旧暦の作り方

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●変化した旧暦
 今現在、旧暦として知られているものは実は統一されたものがありません。 おおもとは江戸時代の天保暦(てんぽうれき)ですが、その方法通りに計算している 旧暦はもうないんです。

 まず基準とする場所は京都ですが、国立天文台などの発表の天文の数値を使うので 東京の三鷹や旧東京天文台などの位置を使ってしまっています。また太陽の通り道である 黄道をどう区切るかにも差がありまして、それにより日にちや月が異なってしまう事があります。

 ここでは天保暦ではなく私流の旧暦の作り方について説明しますね。

●旧暦
 旧暦は「月の運行」と「太陽の運行」の両方の折り合いをつけるようにした暦です。

月は約29.5日で新月・上弦・満月・新月と戻ってきます。29.5*12月で354日。 1年は約365.25日。大まかに11日足りないでしょ。3年で約33日。 大体一ヶ月狂ってきてしまいます。

 そこで4年目に一ヶ月「閏月(うるうづき)」を入れるようにして、 何月と季節を合わせようと考えたのです。

 旧暦で使うのは「新月が何時か」と「二十四節気」を元に考えます。

●新月が何時か
 朔(さく)は「月の黄径と太陽の黄径が一致した瞬間」です。わけわかんないですね(^^;)

 太陽→月→地球とまっすぐ並んだ瞬間です。これが平均すると約29.5日なのです。 この朔を含んだ日を、その月の1日とします。一日を朔日と書くこともあるのはそのためです。

 この日は月はでません。これで各月の第一日がわかりました。

●二十四節気
 この説明は二十四節気で見てください。まあ春分とか冬至とかですね。 太陽の通り道を15度ずつ区切ったものです。15度*24節気で360度というわけ。 始まりは春分(太陽黄径0度)からです。

 春分(中気)・清明(節気)・穀雨(中気)・小満(節気)・・・・と中気と節気は代わりバンコに やってきます。

●旧暦の法則
1.月と太陽の黄径が等しい時刻を朔(さく)とする。
2.暦の日は京都での地方真太陽時刻0時に始まる(これは現在曖昧:ここでは三鷹)
3.朔を含む日をその月の第一日とする。
4.暦月で冬至を含む月を11月・同じく春分2月・夏至5月・秋分を8月とする。
5.閏(うるう)を置く時は中気を含まない月に置く

 これを知っていればあとは「理科年表」や「天文年鑑」などの資料を見ながら 旧暦を作ることが出来ます。2004年を例にして実際にやってみましょうかね。


●えっと
 こつは前年の11月から翌年の2月までの朔と節気を調べる事。

朔になるのは2003年の11/24・12/23・2004年の1/22・2/20・3/21・・・と調べます。 次に二十四節気を調べます。日が一致する場合があるときは時刻まで調べておきます。

●春分後の朔まで
仮月名称朔日節気
---:--立冬11/08(節気)
---:--小雪11/23(中気)
A11/24-
---:--大雪12/07(節気)
---:--冬至12/22(中気)
B12/23-
---:--小寒01/06(節気)
---:--大寒01/21(中気)
C01/22-
---:--立春02/04(節気)
---:--雨水02/19(中気)
D02/20-
---:--啓蟄03/05(節気)
---:--春分03/20(中気)
E03/21-

 2003年11月から2004年3/21(春分後の朔)までを見てみます。 Aの期間(11/24-12/22)は冬至を含みますので11月と分かります。 同様にDの期間(2/20-3/20)は春分を含む期間なので2月とわかります。 Dが2月なので、Cは1月。Bは12月としますとAは11月と辻褄(つじつま)が合います。

 ですので、Cの日(1/22)が旧暦一月一日・Dの日(2/20)が旧暦二月一日になります。 旧暦1月表にしますと

旧暦新暦-旧暦新暦
1/11/22-1/172/7
1/21/23-1/182/8
1/31/24-1/192/9
1/41/25-1/202/10
1/51/26-1/212/11
1/61/27-1/222/12
1/71/28-1/232/13
1/81/29-1/242/14
1/91/30-1/252/15
1/101/31-1/262/16
1/112/1-1/272/17
1/122/2-1/282/18
1/132/3-1/292/19
1/142/4-2/12/20
1/152/5-2/22/21
1/162/6-2/32/22

 旧暦は29日の月を「小の月」。30日の月を「大の月」と言います。一月は29日まで なので「小の月」とわかりますね。

●夏至後の朔まで
仮月名称朔日節気
---:--春分03/20(中気)
E03/21-
---:--清明04/04(節気)
F04/19-
---:--穀雨04/20(中気)
---:--小満05/13(節気)
G05/19-
---:--芒種06/05(中気)
H06/18-
---:--夏至06/21(節気)
---:--小暑07/07(中気)
I07/17-

 さてDは2月でした。そのままEは3月・Fは4月・Gは5月・Hは6月としてしまうと 困った事が起きます。夏至を含む月は5月にするんでした。でも6月になってしまいます。 一ヶ月多いんです。これで閏あるんだなとわかりますね。

 では閏は何月にすれば良いのでしょうか?そう中気を含まない月にするんでしたね。 Eの期間(3/21-4/18)は清明の節気を含みますが中気を含みません。そこでEを閏月にします。

 Dが2月でしたので、Eは閏2月。Fは3月・Gは4月・Hは5月となります。

●秋分後の朔まで
仮月名称朔日節気
---:--夏至06/21(節気)
---:--小暑07/07(中気)
I07/17-
---:--大暑07/21(節気)
---:--立秋08/07(中気)
J08/16-
---:--処暑08/23(節気)
---:--白露09/07(中気)
K09/14-
---:--秋分09/23(節気)
---:--白露10/08(中気)
L10/14-

 前の表でHは5月でした。Iは6月・Jは7月・Kは8月。秋分を含む月は8月にするんでした。 ここではKの期間(9/14-10/7)に秋分があります。この期間はピッタンコですね。

●冬至後の朔まで
仮月名称朔日節気
---:--秋分09/23(節気)
---:--白露10/08(中気)
L10/14-
---:--霜降10/23(節気)
---:--立冬11/07(中気)
M11/12-
---:--小雪11/20(節気)
---:--大雪12/07(中気)
N12/12-
---:--冬至12/21(節気)
---:--小寒01/05(中気)
O01/10-

 Kは8月でした。Lは9月・Mは10月・Nは11月。冬至を含む月を11月にするんでした。 ここではNの期間(12/12-2005年1/9)に冬至が含まれます。またまたピッタンコ賞。

●春分後の朔まで
仮月名称朔日節気
---:--冬至12/21(節気)
---:--小寒01/05(中気)
O01/10-
---:--大寒01/20(節気)
---:--立春02/04(中気)
P02/09-
---:--雨水02/18(節気)
---:--啓蟄03/05(中気)
Q03/10-
---:--春分03/20(節気)
---:--清明04/05(中気)
P04/09-

 Nは11月でした。次いでOは12月・Pは翌年1月・Qは翌年2月。 Qの期間(3/10-4/8)には春分が含まれるので2月になります。これもピッタンコ。

 これで2004年の旧暦が作れました。


●取り扱い
 上記の方法は正式な旧暦の方法ではないので100年で2つか3つの年だけずれてしまう場合があります。 一般に流布されている旧暦もその計算方法や基準についてマチマチな所がありまして、 統一されてはいないようです。

 また中国で採用されている旧暦の計算方法は日本とは異なりますので、 差があることがありますのでご注意くださいまし。

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