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●暦の歴史
 よく現在の暦はキリスト教によりはぐくまれた暦であると聞きます。 そうではないんですよと説明しても「専門家から見ればそうでしょうが、 一般にはそうなんですよ」と妙な答えばかり返ってきて困りまする(^^;)

 まあ歴史を教える先生がこの辺の説明をしないのが一番いけないんです。 因みに一般に「西暦」という場合には、1582年10月15日前は現行暦とは異なった暦を使います。 特別な主義主張がある学者を除けば、全ての時代を現行暦に換算してはいないのです。

 大まかに流れだけ説明いたしましょう。

●太陰暦
 まずは紀元前のお話。地中海沿岸の諸国。バビロニアとかギリシアとかですね。 ここでは月の満ち欠けを基準にした太陰暦が使われていました。 新月から次の新月までを1カ月にしたもので、概ね平均すると1カ月29.5日になります。

 太陽を見ていても何月か分かる方は少ないと思います。でも月の満ち欠けなら 数える事ができますでしょ。簡単なんです。それに最高神が月神などでしたので それらの信仰とも合致して、いわば神官が暦を定めていました。

 29.5日でピンと来る方もいると思います。0.5日は困りますよね。 どうすればいいか・・・29日.30日を繰り返せばOKですね。

●太陰太陽暦
 太陰暦は月だけを基準にしますので、少々困った事が起きます。そう平均すると1カ月29.5日。 一年に換算すると12を掛けて354日。約1年365日としますと11日の差。3年で一ヶ月ずれます。 それで3年に一回1月を増やし13月にするなどして、太陽の運行とあわせようとしたのです。

 例えば何かの儀式を1月にしたとしましょう。ううサブ(~-~)。ところが年をとってから 同じ儀式を1月にしたのに真夏のカンカン照り。どうも変でしょ。これで閏という考えが 入り太陽の運行とも調整を図ろうとしたのです。

 ただし閏の挿入方法は地域によって、または宗教的な意味合いから方法はバラバラでした。

●太陽暦
 ギリシアなどは都市により暦が異なったり、太陰太陽暦もまだ正確とは程遠い段階。 ローマ時代までこのようなことは続きます。

 この太陰暦や太陰太陽暦を「太陽暦」に変えたのがユリウス・カエサル。 エジプトで使われていた準太陽暦(恒星暦と言ったほうが良いでしょう)を元に 作らせ1年を365日とし、4年に一度閏を入れ366日の年としました。

 これが紀元前45年の話。ここでほぼ今の暦に近いユリウス暦が誕生します。 つまりキリストの誕生前なんです。

●2月
 このユリウス暦の改暦の時に、11日の差を埋めるべく 31日と30日から月が構成されるように改めました。

 この前の暦では2月が最終月だったんです。この月で半端な数の調整をしていました。 それで年末の2月に閏を入れていたんですね。 ところがカエサルは年初を冬至に近くするために2ヶ月遡(さかのぼ)らせたのです。 月の呼び名を一部変えましたが慣習でそのままのもありました。 例えばセプテンバー。まあゼブンで7ですけど、9月でしょ(^^;)

 その後ローマ人は偶数が嫌いなので、皇帝アウグストスが自分の生まれ月の8月が 30日なのが気に入らなくて、2月から1日持っていちゃったんですね・・・こりゃこりゃ(^^;)

 曜日は大雑把に言えば 「新月から上弦」「上弦から満月」「満月から下弦」「下弦から新月」が概ね7日だからです。 つまりキリスト教の影響ではなく陰暦の名残なんです。


●ユリウス暦
 このように話をしますとヨーロッパ中改暦したようですが、ローマの支配圏内だけの 話で、その他の地域はやはり太陰暦だったり太陽太陰暦だったりします。
●グレゴリオ暦(現行暦)
 さて、ここで初めてキリスト教が登場します。 太古の昔は一番日が短くなる冬至が重要でした。これより太陽が復活して、 次第に暖かくなっていくからです。しかしキリスト教で大切なのは春分。 季節の始まりは春から宗教的な考え方からです。

 ユリウス暦を使っていると長い年月には実は誤差が溜まってきます。 ユリウス暦は4年に一度閏日を入れるわけですから1年は365.25日。しかし 実際には365.25日よりほんの少し短いんです。暦の日にちと春分とが次第にずれてきました。

   キリスト教は春分を基準に復活祭などの行事を計算しますので不便になってきたのです。 そこで1582年にローマ法王グレゴリオが改暦を命じました。 これが今の暦になっているグレゴリオ暦です。

 内容はユリウス暦の基本は変えず、400年に3回閏を抜こうと考えたのです。 100で割り切れるときは閏としないが、400で割り切れるときは閏。 ですから2000年は閏で、カレンダー屋さんが随分間違えていたでしょ・・・キャハ(^^;)

 これで1年が365.2425日。1年と差が0.0003日。 つまり3333年で1日ずれるだけの暦になりました。  但し、厳密に言えば、月や地球の軌道が完全に分かっていない事などから、 やはり観測と照らし合わせないといけないのです。


●教会
 宗教なので当然派閥があります。ローマ法王の野郎の言う事なんぞ誰が聞くもんかと 言う人もいるわけです。ですからこれもユリウス暦と同じで、改暦があったからと 行ってヨーロッパ中に広まったわけではありません。

 例えばグレゴリオ暦の導入はフランス1875年。イギリス1752年。 ロシア1918年などマチマチです。

 とうの教会自身も、神は月を定めるためにお月さんを創ったというぐらいですので 太陰暦色が強く、自分で改暦しておきながら、結局は独自の教会暦で運営しています(^^;)

 実際には国単位で暦が違うのではなく、都市単位で異なった暦を使っていましたので、 手紙などには「XX市XX年XX月XX日」と書かれています。

 結局は合理的で分かり易い暦が生き残ったのです。

●暦表示
 歴史の本は1582年10月15日以後はグレゴリオ暦。 それよりまえはユリウス暦で記載されます。

 天文ではそれでは不便なのでユリウス通日というものを使います。

 またローマの影響で始まりを1と数えます。 最初は0世紀ではなくて1世紀。それで2001年から21世紀なのです。

●世界暦
 その後国連で、暦法は同じですが、毎年同じカレンダーになる「世界暦」が提唱されました。 しかし週の断続(通常年7*52=364で一日足りない)が起きるので猛反対され没になりました。
●うるう秒
 原子時計ができて、正確に時間を測れるようになってきましたら、地球の回転が 少しずつ遅くなっている事がわかりました。そこで調整のため6月30日に「うるう秒」が 挿入されます。これは国際天文学連合からの事後報告の形をとります。

 中性子星(パルサー)を利用すると原子時計より正確らしいですが、まだ、そこまでの 精度は不要なようですね。いつか気になる時がくるのでしょうかね・・・


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