判 決

 

訴  状

平成21319

名古屋地方裁判所 御中

原告 足立 巖

 

 

   xxx-xxxx ○○○(送達場所)

原告  足立 巖

電話番号 xxxx-xx-xxxx

 

488-8666 愛知県尾張旭市東大道町原田2600番地1 尾張旭市役所

被告  尾張旭市長 谷口 幸治

 

違法公金支出金返還請求事件

 

訴訟物の価額 金23万7726円

貼用印紙額  金1万3000円

 

第1 請求の趣旨

 

1 被告は、別紙目録記載の環境課職員に対し、金23万7726円及びこれに対する訴状送達の翌日から支払済に至るまでの年5分の割合による金員を返還するよう請求せよ。

2 訴訟費用は被告の負担とする。

との判決を求める。

 

第2 請求の原因

 

1 原告は、尾張旭市の住民である。

2 被告は、尾張旭市の執行機関であり、違法公金支出金の返還を請求する権限を有する行政庁である。

3 環境課職員は、尾張旭市の職員である。

  公金の違法支出

1)条例によらず、レジ袋を有料化することによって、最終消費者である

住民に負担を強いるのは、地方自治法の第14条2項「普通地方公共団

体は、義務を課し、又は権利を制限するには、法令に特別の定めがある

場合を除くほか、条例によらなければならない。」に抵触する。

2)レジ袋に関しては、国会でも「レジ袋の有料化を義務づけるというも

のではございません(由田政府参考人他:第164回国会 環境委員会)と答弁している。

(3)愛知県環境部資源循環推進課一般廃棄物グループ(以下「県」という)に確認(平成20年10月1日)した結果も、「レジ袋を有料化する法的な根拠はありません」であった。

         (4)しかるに環境課職員は、地球温暖化防止などと称し、法律又は市条例の根拠無く、レジ袋(事業所又は事務所において、商品を運搬するために譲渡されるプラスチック製の手さげ袋をいう。)の有料化(レジ袋を有償で譲渡することをいう。)ということを推し進めるため平成20年10月15日から17日、20日から24日、27日から29日の各期間、正規の勤務時間内に職場を離れ、尾張旭市内で営業する店舗(スーパーマーケット等)先で「4月1日からレジ袋有料化」を標示する「のぼり旗」、チラシ(「平成21年4月1日(水)からレジ袋の有料化が始まります」などと表記。)をもって、啓発と称し、有料化への既成事実化を計る行為をしたのである。

(5)このことは、職務に専念する義務の特例について定めた「尾張旭市職員の職務に専念する義務の特例に関する条例」(以下「特例条例」という。)2条に列挙された職務に専念する義務を免除する規定にも、又特例条例に基づき「尾張旭市職員の職務に専念する義務の特例に関する条例施行規則」2条の詳細な定めの何れの免除にも該当しない行為なのである。

したがって、地方公務員法第35条「職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない」に反する。

(6)レジ袋を有料化する根拠となる法律も条令も無く、また(5)該当しない環境課職員の行為は非正規で特異なものであり、通常、住民としても、地方公共団体の職員がなすべき責を有する職務とは認め難いのである。

(7)よって、環境課職員の違反行為に費やした勤務時間からの計算額と違反行為に付随し使用した物品の支出額も含めて、次の(ア)と(イ)と(ウ)の合わせた価額となる。

 

(ア)正規の時間内に職務専念を逸脱した勤務時間の費用 金18万6162

 円

(算出根拠は、「レジ袋有料化に伴う啓発活動日程表」による。)

(イ)チラシ費用 金4314円

       (算出根拠は、「支出負担行為決議書兼支出命令書」による。)

(ウ)マイバック持参運動のぼり旗費用 金4万7250円

     (算出根拠は、「支出負担行為決議書兼支出命令書」による。)

 

5 住民監査請求

    原告は、平成21年2月2日に尾張旭市監査委員に対し、環境課職員の違法な行為に基づく支出について地方自治法第242条第1項の規定に基づく住民監査請求を行ったところ、平成21年3月2日付で、市監査委員は、具体的に指摘した先行行為の違法性を問うことなく、財務会計上の行為の前提となる市政運営の是非を監査対象とするものであるとして、原告に対し上記住民監査請求を却下する旨の通知を行った。

 

