『維新史籍解題 傳記篇』高梨光司著

 42-43頁
 小栗忠順

 幕末の勘定奉行小栗上野介の傳記にして、少年讀本第四十編。
 (明治三十四年 東京 博文館 菊判假綴 一三八頁)

 維新前後の政爭と小栗上野の死 洋 一册 蜷川 新著

 幕末勘定奉行として、英名を馳せ、終始一貫幕府の命脈を維持せんとして、主戰論を唱へ、事志と違ひ、所領上州權田村に退き、官軍のために捕へられ、明治元年四月、烏川河畔に於て斬に處せられ、梟首となりし小栗上野介(名忠順)の事蹟を記し、維新前後の政爭に及ぶもの。著者は上野介と有縁の人にして、特にその人物に傾倒し、上野介が雄偉の才を抱いて、悲壯の死に就けるを慨し、故人のために妄を辯じ、氣を吐ける點、聊か注目に値すべし。
 (昭和三年九月 東京 日本書院 四六判 二四七頁)

 續維新前後の政爭と小栗上野 洋 一册 蜷川 新著

 前書の續篇にして、小栗上野介に關する從来の觀察の誤れるを説き、更にその人物を賞揚せるもの。
 (昭和六年二月 東京 日本書院 四六判 三九七頁)

 戯曲 小栗上野の死 洋 一册 十菱 愛彦著

 幕末の傑士小野(ママ)上野介を主題とせる三幕六場の戯曲にして、附錄として、法學博士蜷川新の執筆に成る「小栗上州を廻る維新前後の史實」、「小栗の死に對する今人の同情」、「旗本沒落の悲哀」等を収む。
 (昭和四年三月 東京 第一出版社 四六判 二三二頁)

 参考文献

 小栗上野介 大鳥圭介 明治二九 名家談叢一四號
 小栗上野介 戸川殘花 明治三三 舊幕府第四卷第七號
 横須賀造船所經營の事 栗本鋤雲 明治三三 匏庵遺稿(裳華房)
 小栗上野傳 依田百川 明治三三 談叢卷二
 小栗上野介略歴並被害届書 大正六 江戸第六卷第四號
 小栗上野介の遺物 尾佐竹猛 大正一四 新舊時代第一年第十册
 人傑 小栗上州 中村孝也 昭和二 歴史と趣味(國民文化研究會)第四卷第十號以下
 小栗又一の最後に就て 昭和三 歴史と趣味第五卷第一號
 小栗上野介の偉なる點 蜷川 新 昭和八 歴史公論(英雄偉人檢討號)

註:栗本鋤雲 一〇三-一〇四頁

引用・参照・底本

『維新史籍解題 傳記篇』高梨光司著 昭和十年一月五日發行 明治書院
(国立国会図書館デジタルコレクション)