世界暦  ボツ! になった暦

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●現在の暦
現在「西暦」といわれている「グレゴリオ暦」は約3000年で1日s差が生じるぐらいの精度があります。 そうそう、皆さんが意外にも多く勘違いされている「閏年(うるうどし)」の説明をしますね。

「西暦が4で割れて余りのでない年は閏年である」のはご存知の通りです。 その年は2月29日まであります。例えば1996年は閏年でした。 ところが、西暦1900年は閏年ではないのです。

何でかと申しますと、現行暦では西暦を100で割り切れるが、400で割り切れない年は平年。つまり 閏年ではないのです。ですから西暦2000年は閏年です。

閏年をただ4年に1度としますと、約130年で1日の誤差が出てきてしまいます。 このような暦の方法を採っていたのは「ユリウス暦」です。

でも、3000年もの間で1日しか誤差が出ないような暦ですが、使いにくい面もあるのです。 それは例えば「1600年に関ヶ原の戦いは何曜日だ〜〜〜」を即答できる人は少ないですね。 つまり曜日は7で一巡する周期ですが、各月に含まれる日数がバラバラでしょ。 大体西暦1600年の1月1日は何曜日でしょう?。

意地悪のしっぱなしでは申し訳ないですので、チョットなぞ解きを。 このような計算には「ユリウス通日(つうじつ)」を使います。1600年の1月1日は、 ユリウス通日で2305448日です。これを7で割りますと余りが5。従って土曜日になります。 因みに旧暦では慶長4年11月15日です。
関ヶ原の戦いは、1600年9月15日。 ユリウス通日で2305706日です。これを7で割りますと余りが4。従って金曜日になります。 因みに旧暦では慶長5年8月8日です。

●世界暦
このように現行の暦では何曜日か直ぐにわからないという不具合があるのですね。 また各月の日数が色々な歴史を引きずっているせいでバラバラはなのです。 そこで、へ(^^へ)、カレンダー屋さんが儲からない暦、つまり毎年同じカレンダーになる暦を考えたのです。これが「世界暦」と呼ばれるものです。

「世界暦」は1930年にアメリカのケリアスさんが考えた暦で、 「1.4.7.10月は31日」「2.3.5.6.8.9.11.12月は30日」「1月1日は日曜日」とします。 全部で364日なので12月30日の次の日(1年最後の日)は曜日を数えない日(週外日)を入れまして、 その日は世界休日とします。 閏年には6月30日の次の日に曜日を数えない日(週外日)を入れます。

この案は国連の経済社会理事会(UNSEC)に提案される寸前まで話が進みましたが、 とても反対が多く、審議は無期延期となってしまいました。 反対の主な理由は、週の断絶が起きてしまうことでした。

過去に色々改暦が行われましたが、今までの歴史で週の断絶は起きていないとされています。 不思議な偶然なんですけれどこの話は又の機会に(^^;

●軌道
現在の暦はバシバシの精度かと問われますと答えは「いいえ」になってしまいますね。 どうしてかと言いますと、実は地球の軌道が正確に分かっていないのです。月の軌道も・・・。 それに「長年加速」や「摂動(他の惑星が地球を引っ張る)」や「章動(月が地軸を引っ張る)」 など惑星軌道などが複雑すぎてしょうがないいですね(^^;

その証拠に春分・秋分の日は前年の2月1日付の官報で発表されて、 その官報では翌々年の春分・秋分の日付は発表されませんね。 直近の観測がないと正確な時間がだせないからなのですね。

暦は「お月様の周期」と「地球の公転の周期」という全然関係ないものを、 関係あるようにしようという努力の賜物なのですね。 現在の暦は「太陽暦」で「お月様の周期」とは関係ないようですが、 春分の日をめぐってチョットは関係あったのです。 で〜、その春分の日から逆算して1月1日が決めらた歴史があります。

●たまには私の考えを(^^;
民俗的なものは高度成長期に「核家族」「都会への転出」などが起り、言い伝えなどが どんどん消失してしまっております。私は旧暦の衰退も一因をなしているように思います。 現在は「グレゴリオ暦」だけが法律的に認められていますが、 「旧暦」も容認の方向に向かって欲しいと思います。 海上保安庁の水路部では計算していると聞いたことはあるのですが・・・・

そして旧暦は15日といえばほぼ満月。1日といえば新月とわかるので、 「天文関係」と「海の関係(漁業・港湾・船舶など)」には便利です。 満月近くでは天体写真はカブってしまうので撮るの諦めた方が良いですし、 月は満潮・干潮に関係しますしね。


参考文献

★時と暦・青木信仰著・東京大学出版会
★現代こよみ読み解き事典・岡田芳朗、阿久根末忠編著・柏書房

☆年中行事を科学する・永田久著・日本経済新聞社
☆暦と占いの科学・永田久著・新潮選書
☆暦のはなし十二カ月・内田正男著・雄山閣

〇中国占星術の世界・橋本敬造著・東方出版
○日本史辞典・角川出版・第2版


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