6 結論

   よって、原告は、地方自治法242条の2第1項4に基づき、請求の趣旨記載の判決を求める。

 

証拠方法

 

甲第1号証 平成2122日 尾張旭市市民生活部環境課職員措置請求

      書 控え

甲第2号証 平成21年3月2日20監第78 尾張旭市市民生活部環境課職措

置請求について(通知)

甲第3号証 尾張旭市職員の職務に専念する義務の特例に関する条例 写し

甲第4号証 尾張旭市職員の職務に専念する義務の特例に関する条例

施行規則 写し

甲第5号証 平成20年12月5日20環第172号公文書公開決定通知書

甲第6号証 レジ袋有料化に伴う啓発活動日程表

甲第7号証 のぼり旗の図案

甲第8号証 チラシ(ストップ!地球温暖化)

甲第9号証  支出負担行為決議書兼支出命令書

甲第10号証 請求書

甲第11号証 愛知県環境部資源循環推進課一般廃棄物グループ宛への問合せメール

甲第12号証 第164回国会 環境委員会 第12号(平成18年5月16日(火曜日))写し

甲第13号証 平成20年10月6日付 尾張旭市市民生活部環境課職員措置請求書 控え

附属書類

1 訴状副本                 1通

2 甲第1号証から甲第13号証までの写し  各1通

以上

 

 

別紙

目録

 

職   員

部     署

野村 孝二

環境課長

大津 公男

環境課環境係長

森田 大輔

環境課環境係

齋塲 友紀子

環境課環境係

大島 隆史

環境課環境係

佐々木 翔

環境課環境係

鬼頭 一誠

環境課課長補佐兼ごみ減量係長

稲垣 正宏

ごみ減量係

被告答弁書

 

平成21年(行ウ)第13号 違法公金支出金返還請求事件

原告 足立 巖

被告 尾張旭市長 谷口 幸治

 

証拠説明書

平成21424

名古屋地方裁判所民事9部B1係 御中

原告 足立 巖

 

 

頭書事件について、原告は、下記の書証につき証拠説明をする。

第1 甲第1号証

 1 文書の標目 尾張旭市市民生活部環境課職員措置請求書 

   1.1 原本・写しの別 原本

 2 作成年月日 平成21年2月2日

 3 作成者   原告

4 立証趣旨  本件の住民監査請求の内容

 

甲第2号証

1 文書の標目 尾張旭市市民生活部環境課職員措置請求について(通知)

1.1 原本・写しの別 原本

 2 作成年月日 平成21年3月2日

 3 作成者   被告

4 立証趣旨  本件の住民監査請求の結果

 

甲第3号証

1 文書の標目 尾張旭市職員の職務に専念する義務の特例に関する条例

1.1 原本・写しの別 写し

 2 作成年月日 昭和46年3月31日

 3 作成者   被告

4 立証趣旨  職務に専念する義務の免除になる場合の証明

 

甲第4号証

1 文書の標目 尾張旭市職員の職務に専念する義務の特例に関する条例施行規則

1.1 原本・写しの別 写し

 2 作成年月日 昭和55年3月31日

 3 作成者   被告

4 立証趣旨  職務に専念する義務の免除になる場合の証明

 

甲第5号証

1 文書の標目 公文書公開決定通知書

1.1 原本・写しの別 原本

 2 作成年月日 平成20年12月5日

 3 作成者   被告

4 立証趣旨  レジ袋有料化の事実行為を裏付ける公文書の入手の証明

 

甲第6号証

1 文書の標目 レジ袋有料化に伴う啓発活動日程表

1.1 原本・写しの別 写し

 2 作成年月日 平成20年8月以降

 3 作成者   被告

4 立証趣旨  レジ袋有料化の事実行為の証明と違法公金支出の額を証明

 

甲第7号証

1 文書の標目 のぼり旗の図案

1.1 原本・写しの別 写し

 2 作成年月日 平成20年9月30日

 3 作成者   被告

4 立証趣旨  レジ袋有料化の事実行為を裏付ける証明

 

甲第8号証

1 文書の標目 チラシ(ストップ!地球温暖化)

1.1 原本・写しの別 原本

 2 作成年月日 平成20年7月7日・11月11日

 3 作成者   被告

4 立証趣旨  レジ袋有料化の事実行為を裏付ける証明

 

