![]()
学名 Aquila 略号 Aql 20時の南中月日 9月中旬 星座設定者 プトレマイオス
毎日下界を飛び回って色々なことを見てきて大神ゼウスに報告した鷲であるとか、 ゼウスがガニュメーデスをさらったときにゼウスが変身した鷲の姿であるともいわれております。このお話しは「みずがめ座」に譲る事と致しまして、ここではプロメテウスの肝臓を 啄(つい)ばんでいた大鷲(おおわし)のお話しをする事にしましょう。
「大神ゼウスとオリュムポスの神々」が世界を支配するようになる以前には、 巨神族が世界を支配していました。最初に天空の神ウラノスが支配し、その子時の神クロノスが ウラノスの支配を乗っ取り、そしてその子ゼウスがクロノスから世界の支配権を奪いました。その巨神族との戦いの時、ゼウス側につき戦った巨神がおりました、大海の神オケアノスと プロメテウス(先に考えるものと言う意味)でありました。
実はプロメテウスはゼウスを支配者と認めて一緒に戦ったわけではなくて、 ゼウスが支配者になるのを知っていて、母のテミスの助言もありゼウス側についていたのでした。
プロメテウスは父や兄達のように、ゼウスに勝ち目の無い戦いを挑(いど)むのではなく、 知恵を使ってゼウスに一泡(ひとあわ)吹かせてやろうと思っておりました。 ちなみに、兄には蒼穹(そうきゅう:天空のような意味)を支える罰を受けているアトラスがいます。
世界には神々の他人間がおりました。黄金の時代の人間は不死ではありませんでしたが、 病気や苦しみを知らずとても幸福に暮らし、長い間若い姿のまま神々と同じように 暮らしておりましたが、長い時が経(た)って、みな死に絶えてしまいました。次に銀の時代が訪れ人間が発生しましたが、神々を敬(うやま)う事をせず、尊大(そんだい)で ありましたのでゼウスは銀の時代の人間を滅ぼし、青銅の時代の人間を発生させました。
青銅の時代の人間は生まれつき狂暴で戦争ばかりして暮らしておりました。 このような人間でもまだ神々と人間とのハッキリとした区分はなかったのです。
そこでゼウスは神々と人間とをハッキリと区別させようと考えたのです。
大神ゼウスは神々と人間をハッキリと区分させるために、 生け贄の分け前をどうするかを神々に問いました。プロメテウスはその役割は私にさせて下さいと 言い、それは大きな牛を一頭生け贄にしました。そしてプロメテウスは 牛の骨を脂肪で包(くる)んで、それはおいしそうに積み重ねました。もう1つは、牛の肉と内臓を皮で包み、その上から更に牛の胃袋を被(かぶ)せ、 ぞんざいに置いておきました。こうすれば神々が採りたい部分と人間の分け前を逆さに出来ると 考えたからでした。
プロメテウスは、「さあ、まずは、神々の取り分をお決め下さい」と言い、ゼウスはだまされて、 牛の骨を脂肪で包んだ方を選んでしまいました。こうして生け贄に捧げられた獣の肉や内臓は 人間が食べる事になったのです。
さて、ゼウスとあろう者がそう簡単に騙(だま)されてしまったのでしょうか。 いえいえそうではなかったのです。ゼウスが騙されたふりをしていたのです。 実は肉と内臓は人間にこの上も無い相応しい物であると思っておりました。
神々は朽ちて無くならない「不滅を象徴する骨」を、祭壇で香料と伴に焚(た)く香(かぐわ)しい 薫(かお)り伴に気化させ、浄化(じょうか)し、煙と伴に天上界にいる世界に届く事により、 天上界の不滅の尊い存在である神と、地上にいて朽ちて果ててしまう肉の塊である人間との 違いをハッキリさせることが、これで出来るわけです。
プロメテウスはゼウスを騙そうとして、かえってゼウスに利用されてしまったのでした。 この件以来ゼウスはプロメテウスが自分を騙そうとしたことに怒りを覚えるようになりました。
ゼウスは人間からなんでも何時でも食べられるほどの大地の恵みを無くして、 人間が苦労して耕さなければ何も実らないようにし、人間から「火」を取り上げてしまいました。人間達は大変困りました。鳥には羽を、獣には毛皮を、貝には殻をつけてあげたプロメテウスは 困っている人間達にゼウスが取り上げた火を贈ろうと思いました。
プロメテウスはまず巨回香(おういきょう)の茎を探しました。この植物は中心が乾燥していて 端に火をつけると何時間でも燃え、しかもそとめには火がついているのが分からないのです。
プロメテウスは鍛冶の神ヘーパイストス鍛冶場に忍び込み、火を盗み出し、 人間に与えました。
ゼウスはプロメテウスに「お前が火を盗み出すのなら、私から人間に災いをやろう。 それも人間が喜んで迎え入れるような、素晴らしい災いをな」
プロメテウスは弟のエピメーテウスと伴に人間の男を作りました。それまで男と女はハッキリと していたわけではなかったのです。ゼウスは鍛冶の神ヘーパイストスに命じて、泥をこねて人間の女を作りました。
彼女は女神のように美しく、優雅でありまして、織物の巧みな女神アテナに手芸を与えられ とても美しく着飾ることでますます美しさを際立たせる事が出来たのです。 そして泥棒の神ヘルメスに好奇心と猜疑心と嘘を与えるように言いました。そしてゼウスは その女に パンドーラー(神々から全てのたまわりものを受けた者という意味)と言う名前を付けました。
