天球〜天文の基礎〜
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天頂と子午線
●天頂(てんちょう)
天球  日本の野原の広いところにいることにしましょう。 そして天はあなたを中心にして半球のドームのようにかぶさっています。 星や太陽や月などはそのドームに投影されていると考えてください。 ちょうどプラネタリウムにいる感覚です。

 あなたの真上が天頂です。さて磁石で方角を確かめたとしましょう。 北と天頂と南をむすぶ線を「子午線(しごせん)」と言います。 ドームを半分にぶった切る線です。 なんで子午線かと言いますと「北は子」「南は午」とも言いますので 北と南を結ぶ線を子午線と言うのですね。 (磁石のさす北と本当の北とは少し違いますが,ここでは同じとします。)

●北極星(ほっきょくせい)
askiso1tenkyu3.gif  さてあなたのいる野原は地図上北緯40度の地点にあったとします。 するとあなたが北に向いて,地平線から子午線上を40度の角度で見ると, そこには,こぐま座のシッポの先っちょの星「北極星」があります。

 天頂から北に向かい子午線上を50度さげてみれば,やはり 北極星があります。・・・ここのところ大丈夫ですよね(^^;

 地平線から仰(あお)ぎ見る角度を仰角(ぎょうかく)と言います。 (北極星の位置なども厳密には違いますが,ここでは同じとします。)


北極星と日周運動
●日周運動
 地球は自転しておりまして、その地球の回転している軸のほぼ延長線上に北極星があります。 これを野原の景色に置き換えますと,自分は動いていないように感じますので、 天はほぼ北極星を中心として回転しましているように見えます。

 その回転はほぼ24時間で左回りに一回転します。これを日周運動と言います。

 左回りは,時計の回る方向の反対回りですね。 反時計回りなどとも言いますね。あなたが北を向いているとしますと, 右(東)から太陽や星が昇ってきて,子午線を通り過ぎ,左(西)に沈むわけですね。

●クイズ
日周  ほんじゃ〜ちょっとクイズやりましょうか。 「ほぼなんとか」は面倒なので「ほぼ」は取ってしまうことにします。

 あなたが北の空をカメラのシャッターを開放にして日周運動の写真を撮ったとします。 図のように星が動いた角度が北極星Pから見て30度(角APB)であったとします。

 それではこれは何時間かけて撮った写真でしょうか。

 24時間で1回転。つまり360度回るわけですね。その360度の内, 30度動いたのですから,24時間*(30度/360度)で,答えは2。 つまり2時間かけて撮った写真と言うことになります。 今度北極星が写っている日周運動の写真を見かけたら,これは大体何時間かかったんだぜ。 と,偉(えら)そうに言って嫌われ者になりましょう(^^;

●日周運動2
 さて写真のお話しがでたので,北極星が写っている日周運動の写真を 使ってもう1項目お話しを進めましょう。

 写真上で北極星から1cm離れて写っている星と,北極星から2cm離れている写っている星では, どちらが早く動いているでしょう。

 円周は直径*円周率ですので「1cm*2*3.14=6.28cm」と「2cm*2*3.14=12.56cm」で 北極星から2cm離れているほうが沢山動きますね。1日で一周するのですから 距離/時間で速度を計算しますと,一時間当たりの速度は0.26と約0.52で, 北極星から2cm離れている星の方が速く動いて見えることが分かります。

 一番早く動くように見える星は、天の赤道上の星です。


天球図と周極星
●周極星(しゅうきょくせい)
天球  さて北緯40度の野原の天然ドームに戻りましょう。 北極星から地平線を結んだ線(あなたから見て角PONは40度の角度:仰角) を回転させた円の中(緑色の円内)に入る星は沈まないのですね。 どこの地面にもぶつかりませんでしょう。

 この円の中の北極星の周りの星を 「周極星」と言います。特に北の周極星と呼ぶこともあります。

 え!昼間に星は見えないとか、大気の屈折でもう少し下まで見えるとか・・・それは今はなしね(^^;

●天球(てんきゅう)
では半球の考えをはなれて,天球で考えて見ましょう。そうしないと地平線の下の お話がしにくいので(^^;

 天球は少々変わった考えをします。あなたは地球の中心にいて、地球の殻に写った星を 見ていると考えます。地表から見たものと角度がチガウヤンケとなります・・・が、 相手の星がムチャクチャ遠いので、地表にいようと地球の中心にいようと、同じだべ。ちゅう 考え方でんねん。

askiso1tenkyu4.gif  例えば北の周極星(灰色の円内)とはちがいまして,南の周極星(青の円内)は逆にズ〜ット 地平線の下なので見ることはできません。例えば東京から南十字星は見えないですよね。 この北と南の周極星に挟まれた部分の星を「出没星」と言います。東の方から 出て,西の方に沈む星ですね。