甲第9号証

1 文書の標目 支出負担行為決議書兼支出命令書

1.1 原本・写しの別 写し

 2 作成年月日 平成20年7月11日・11月18日

 3 作成者   被告

4 立証趣旨  違法公金支出の額を証明

10 甲第10号証

1 文書の標目 請求書

1.1 原本・写しの別 写し

 2 作成年月日 平成20年7月7日・10月2日・11月11日

 3 作成者   納入業者

4 立証趣旨  違法公金支出の額の証明

 

11 甲第11号証

1 文書の標目 愛知県環境部資源循環推進課一般廃棄物グループ宛への問合せメール

  をプリントアウトしたもの

1.1 原本・写しの別 原本

 2 作成年月日 2008年10月7日・10月1日

 3 作成者   愛知県環境部資源循環推進課一般廃棄物グループ

4 立証趣旨  有料化の法的根拠が無いとの事実を証明

 

12 甲第12号証

1 文書の標目 164回国会 環境委員会 第12号

1.1 原本・写しの別 写し

 2 作成年月日 平成18年5月16日以降

 3 作成者   衆議院

4 立証趣旨  レジ袋有料化は義務付けるというものではないとの事実の証明

 

13 甲第13号証

1 文書の標目 尾張旭市市民生活部環境課職員措置請求書の控え

1.1 原本・写しの別 原本

 2 作成年月日 平成20年10月6日

 3 作成者   原告

4 立証趣旨  レジ袋有料化の違法性に付いての最初の住民監査請求の内容

 

 



平成21年(行ウ)第13号 違法公金支出金返還請求事件

原告 足立 巖

被告 尾張旭市長 谷口 幸治

第1原告準備書面

 

平成2157

名古屋地方裁判所民事9部B1係 御中

原告 足立 巖

 

 

1 被告の平成21年4月28日付答弁書(以下「被告答弁書」という)第2の4の請求原因

4項に対する反論

 

1 被告答弁書第2の4のアの同(1)の主張は、争うに対する反論

理由: 本第1原告準備書面の第1の2、3及び甲第15号証(違法性の認識)による。

 

2  被告答弁書第2の4のイの同(2)の被告の主張は、否認する。

理由:甲第1号証に記載してあり、被告は事実を知る立場にあった。

 

3  被告答弁書第2の4のウの同(3)の被告の主張は、否認する。

理由:平成20年11月19日付被告宛の原告の「レジ袋の有料化に関する公開

質問状」に記載してあり、被告は事実を知る立場にあった。(甲第14号証)

 

4        被告答弁書第2の4のエの同(4)の被告の「その余は否認ないし争う」の主張に対す

る反論

理由:根拠法の無いことは、被告が不知とし否認された被告答弁書第2の4のイの同

(2)、第2の4のウの同(3)、また本第1原告準備書面の第2の7、第3での示した被

告作成の公文書である甲第15号証でも、その違法性の認識は明らかである。したがっ

て、被告の主張する「その正規の時間内に、その職務として」は、否認する。

レジ袋、有料化の各()書きは、被告作成の公文書である甲第15号証によるものであ

る。

被告主張の「「レジ袋有料化」に伴う聴き取り調査等」の内容は、「9月以降にはス

ーパーなどの店頭や市民祭などのイベントでマイバッグ持参運動とレジ袋削減につい

てのちらし配布やのぼり旗による啓発を展開するとともに、市民への簡単なアンケー

ト調査を行っていきたい」(平成20年7月22日開催「平成20年度第1回尾張旭市マ

イバッグ持参運動ネットワーク」議事録)であって、この会議の以前から法律又は市条

例の根拠の無いレジ袋の有料化を目論むものであり、既成事実化へと向かう行為を推

し進めていたのである。

 

5  被告答弁書第2の4のオの同(5)の主張は争うに対する反論

理由: 本第1原告準備書面の第1の2、3及び甲第15号証(違法性の認識)が裏付け

るように、市の施策としてレジ袋の有料化の根拠法が存在せず、レジ袋の有料化を推

しめる行為は違法となり、制限的に列挙し職務に専念する義務を免除する「尾張旭市

職員の職務に専念する義務の特例に関する条例」にも「尾張旭市職員の職務に専念す

る義務の特例に関する条例施行規則」にも該当しない作為なのである。

 

