2003年1月


「オールド・ルーキー」- The Rookie -

 ジョン・リー・ハンコック監督、デニス・クエイド、レイチェル・グリフィス、ジェイ・フェルナンデス、ブライアン・コックス。

 かつてメジャーリーグを目差しプロ野球契約を交したが肩の故障で引退したジム・モリス(デニス・クエイド)、35歳の現在は高校の科学教師と野球チーム"アウルズ"の監督、家族は妻のローリー(レイチェル・グリフィス)と三人の子供。弱小のアウルズを奮起させるため地区優勝したら、自分もプロの入団テストを受けるという約束をするが…。

 35歳の史上最年長ルーキーとしてメジャーリーグのマウンドにあがったジム・モリスのベストセラー小説の映画化。 実話ベースではあるがちょっとでき過ぎた話、まあ感動を押し付けるという所は少ないから許せし、デニス・クエイドの朴訥とした雰囲気に助けられている。
 前半アウルズの地区予選での活躍がちょっと長いためにやや冗長になっているし、プロになってから中だるみ。もうちょっと刈り込んだほうが良かったのに。


「運命の女」- Unfaithful -

 エイドリアン・ライン監督出演、リチャード・ギア、ダイアン・レイン、エリヴィエ・マルティネス、チャド・ロウ、エリック・ペア・サリヴァン、ドミニク・チアニーズ。

 結婚11年目の夫婦、エドワード(リチャード・ギア)とコニー(ダイアン・レイン)はニューヨーク郊外で、息子のチャーリ(エリック・ペア・サリヴァン)とともに平和に暮らしていた。ある風の強い日、チャーリーの誕生日プレゼントを買いに町で出たコニーは、本の売買をする青年ポール(オリヴィエ・マルティネス)に出会い、魅かれていく…。
 
 仏クロード・シャブロル監督の「La Femme Infidele(不実な女)」(未公開、未見)のリメイク。監督の「ナインハーフ」、「危険な情事」の路線から進歩が無く、新鮮さも感じられない。
  ラストシーンは余韻を残した印象的な作りではあるけど、それを活かす程の葛藤や改悛が感じられない。「イン・ザ・ベットルーム」のラストのパクリかと思った。
 
→ 「運命の女」Official Website


「ゴースト・シップ」- Ghost Ship -

 スティーブ・ベック監督、ガブリエル・バーン、ジュリアナ・マグリース、デズモンド・ハリントン。

 巨大な漂流船を発見したというパイロットのジャック・フェリマン(デズモンド・ハリントン)が、海難救助用ダグボート"アークティック・ウォリアー号"船長ショーン・マーフィー(ガブリエル・バーン)に元へやってくる。一行は、40年以上もに消息を立った豪華客船「アントニア・グラーザ号」を発見。船内では不可解な出来事が起こって行く…。

 派手な演出は無いが印象的な映像も多く、ホラーも物語のひっぱり方も上手くなかなか面白かった。オープニングの歌声の共に描く豪華な船内、惨劇、朽ち果てた船内の対比が非常に上手く 、生者と死者の交わりとともに「シャイニング」をちょっと連想させる。
 短く一気に展開させてしまうので小作の印象を受けるが、中だるみを起こさずに上手い処理かもしれない。

「Ghost Ship」(英語)


「AIKI アイキ」

 天願大介監督、加藤晴彦、ともさかりえ、石橋凌、火野正平、原千晶、木内晶子、桑名正博、佐野史郎、余貴美子、永瀬正敏、田口トモロヲ、ミッキー・カーチス。

 ボクシング新人王決定戦の準々決勝の帰り、芦原太一(加藤晴彦)、恋人のチカ(木内晶子)のバイクが乗用車と激突、太一は脊髄を損傷し下半身不随となる。自暴自棄な生活を送る太一は権水松太郎(桑名正博)に助けられ、露天商の仕事を手伝いを始め、やがて平石(石橋凌)の合気柔術という古武道に出会う…。

 わがままな若者が加藤晴彦にうまくはまって、それが後半の合気柔術との出会いでの変化と共に凛とした表情に変っていく様が上手い。下半身不随という部分をリアルに描き込む事も、古武道の描き方もなかなか細かく面白い。ちょっと合気柔術に出会う前半が長すぎる感じがするが。
  脇役のともさかりえ、火野正平、桑名正博とどれもいい味を出している。完成度は高いとは言えないが、面白かった。
 映画の元になった、AIKIで黒帯になったデンマークの半身麻痺の青年オーレ・キングストン・イェンセンがクレジットの問いに映像で登場する。