 日本(北半球)から見れば北の周極星はいつも見えて、南の周極星はいつも見えない星になり、 南半球では、これと逆さまになります。

 星一番早く動く場所は天の赤道です。北極と南極を線で結びます。 この軸が回る訳ですね。この線の半分の地点から直角に線を引くと, 地球の球型のでっかいスクリーンにぶつかります。 そこで軸がグルグル回るので,ガリガリとスクリーンにぶつかるべ。 その跡が「天の赤道」だがや。

 天の赤道は球に接するような円を書いたとき、外周が最大になるべさ。ほんで同じ1日で グルグルまわるんだから、はえ〜んだね。これが!
あ!青い円内の見えない星は全没星ということがあります。

●ここはどこだ?
 じゃ〜今あなたが北極点にいるとしましょう。
北極星はど〜こだ?。答えは真上。では天の赤道は?。そう90度違うんですから, 地平線と重なっていますね。北の周極星の円はどうなっています?。 そう北極星から90度下。つまり天の赤道の円と重なっていますね。 では南の周極星の円は?地平線の下なのですから,そう天の赤道と 重なっていますね。北極点にいると円が3つとも重なってしまいます。 星空は天頂を中心に回転することになります。

じゃ〜今度は赤道上にいるとしましょう。
北極星はどこだ?。答えは北の地平線上。では天の赤道は?真上ですね。 子午線との天の赤道とが天頂で交差しています。では北の周極星の円は? 半径が北極星から北の地平線までなので,半径は無いですね(^^;つまり 円じゃなくて点です。全部出没星になりますね。南の周極星の円も点に なってしまいます。

じゃ〜。南半球南緯40度ぐらいにいた場合は?
北極星は見えません。地平線の下です。つまり北の周極星の円は星が見えない側に なります。南の周極星の円は,星が沈まない円になります。そして 星空は北半球とは逆に時計回りに回ることになります。 ちなみに,北極星がありますが,南極星はありません。 北極星は現在たまたまそこに星があるだけなのです(これは歳差運動の項目で)。


キトラ古墳の星宿図
●ここはどこだ?
 さてと今いるところを北半球に戻しましょう。 チョット[星の神殿風]に[キトラ古墳の星宿図」でお話ししましょうか。

 北の周極星の円のことを昔は「内規円」と言いました。南の周極星の円のことを「外規円」 と言います。天の赤道のことは単に「赤道」と言います。また太陽の通り道を「黄道」と言います。

 キトラ古墳のお墓の中に描かれていた円と星は,ここで今までお話ししてきたことが 書かれておりました。

 北極にいれば内規と外規と赤道は重なっています。そこから南に向かえば 内規と外規は次第に小さくなり,赤道は傾いてきます。それならば, 内規や外規に含まれる星や赤道の傾きや内規円と赤道円大きさの比率などを調べれば, どの緯度で観測したかが割り出せますね。 その緯度で当時観測可能な施設や都市などを調べれば,おおよそ どの国のどこで行った観測が元になってるかがわかるわけすね。


北極星の探し方。
●ここはどこだ?
askiso1tenkyu5.gif 北極星を探すのは観測の基本なので、ま〜色々と方法はあるんですが,代表的なものは こぐまのかあちゃんのおおぐま座の北斗七星のひしゃくの先の2つの星を結んだ線を 7倍するとめっかる。

 ごめん(^^;この図は心射図法なので等距離でないです(^^;
 又は、よけいな口をたたいたW型のカシオペア座のおばちゃんの両端の\ /を結んだ交点と, 真ん中のλの頂点を結んだ線を7倍するとメッカる。

 ま〜このあたりは、明るい星がないので二等星でもすぐわかります。あ(^^!
北極星は二等星です。又の名を「ポーラ・スター」とか「ポラリス」と言います。


クイズ
●クイズ
 では最後にクイズです。答えは次頁どえ〜す。

1北極星が見えました。あなたのいるのは北半球?それとも南半球?

2星の日周運動が時計回りでした。あなたのいるのは北半球?それとも南半球?

3北極星があるのは,なに座ですか?

4北緯60度の地点にいます。北極星の仰角は?

5北の夜空を撮った写真で,撮り始めた点A北極星B撮り終えた点がCでした。 1時間40分かけて撮った写真でした。角ABCは何度になるでしょう? 1日は24時間としましょう。

次回は[座標]どえ〜す。



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