6 被告答弁書第2の4のカの同(6) の主張は争うに対する反論

理由:直前の5の理由から同じく導出されることである。

全体の奉仕者としての職員が担保されるのは、法規の枠内で法を具現する者として

住民に対することであり、それが一部の奉仕者でないことの証なのである。「職員は、職員としては、法律、命令、規則又は指令による職務を担当する以外の義務を負わない」(国家公務員法第105条)のである。地方公共団体の職員である環境課職員にも当てはまることである。したがってレジ袋の有料化の一連の行為は非正規で特異なものとなる。

 

7  被告答弁書第2の4のキの同(7)の被告の「認める」の余に対する反論

理由: 本第1原告準備書面の第1の2、3及び甲第15号証(違法性の認識)から明ら

かである。訴状第2の4の(7)の金額は正当な請求である。

 

8  被告答弁書第2の5の請求原因5項の「不知」に対する反論

理由:財務会計行為に先行して行われる原因行為に違法事由が存する場合には、住民

監査請求をなしうることを、「職員の昇給決定が違法あるいは不当に行われたとしたなら、そのことにより将来当該職員が退職するにあたり不当な額の退職金の支給がなされることが退職手当に関する条例上予測される場合もその是正措置の住民監査請求をなしうる」(昭49.7.11行実)と、例示している。

 また、最高裁判所大法廷判決(昭和46(行ツ)69 行政処分取消等 昭和52年07月13

)は、「公金の支出が違法となるのは単にその支出自体が憲法八九条に違反する場合

だけではなく、その支出の原因となる行為が憲法二〇条三項に違反し許されない場合

の支出もまた、違法となることが明らかである」としている。

   

2 被告答弁書第3被告の主張に対する反論

 

1  被告答弁書第3の1の(1)の被告の「いわゆる「レジ袋」とは、小売店舗において、

小売業者等が、消費者(顧客)に対し、当該店舗で消費者が購入した商品の包装用具と

して配布する袋(ポリエチレン製等)である」との主張は、不知。

 

2        被告答弁書第3の1の(2)の被告の「その「レジ袋」の有料化とは、従前、小売事業

者等が消費者に対しサービスとして無料で当該袋を配布していたのを中止し、その配

布を求める消費者に対しては有料で売却交付する行為をいうものである」との主張は、

不知。その余は否認する。

理由:「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」第八十四条では、「会

社の販売及び一般管理業務に関して発生したすべての費用は、販売費及び一般管理費

に属するものとする」とされ、費用の把握、認識が為されているのである。

つまり、総原価+利益=販売価格である。総原価には販売費及び一般管理費が含ま

れているのである。したがって消費者 (住民)は、レジ袋の費用込みの商品価格で購

入しているのであって、無料ではないのである。また、事業者がこのレジ袋費用を直

接的、個別的に対応し、各商品にその費用を配賦しているならば、尚更の事である。

    被告は、「消費者として当該レジ袋を事業者から交付を受けるに際し当該レジ袋の

対価として特別の金銭を支払うとかその他売買と目される外形行為がないことをも

って「無料」であったと評価されているものを」とするが、消費者は、「無料」と評

価しているのではなく、これまで長きに亘り消費者(住民)と事業者間で均衡を取り

合いながら相互の便益を満たしてきている中にレジ袋(レジ袋、三十年ほど前から

定着」崎田参考人:第164回国会 環境委員会)はあるのであって、商品と一体化し、

当該商品価格に織込み済みとして当然視された双方の事実としての行動様式が深く

浸透し日常化し根付いて受け入れられている、と理解すべきなのである。

したがって、尾張旭市の施策として取り入れレジ袋の有料化を計るのであれば、一

     部の奉仕者でないことの証としても、根源的に無料の意味が問い直されることは当然

となる。現に、「レジ袋の収益金はわずかだからといったことではなく、収益金の定

義や規模等のデータがないのに議論ができるのか疑問である。レジ袋削減運動の根柢

のことだと思う」「レジ袋断ったお金はどうなるのかが問題で、どこに行くのかが不

透明で市民にわかりにくい(会員の発言:平成201126日開催 平成20年度第

4回尾張旭市マイバグ持参運動ネットワーク会議)、最終回の会議の場で指摘され

ているのである。

レジ袋の有料化を推進するに際しては、「そのレジ袋交付時に事業者と消費者(

)間で売買契約が締結されその取引が行われることを指して「有料化」というもの

に過ぎない」、とは簡単に片付けられないのである。住民に対しての合理的な説明責

任が被告には要請されているのである。

 

