
- //
出した目の下から表に糸を出し、2つ目のステッチの右上から裏に抜きます。
- ///
同様に3ステッチ目の下側部分を刺します。
- //×
出した目の下から表に糸を出し、3つ目のステッチの左上から裏に抜き、3つ目のステッチを完成させます。
- /××
出した目の下から表に糸を出し、2つ目のステッチの左上から裏に抜き、2つ目のステッチを完成させます。
- ×××
同様に1ステッチ目の上側部分を刺します。
- ||||
裏は縦にステッチが並んでいます。
同じ色の目が縦や斜めに並んでいるようなときは、1目ずつ×を完成させて進めます。
- /
1つ目のステッチの左下から表に糸を出し、右上から裏に抜きます。
- ×
出した目の下から表に糸を出し、左上から裏に抜き、1つ目を完成させます。
-
×
/
出した目の2つ下から表に糸を出し、1つ目の右下と同じ布目から裏に抜きます。
-
×
×
出した目の下から表に糸を出し、1つ目の左下と同じ布目から裏に抜き2つ目を完成します。
1つのステッチの上側の糸の傾きがそろうように刺します。上の説明のように右下がり(\)が上に来るように刺したなら、作品中の全てのクロスステッチで上が右下がりになるようにします。
下を\で上を/にするやり方もあります。作品全体で統一されていれば、どちらでもかまいません。
ハーフクロスステッチ
///
クロスステッチの下側だけのステッチです。
裏から見ると、縦にステッチが入ります。(|||||)
布目がゆがみやすいので、しっかりとした固い布にむきます。クロスステッチよりも手間は少ないのですが、目数が数えにくいです。
クロスステッチの替わりに使われるほか、クロスステッチと混ぜて布の色を生かすために使われたりします(クロスステッチにちょうどよい糸の本数でハーフクロスステッチをすると生地の色が多めに出ます)。
ステッチの傾きは\\\でもかまいません。同一作品中の傾きは統一します。
クロスステッチと混ぜるときは、デザインによってステッチの傾きに指定がある場合があります。その場合は図案や作り方に記載されています。
テントステッチ
///
表から見た様子はハーフクロスステッチと同じです。
裏から見ると、長く斜めにステッチが入ります。
ハーフクロスステッチとの違いは、針運びにあります。テントステッチは、刺し進む方向に対し、返し縫いのように戻りながら刺していきます。
たとえば左から右に向かって//////と刺すとき、
ハーフステッチは、左1つめの下→左1つめの上→左2つめの下→左2つめの上→…
と刺し進めますが、
テントステッチは、左1つめの上→左1つめの下→左2つめの上→左2つめの下→…
と刺し進めます。
ステッチの傾きは\\\でもかまいません。同一作品中の傾きは統一します。
テントステッチは布を包み込むように刺すので、繊細な布にむきます。縦糸と横糸が密着していない生地でも、布目に糸がもぐりません。目の細かい布に利用されます。
ストレートステッチ
短い線を表現したり飾りを留めるのに利用されます。1つのステッチで線を表現します。
ステッチしたい線の始点から糸を表に出し、終点から裏に抜きます。クロスステッチ部分に接したり重なったりする場合は、クロスステッチを済ませてから施します。
バックステッチ
長めの線や複雑な線を表現したり輪郭をとるのに利用されます。輪郭をとる場合は1本取りですることが多いです。表から見るとミシンの縫い目のように、複数のステッチですき間なく線を埋めます。
ステッチしたい線の始点より少し中に入った点から糸を表に出し、始点に戻って裏に抜きます。次に先の1目の始点より少し先の点から表に出し、先の1目の始点に戻って裏に抜きます。これをステッチしたい線の終点まで線が埋まるまで繰り返します。裏は半分ずつ重なって2重になります(直線の場合)。
つまり _/ ̄ と刺すには、
- _
1つ目の線の右から表に糸を出し、左から裏に抜きます。
- _/
2つ目の線の右上から表に糸を出し、左下から裏に抜きます。
- _/ ̄
3つ目の線の右から表に糸を出し、左から裏に抜きます。
クロスステッチ部分に接したり重なったりする場合は、クロスステッチを済ませてから施します。
ホルベインステッチ
表の見た目や利用方法はバックステッチと同じです。裏から見てもミシンの縫い目のように線がつながっています。
ステッチしたい線の始点より裁縫の並縫いのように終点まで刺し、反転してステッチのすき間を並縫いの要領で埋めて始点まで埋めます。
つまり _/ ̄ と刺すには、
- _
1つ目の線の左から表に糸を出し、右から裏に抜きます。
- _  ̄
3つ目の線の左から表に糸を出し、右から裏に抜きます。
- _/ ̄
2つ目の線の右上から表に糸を出し、左下から裏に抜きます。
バックステッチとの比較
- 裏がきれいで糸の使用量が少ない
- 複雑な長い線だとステッチ位置を見失いやすい
クロスステッチ部分に接したり重なったりする場合は、クロスステッチを済ませてから施します。
コーチングステッチ
線を表現するのに利用されます。線が目立つので、主に装飾に利用されます。
装飾用の表に出る糸と、留めつけるための糸を用意し、ステッチしたい線の始点から装飾用の糸を表に出し、その糸を線に沿って置き、始点から少し先から留めつけ用の糸を表に出し、装飾用の糸をまたいで同じ所から裏に抜きます。終点の近くまで、要所要所を同様にして留めていきます。留め終わったら装飾用の糸を終点から裏に抜きます。
留めつける糸は少ない本数にして目立たないようにします。
表は装飾用の糸が、裏は留めつけ用の糸が線を形作ります。上糸のきつすぎるミシンの縫い目のような状態です。
このステッチはなるべく仕上げ間際に施します。
フレンチナッツ
点を表現するのに利用されます。
ステッチ位置に糸を表に出し、裁縫の玉結び止めの要領で針に糸を巻き付けて、針先を糸を出した位置よりほんの少しずらした位置に刺し、巻いた部分を押さえて裏に針を抜きます。表には玉結び状の糸が残ります。刺繍針は針穴が大きいので、あまりきつく巻きすぎないようにします。
クロスステッチ部分と重なる場合は、クロスステッチを済ませてから施します。