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学名 Leo 略号 Leo 20時の南中月日 4月下旬 星座設定者 プトレマイオス
英雄ヘラクレスがした12の難しい仕事のうち、 最初の仕事「ネメアの森の人食いライオン退治」のお話です。うお座に登場する怪物テューポーンの子供に、巨大で皮膚は鉄よりもかたい 獅子(ライオン)がおりました。 そのライオンはクレオーナイ市とプリウース市の間のネメアの森に住み、 村人や旅人を襲っていたのです。
このお話がティリュンスのエウルステウス王の耳に入りました。 丁度その時王のもとにヘラクレスがいたので「罪の報い」にこの怪物退治を命じました。
ネメアの森にライオンを探しに行きましたが、皆ライオンに食べられてしまって、 ライオンのことを知る人に出会うことが出来ず、 ヘラクレスは20日以上もネメアの森をさ迷いました。ある日ヘラクレスはクレオーナイの日雇い人モロルコスの客となりました。 彼は自分の子供をライオンに食べられた貧乏人でした。 モロルコスはヘラクレスを歓迎して1頭しかいないメスの羊を殺して接待しようとしたとき、 ヘラクレスはそれを止めてこう言いました。
「30日の間にネメアのライオンを退治できたらこの羊はゼウスに捧げて下さい。 もし30日たって私が帰らなかったら、死者(ヘーロース)として私に供えて下さい。」
こうしてヘラクレスは旅立ち、ついにライオンを見つけたのです。
ヘラクレスはライオンに向って矢を放ちましたが2本とも跳ね返ってしまい、 3本目を射ようとしたとき、ライオンは猛然と襲い掛かってきました。 ヘラクレスは棍棒で人食いライオンに殴り掛かかったのですが、 なんと棍棒は真っ二つに折れてしまいました。しかしライオンは堪らず2つ穴のある洞穴に逃げ込んだのです。 ヘラクレスは片方の穴をふさぎ、もう一方の穴から入り 無双の腕力で3日3晩ライオンの首を絞めて窒息させました。
モロルコスは30日経ってもヘラクレスが戻らないので、 ライオンに殺されてしまったとあきらめて、 死んだヘラクレスに羊のささげ物をする準備をはじめておりました。 丁度そこにヘラクレスが帰ってきてライオンを退治したことをモロルコスに告げ、 羊はゼウスに捧げられました。ヘラクレスはこの後このライオンの爪を使い、剣をも通さない毛皮をはいで 肩にかけ、棍棒を作り直し一生肌身はなさず持ち歩き、自らを火葬した ときもこの棍棒を枕にし、獅子の皮で身を覆ったといいます。
ライオンを退治してきたヘラクレスを市民は歓喜の声で向かえました。 ヘラクレスがライオンを退治してきたことを聞いたエウルステウス王は、 ヘラクレスの恐ろしい力を知り、殺されてはたまらないと、 鍛冶屋に命じて頑丈な青銅の壷を作りヘラクレスがやってくるとその中に逃げ込み、 ヘラクレスを王宮に入れることを許さないで、 命令は使者を通じて言い渡すようになりました。ヘラクレスを憎むゼウスの妻ヘラは、よくぞヘラクレスを苦しめてくれたと、 このライオンを星座にしたという事です。
ネメアのライオンは、うお座に出てくる怪物テューポンの子供で、兄弟に 「うみへび座のヒドラ」・「冥界の番犬ケルベロス」がいます。
ヘラクレスと言えば棍棒なのですが、ヒュドラーを倒すときに剣で首を切るお話と、 棍棒で首を叩き落としたお話があるようです。 ヘラクレスは伝令神ヘルメスから剣を貰っているので剣で首を切るお話はおかしくはないのですね。それから剣がヒュドラーに歯が立たないでグニャグニャに曲がってしまうお話や、 棍棒が折れてしまうお話があります。
ではこのページにどんなお話を載せるかが、まよっちゃうんだね、これが(^^;
で、取り敢えず、しし座は棍棒ポッキリ伝で、うみへび座は剣で首切り伝にしました。
しし座は大神ゼウスの妻の女神ヘラが作ったことになっておりますが、 ヘラクレスの功業をたたえて、大神ゼウスが獅子を星座にしたお話もあるようです。(A2)
ヘラクレスが身につけている[獅子の毛皮]はネメアのライオンではない お話があります。キタイロ−ン山に棲むライオンがテスピオス王の牛を荒らして回ったので、 ヘラクレスは王のもとで50日間狩を行いライオンを仕留め、 そのライオンの頭を胄に、その皮を身にまっとた話があります。
別の所伝ではキタイロ−ン山ではなく、ヘリコ−ン山中又は テウメッサ近傍であるお話がありまして、又、ライオン退治はアルカトオスがしたのだという お話もあります。 更には、ヘラクレスはレスポス島でもライオン退治をしたお話があります。
参考引用文献
A1☆星座神話クラブ・脇屋奈々代著・誠文堂新光社
A2☆ギリシア・ローマ神話辞典・高津春繁著・角川書店
A3☆星座手帳・草下英明著・教養文庫・658・c028B1☆星座の話・野尻抱影著・ちくま文庫・490・476
B2★21世紀星座早見ガイド・林完次著・講談社・B1069