3 被告答弁書第3の1の(3)の被告の主張は、否認する。

理由:尾張旭市が施策としてレジ袋の有料化を推進することについての根拠となる

法律又は条令等の無いこと及びその該当しない環境課職員の行為を違法としたもので

あり、被告の主張は、施策としての尾張旭市のレジ袋有料化の法的根拠等の無いにも

かかわらず長年の間に培われた商慣習に行政が容喙することについての矛盾を無視し、反面の論理を主張したに過ぎない。「小売業者が判断し実行するものである」との被告の主張は、却って行政の不介入を主張し、協定書方式の違法性を曝け出すものである。

 

4 被告答弁書第3の1の(4)の被告の主張は、否認ないし争う。

理由:現実売買で、買い物商品の引渡し・代金支払が同時に行われたとき、そこにレ

ジ袋が在るという長きに亘る商売上の慣わしが存在していたなら、

(1)相手方(消費者)の正当な期待・信頼を裏切らないよう販売事業者に誠意をも

って行動(レジ袋の供与)することを求めることはできるのではないか

(2)(1)には住民が消費者として振舞うときの既得権益は認められるのではないか

(3)(1)法律行為は慣習に従って為されることがあるので商慣習も補充基準となる

のではないか

(4)以上のことは倫理的・道義的な社会規範つまり正当な信頼関係を基準にして公

平・妥当な解決策を見ようとするものであるから、既に法益の範疇ではないの

公権力が介入して住民の日常生活に直結し、その生活を規定するものについては、

民主主義を統治の根本とするわが国では法律の根拠を要すると解すべきである。

地方自治法第1条の2 は「地方公共団体は、住民の福祉の増進図ることを基本とし

て、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとる」と規

定する。住民の福祉の増進は、住民に身近な行政として住民の日々の生活等に密接な

関わり持つものとして立ち現れる行政の究極の在り方を示すものである。そして自治

行政の基本原則として、この法の第2条14項で重ねて「地方公共団体は、その事務を

処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果

を挙げるようにしなければならない」と念を押すのである。更に16項で「地方公共団

体は、法令に違反してその事務を処理してはならない。なお、市町村及び特別区は、

当該都道府県の条例に違反してその事務を処理してはならない」とし、法規制の中に

存することを命じるのである。17項では「前項の規定に違反して行つた地方公共団体

の行為は、これを無効とする」のである。

      地方自治法の第142項は「普通地方公共団体は、義務を課し、又は権利を制限

するには、法令に特別の定めがある場合を除くほか、条例によらなければならない」

とした。「義務を課し、又は権利を制限する」は、改正前自治法が「行政事務の処理

に関しては、法令に特別の定があるものを除く外、条例でこれを定めなければならな

い」(旧地方自治法142項後段)としたものである。

住民に対し、例示すれば、権利義務に関する書式・受付窓口等の手続き処理等を為

さないから、義務を課し、又は権利を制限することで無いとはできない。尾張旭市の

施策としてレジ袋有料化を推し進めることは、被せ網の如くに住民の日常生活に影響

を及ぼすのである。住民が生きる為に必然的に組み込まれている消費(生活)行動の基盤

に踏み込んでいるのに、何らの法的根拠も無しに作為することは、上述した地方自治

法の原則である住民の福祉を無視し、悖るものである。

既得の選択肢を住民から奪い、「レジ袋無料の店舗を選択することを妨げられないとは、住民の福祉を志向する行政の言うべきことなのだろうか。被告の住民(消費者)に対する排除の論理は、法令適合の原則、住民福祉の原則を忘却した振る舞いとしか映らない。

確かにマイバックの購入費用(「不利益」)等の発生は負担となり、マイバックの持参は「不便」である。この不利益、不便等が尾張旭市のレジ袋の有料化を推し進める施策に存するから、「「義務負担」ないし「権利侵害」」などと住民福祉の原則、法令適合の原則の観点から問われるのである。

 

