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学名 Corvus 略号 Crv 20時の南中月日 5月下旬 星座設定者 プトレマイオス
テッサリアの山岳地方にラピテース族が住んでおりまして、そのラピテース族に プレギュア市を造ったプレギュアース王がおり、戦士を集め戦闘的な国家を作っておりました。
プレギュアース王がペロポネーソス地方に偵察に出かけ、 プレギュア市を留守にしていた時の出来事でした。まだ修行中であった太陽神アポローンは、デルポイの神殿に行く途中このプレギュア市を通りました。 そのプレギュア市のプレギュアース王には美しい娘がおりまして、太陽神アポローンは その娘コローニスに恋をしてしまいました。
コローニスがアポローンの子供を身ごもると、アポローンは旅を続けデルポイに向かい、 留守中は「白いカラス」を彼女の見張りに付けておきました。 この白いカラスは話すことが出来て、目がよく効き、人を小ばかにしたような所がありましたが、 色々なところを飛びまわり、世の中の出来事をアポローンに伝えていた「お使いカラス」 でありました。さてこの白いカラスは実はとてもおしゃべりで、いつも失敗ばかりしておりました。 あるとき用事を言い使った白いカラスは道草をしていてアポローンに叱られた時、 白いカラスは言い訳で「コロニースが浮気をしています」と嘘を言いました。 その話しを真に受けたアポローンは「遠矢のアポローン」と異名を持つ弓の神でもあるので、 一矢でコローニスを射殺してしまいました。
アポローンは急ぎコロニースの所へ行って見ると、白いカラスが嘘をついているのが わかりました。後悔をしてももう遅く、アポローンはコローニスを火葬にしました。その炎の中のコローニスの体から子供を取り出して、いて座のケイローンに養育を頼みました。 この子は後にへびつかい座になった名医アスクレーピウスとなります。
・・・さて白いカラスの運命は・・・
ケイローンのもとから帰ったアポローンは「白いカラス」の所へ行き、 もう2度と話しを出来なくしてやるとガ〜ガ〜鳴くだけにしてしまい、 激しく呪ったので全てのカラスは真っ黒焦げになってしまいました。 それ以来カラスは黒くなったと言う事です。
アポローンは黒焦げになったカラスが喉が乾いてもコップ座の水を飲めないように、 星のくぎで天井にはりつけにして、動けなくしてしまったと言う事です。
さてプレギュアース王はペロポネーソス地方の偵察から帰って、 娘のコローニスがアポローンにより殺された事を知りました。怒ったプレギュアース王はアポローンのデルポイ神殿に攻撃をしかけました。 しかしその攻撃は失敗しプレギュアース王は、神への反逆者として地獄の中でも一番深い タンタロスに落とされてしまいました。
さてこのお話しにも違うお話しがあります。アポローンが来る前既にコローニスはアルカディアの王子イスキュスと恋仲でありました。 そしてコローニスに一目惚れしたアポローンはコローニスを無理やり奪ってしまったのです。
アポローンが再びデルポイに向かう旅に出た時に、 王子イスキュスがコローニスの所にやってきました。それを見た白いカラスがアポローンに 報告します。それを聞いたアポローンは遠矢を放ち王子イスキュスを倒そうとしますが、 偶然に矢はコローニスに当たってしまいます。
そして白いカラスは 「お前を見張りに付けたのは何のためだ」と怒りを買い真っ黒にされてしまうのです。
またコローニスが本当に浮気していた話しなどもあります。
コローニスと言うのは「カラス」と言う意味があります。
これは上記と全然違うお話しで星座のお話しと関係するかは不明なのですが、 コローニスは海神ポセイドンに言い寄られ逃げ回っておりましたが、 その様子を見ていた知恵と戦術の女神アテナがコローニスを気の毒に思い、 コローニスをカラスに変じたというお話しがあります。
このお話しは本によってはコローネーの名前になっている場合があります。
参考引用文献
A1☆星座手帳・草下英明著・教養文庫・658・c028
A2☆星座の話・野尻抱影著・ちくま文庫・490・476
A3☆星座神話クラブ・脇屋奈々代著・誠文堂新光社
A4☆ギリシア・ローマ神話辞典・高津春繁著・角川書店