プロメテウスの弟エピメーテウス(あとで考える者という意味)は、プロメテウスから 神々の贈り物は決して受け取るなと警告されておりましたが、 パンドーラーを一目見てすっかり好きになってしまい。 神々の贈り物パンドーラーを花嫁として受け取ってしまいました。
パンドーラーは弟エピメーテウスの所にある大きな1つの箱を見つけました。 そしてその箱は決して開けてはならないと言われておりました。
パンドーラーは開けてはいけないと言われると中に何が入っているか気が気ではありません。 チョットだけこっそりなら良いだろうと思い少し箱を開けました。 すると箱の中からなにやら得たいの知れないものが物凄い勢いで噴出してきました。 驚いてパンドーラーは箱の蓋を閉めました。
箱に中には疫病や憎しみ復讐・戦争・・・などが入っていたのです。 それまではこの箱に閉じ込められていた災難が世に全て出てしまい、 人間は様々な苦難を強いられる事になりました。但しパンドーラーが急いで 箱を閉めたおかげで箱の中には「希望」だけが残りました。 人間に残されたものは「希望」だけになってしまったのです。
またパンドーラーは別の意味も持っていたのです。女性という新たな種族ができ、 妻として娶(めと)ると、一生労働をして養って行かなくてはならなくなったのです。 こうして人間と神々はハッキリと別れる事になりました。
さて火を手に入れた人間への罰は一先ず終え、プロメテウスへの罰が与えられました。 プロメテウスはゼウスの将来の事を知っていました。ゼウスもプロメテウスが何か 知っていることは分かっていました。ですからプロメテウスはゼウスに絶対に殺される事はないと知っていました。 ゼウスがプロメテウスを何度問い詰めても決して「将来の秘密」を話す事はしませんでした。
剛を煮やしたゼウスはプロメテウスを、カウカソス山に鉄の鎖で縛り付け「大鷲(おおわし)」 にプロメテウスの肝臓を啄(つい)ばませました。肝臓は夜のうちに再生し、夜が開けると 再び大鷲が肝臓を啄ばみに来る永遠の拷問にかけました。
大鷲は「上半身が女:下半身がヘビ」のエドキナと、ゼウスをもう一歩で殺すところだった 怪物テューポーン(やぎ座のお話しで出て来ます)の子で、兄弟にうみへび座の怪物ヒュドラー、 しし座のネメアのライオン・スフインクスなどがいます。
こうして永い永い時が経ち、あるとき英雄ヘラクレスがカウカソス山を通りかかりました。 プロメテウスが大鷲に肝臓をつつかれているところを見たヘラクレスは、ヒュドラーの猛毒を 染み込ませた「矢」で「大鷲」を射殺し、プロメテウスを助け出しました。
プロメテウスはお礼に、ヘラクレスが探している「黄金のリンゴ」を、 アトラスの所に行って取って来る方法を教えてあげました。
一部始終を見ていたゼウスは、ヘラクレスはゼウスの子で武勇伝になると喜び、 プロメテウスに「将来の秘密」を教えてくれたら、 今までの事は水に流そうと約束しました。
そしてヘラクレスの武勇伝として「大鷲と矢」は「わし座」と「や座」として、 ゼウスにより天空に上げられ、星座となりました。
プロメテウスは「将来の秘密」を話しました。「ウラノスは息子クロノスに支配を奪われ、 クロノスは息子に支配権を奪われる事が分かっていたので、子供を食べてしまいました。 末っ子の貴方・ゼウスだけは生まれて直ぐ隠されたので助かり、 貴方がクロノスから支配権を奪い、食べられた兄弟を救いました。」「ゼウスよ。あなたが欲しいと望んでいるテティスとの間に、もし子供が出来れば その子はあなたより偉大になるでしょう。ご先祖の失敗を繰り返すおつもりですか? テティスの子は父親をしのぐと予言があるではないですか!」
「そうだった。プロメテウスよ。危ないところであった。よく言ってくれた。 わかった。君の罪は許そう。だが、私は君を決して開放しないと地獄のステュクス河の名において 誓ってしまった。だから、君を縛っておいたこの岩と鎖で作った指輪を象徴的にで良いから 付けるように」と言いました。
こうしてゼウスとプロメテウスは和解しました。 そしてヘラレクスが誤って先生のケイローン(いて座)を、 ヒュドラーの毒矢で討ってしまったときです。ケイローンは不死なので永遠にヒュドラーの毒に七転八倒して苦しみ続けなくてはなりません。 そこでケイローンはゼウスに不死性を解いてくれるよう頼み、 ケイローンには死が与えられ、その不死性はプロメテウスに与えられました。
エピメーテウスとパンドーラーの子供は、現在の人間の祖先となります。
ゼウスはテティスを諦め、人間の英雄ペレウスに与えました。 ペレウスの子供は父親より偉大なるとの予言どおり、トロイア戦争でアキレス健の語源になっている ギリシア一の戦士:アキレウスとなります。あんまり後日談を端折るのもなんですから、なんでアキレウスはアキレス健が弱点だったのか。
母親のテティスは自分の子供を不死にしようとて、生まれた赤ん坊を 地獄のステュクス河(三途の川)に漬けました。 そのとき持つところが無いので、両足の足首を持ってズッポリと川に漬けました。 それで両足首の所だけ不死ではなかったのです。