5        被告答弁書第3の2の被告の主張は、(1)国の法令など、(2)尾張旭市の条例などの

説明をするが、被告の趣意、レジ袋有料化については、否認する。

理由:「レジ袋有料化」の法的根拠になる法令等でない。

 

6  被告答弁書第3の3の (2)の@の被告の主張は、否認する。

理由:尾張旭市が作成した「尾張旭市マイバッグ持参運動ネットワーク」の議事録か

ら判断できることは、被告は尾張旭市の会議公開の原則に背き、過去4回の開催で3

回までを議事録非公開、会議非公開で進めてきたのである。最後の4回のみを指摘さ

れて公開したのである。果たして斯様なことが「自主的、自発的な参加と協働を前提

としたシステム設計を必然的に求められるところである」を実現したと言えるのであ

ろうか。

協働の対象としての住民の日常生活に義務を、負担を強いることなのに、肝心の住

民は蚊帳の外に放置されているのである。既成の特定の住民団体と尾張旭市内では大

手のス―パー等で構成し、全体を行政が仕切り、レジ袋有料化の既成事実を策動した

のである。住民無視と言っても過言ではない。

 担当部署の市民生活部環境課は事務局と称して(尾張旭市マイバック持参運動ネッ

トワーク会則に事務局の規定は無い)、レジ袋有料化への道筋をつけたのである。つま

り、3R(リサイクル・リデュース・リユース)の達成手段の検討もせずに、事務局は、

1回の会議の席上にて「無料配布の中止は4月1日を予定している」とし、その後は

既定路線を直走りなのである。特に反対の意を唱える会員もいない上に、「安い金額だとマイバッグ持参の効果はないと思う」(尾張旭市マイバック持参運動ネットワークの2回目の会議録)と消費者側の会員が、予定する一枚5円のレジ袋について、心配する始末である。最終回になってようやく代理で出席した会員によって本格的な議論を為される始末であるが、時遅しである。

環境的条件の背景は理解したとしても、レジ袋の有料化、マイバック等は普く一律

に住民に費用の負担を強いるものであり、住民に対し憲法に定める財産権の侵害とな

る。

 「地方公共団体が、権力(命令)的、規制的手段でその施策の実施を行うことを相当

とするものではない」と主張するが、被告の主張する中の「容器包装リサイクル法」

では、権力と規制的手段が組み込まれているのである。例外はレジ袋の有料化を明文

化しなかったことである。その代わりに「尾張旭市におけるレジ袋削減・無料配布中

止に関する協定書」と称し、目的を達成しようと推し進めているのである。

 

7 被告答弁書第3の3の(2)のAの被告の主張は、否認する。

理由: 住民の直接選挙によって選出される議員で構成される議会に条例が提案され

議決されれば、その自治体の法となり、公平性を担保されることになり、根拠が整備

されることになる。

尾張旭市が作成した「尾張旭市レジ袋有料化等の取組の推進に関する条例原案」(甲

15号証)見ても、決して「其の内容は市民や事業者等に対する努力義務を課す性質の

ものとならざる得ず」という判断にはならないし、「条例化の意義、効果及び必要性は乏しい」という結果にはならない。住民福祉の公平・均一ならざる在り方は議会を通すことによって問題の所在も含めて、住民の共通認識になるのである。

 

8 被告答弁書第3の3の(2)のBの被告の主張は、否認する。

理由:一般論を展開しているのでなく、尾張旭市の施策として取り上げ住民に負担や

義務を課す本件については法令等の根拠が必要であるとするのである。

 

9 被告答弁書第3の3の(2)のCの被告の主張は、否認する。

理由:自主的な参加を標榜しているが、原告の主張の要点は飽くまでも日々の生活を

営む住民(消費者)の視点からの公平性の担保であり、議会を経ることによる住民へ

の保障である。

「事業者」、「市民団体」(市民の代表ではない)及び「尾張旭市」が協定の当事者と

なり、住民の日常生活に影響を与える施策を遂行することは異常である。議会軽視と

も言える。

 

10 被告答弁書第3の3の(2)のC「Dの誤記か」の被告の主張は、否認する。

   理由:近隣自治体と同様の手法というが何の意味も無い。そのことを挙げるなら、平

20年12月26日に佐渡市は「佐渡市レジ袋有料化等の取組の推進に関する条例」を

制定し、平成2141日から施行していることを指摘しておく。(甲第16号証)

