小栗上野介の官歴

 『開国起源.下』

 27頁
 「開國起原附録 職名錄」

 安政六未年九月目付稱又一同年十一月諸大夫万延元申年正月米國奉使二百石加増同年十一月外國奉行文久元酉年七月辭同二戌年三月寄合より小姓組番頭同年六月勘定奉行勝手方同年閏八月町奉行同年十二月勘定奉行歩兵奉行兼帶同三亥年四月辭同年七月寄合より陸軍奉行並同月辭元治元子年八月寄合より勘定奉行勝手方同年十二月軍艦奉行同二丑年二月免職慶應元丑年五月寄合より勘定奉行勝手方同二寅年八月海軍奉行並兼帯同三卯年十二月陸軍奉行並兼帯同四辰年正月免職

 『維新前後の政争と小栗上野の死』

 120-121頁
 「九 小栗上野介の家筋と其履歴」

 小栗上野介は、外國奉行、町奉行、軍艦奉行、歩兵奉行、勘定奉行等を勤めた人であつた。此等奉行は、當時の國法上、國家の重要の官職であつた。大臣とか長官とか云ふ志那式の六ケ敷文字は使用せざりしも、奉行は中央政府にありて、日本の國政を司るものであつた。然り確かに是れ三百年來の國法に由る純日本式の獨創的官命であつた。小栗上野介は、其九年の仕官の一生の中に、七十餘囘も職を動いたと傳へられる。自己の利益の爲めに、其椅子を守るが如き、世渡り上手の卑劣な人物ではなかったこと、之れによりて知らるる。而して国家として是非とも用ひられざる可らざる重要な能臣であつたことも、之れにて亦好く窺はるヽ。(「九 小栗上野介の家筋と其履歴」)

引用・参照

『開国起源.下』 勝安芳 著 (吉川半七, 1893)「開國起原附録 職名錄」
(国立国会図書館デジタルコレクション)

『維新前後の政争と小栗上野の死』法学博士 蜷川 新著 昭和三年九月十六日発行 九月十七日再版印刷発行 日本書院「九 小栗上野介の家筋と其履歴」
(国立国会図書館デジタルコレクション)