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 『万延元年遣米使節図録』田中一貞 編「附録 米人の見たる蔓延遣米使節」
 「ジョンストン中尉日記」


 小栗豊後守は確に一行中で最も敏腕な最も實際的の人物であつた。使節等が訪問せし諸處の官憲との正式交渉は皆彼によつてのみ處理されたのである。彼は四十位の年配で小男であつたが骨相學上より判斷すれば優れた智的頭脳の人であつた。少し許り痘瘡のある彼の顔は智力と聰明とで輝いて居た。彼は以前將軍に昵近なる重き地位を占めてゐた。而して此度は此冒険的な先例なき旅行を試みつヽある一行の消息を明白に忠實に將軍に報告するといふのが其使命で守の稱號は彼が使節の一人に任命された時に授けられたものであつた。(『万延元年遣米使節図録』「附録 米人の見たる蔓延遣米使節 ジョンストン中尉日記」3頁)

引用・参照

『万延元年遣米使節図録』田中一貞 編 田中一貞, 1920)「附録 米人の見たる蔓延遣米使節 ジョンストン中尉日記」
(国立国会図書館デジタルコレクション)