「AIKI アイキ」Official Website
大東流合気柔術 - 個人ページ
大東流合気柔術 - Daito-Ryu Aiki Jujutsu Home Page (English)


「アウトライブ」- 飛天舞 -

 パク・ソングン監督脚本、キム・ヘリン原作、シン・ヒョンジュン、キム・ヒソン、チョン・ジニョン、 チャン・ドンジク、キム・ハクチョル、キ・ジュボン、キム・ソロ。

 14世紀、元朝末期の中国、叔父グァクジョンに育てられていた高麗族の少年ジナ、彼が助けた蒙古族の少女ソルリは互いに引かれ合うが、ソルリは父で蒙古族将軍タルガの住む紹興へ連れ去れてしまう。剣術の日々を送るジナはたちは秘伝書「飛天神記」を狙う一味に襲われる…。

  ストーリはとにかく登場人物が多すぎて、それを追いかけていくだけで疲れれる。原作は長大だとしても、もうちょっとまとめられなかったものだろうか。剣術アクションに純愛モノをうまく入れ込んだ点は上手いんだけど、ちょっと複雑すぎて物語に乗れなかったのは残念。
 
「アウトライブ」 Official Website


「ピーター・パン2/ネバーランドの秘密<日本語吹替え版>」

 ロビン・バッド&ドノバン・クック監督、声の出演:ハリエット・オーウェン、ブレイン・ウィーバー、コーリー・バートン、ジェフ・ベネット、ケイス・スーシー、日本語版 安田成美、上戸彩。

 第ニ次世界大戦下のロンドン、ウェンディは今や二人の子供の母親。二人の子供の弟のダニーは母親の話が大好きだが、姉のジェーンは現実主義となりピーター・パンやティーンカー・ベルの存在を信じなくなった。ある夜、フック船長の海賊船が現れ、ウェンディと間違えジェーンをネバー・ランドへと連れ去ってしまう…。

 夢見る心を忘れない、というメッセージは率直すぎて、それを軸に映画として作ってしまうと全く面白く無い。海賊船のCGは迫力はあるが、絵との整合性という意味ではイマイチ。キャラとしては、クロコダイルに代わるタコはなかなかいい味を出している。
 続編を作る意味がよく判らない。

「ピーター・パン2/ネバーランドの秘密」Official Website


「火山高」

 キム・テギュン監督、チャン・ヒョク、シン・ミナ、ホ・ジュノ、キム・スロ、クォン・サンウ、コン・ヒョジン、チョン・サンフン、キム・ヒョンジョン、チェ・シア、ピョン・ヒボン、ユン・ムンシク、イ・ムヒョン。

  幼い頃に雷に打たれ能力を得たキム・ギョンス(チャン・ヒョク)は退学を繰り返し、火山高に転校する。そこでは、武術の秘書「師備忘録」をめぐる陰謀で、一匹狼でナンバー1のソン・ハンニム(クォン・サンウ)、ナンバー1を狙う重量挙げ部主将チャン・リャン(キム・スロ)、教頭(ピョン・ヒボン)、剣道部主将ユ・チェイ(シン・ミナ)らが入り乱れる…。

 展開、設定ともに粗削りではあるが面白くなる要素は満載。そのパワーは素晴らしいが、やはり細かい部分での粗さが全体の質を下げている。時間の割には薄い印象。剣道部主将役のシン・ミナ、クォン・サンウがいいキャラなんだが意外に活躍が少なくて残念。
 日本語版は、再編集され、テロップ音楽などが違うらしい。

「火山高」Official Website


「壬生義士伝」

 滝田洋二郎監督、浅田次郎原作、佐藤浩市、中谷美紀、三宅裕司、夏川結衣、藤間宇宙。

 盛岡の南部藩の吉村貫一郎(中井貴一)は藩校の助教を務めるが下級武士、長い間の飢饉のため三人の娘と妻しづ(夏川結衣)の家族は貧困にあえぐ。貫一郎は家族を残し脱藩し京に上り、京都の壬生で誕生し絶頂期にあった新撰組に入隊するが、すでに内部で弱体化が始まっていた。

 前半、盛り上がりに欠けるながらもそれなりには見られるが、後半40分ぐらいはまったく余計。単に泣かせるために伸ばし伸ばしにしているに過ぎなく、あざとい限り。斎藤一役の佐藤浩市はいいにしても、その恋人のぬい(中谷美紀)の位置は曖昧だし、貫一郎の長なじみであり組頭の大野次郎右衛門(三宅裕司)の苦悩も上手く出てない。いいのは南部の自然の映像ぐらいか。

「壬生義士伝」Official Website


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