 

11 被告答弁書第3の5の(1)の主張の趣意は、否認する。

   理由:「レジ袋の有料化」に関しての一連の行為は認めるが、本件業務行為の適法性

については争う。その論拠は既述した。

 

12 被告答弁書第3の5の(2)の主張は、否認ないし争う。

理由:行政の真の目的は、住民の福祉の増進であり、向上である。住民の福祉を置き

去りにして、「行政目的に合致した適正な職務範囲に属する業務である」とはいわない。

 

13 被告答弁書第3の5の(3)の主張は、否認ないし争う。

理由:違法であるレジ袋有料化の既成事実化を計る行為の手段として用いられ、尾張

旭市の一方的な支出でもあり、認容することはできない。

 

3 被告答弁書第4の主張は、否認ないし争う。

 

尾張旭市の人口81,505人そして32,233世帯(平成213月末現在)の生活に影響すること

なのである。

ごみ減量への何ら根拠ある見通しも無く、つまり、<レジ袋有料化に伴うごみ減量の

効果>と<マイバック他のごみの増量>の比較(トレードオフ)できる資料も無く、温室

効果ガスである二酸化炭素の排出量の削減は謳うものの、その実何らの検証可能な資料

も持ち合わせなく、説明できないのである。

政策とは誰の為にあるのか。住民の福祉のために策定されているのではないか。地方

自治の本旨には住民自治が存しているではないか。住民参加による地方自治の維持・発

展こそ望むべき姿なのではないのか。その為には行政の積極的情報公開、批判の受け入

れこそが肝心なのではないのか。

本件の場合は、政策論争ではないのである。政策の実現過程の手段の違法性が問われ

ているのである。手段の違法性を問うことが果たして政策論争等になるのか。目的の為

に手段のシワ寄せだけを住民に押し付ける其の手法の違法性が問われているのである。

被告は、平成20年10月28日から11月14日の間、市民に対し尾張旭市ホームペー

ジ上等を通して「尾張旭市レジ袋有料化等の取組みの推進に関する条例(案)」(甲第15

号証)の意見募集をしたのである。結果的には提案を見送ってしまったが、条例制定の

必要性を意識したものであり、地方自治法の第142項に照応した証左である。

 

4 求釈明

 

1  被告答弁書第3の1の(1)で、「いわゆる「レジ袋」とは、小売店舗において、小

売業者等が、消費者(顧客)に対し、当該店舗で消費者が購入した商品の包装用具とし

て配布する袋(ポリエチレン製等)である。」とするが、尾張旭市の公文書である「尾張

旭市レジ袋有料化等の取組の推進に関する条例原案」の定義を用いない理由を明らか

にされたい。

 

2 被告答弁書第3の1の(2)で、「その「レジ袋」の「有料化」とは、従前、小売事業

者等が消費者に対しサービスとして無料で当該袋を配布していたのを中止し、その配布

を求める消費者に対しては有料で売却する行為をいうものである」とするが、尾張旭市

の公文書である「尾張旭市レジ袋有料化等の取組の推進に関する条例原案」の定義を用

いない理由を明らかにされたい。

 

3  住民に負担を掛けながら、被告答弁書第3の1の(4)の被告の主張、「それは法的な

「義務負担」」ないし「権利侵害」などと論じうる性質のものでもないし、後記のとお

り、法令ないし条例を要する種類のものでもない」との根拠を説明されたい。

 

4  被告答弁書第3の4の主張「当該事務を担当し必要な業務を行っている」の中身を

明らかにされたい。

 

5  被告答弁書第3の5の(1)の「聴き取り調査」と「市民への簡単なアンケート調査」

との差異を明らかにされたい。

 

5 原告の主張

 

   1 原告の意見陳述

 

    原告が、最初に尾張旭市のレジ袋有料化計画のあらましを知ったのは、「中日新聞な

ごや東版」の朝刊(2008927日付)からであった。

 レジ袋の有料化、其処から得られる収益金を初めて知る「尾張旭市マイバック持参

運動ネットワーク」という組織に拠出すること、市内のレジ袋有料化が来年4月1日

に予定されていること、既に第3回の会合を持ったこと。

疑問が湧いた。

そして原告は、

 10月6日 1回目の住民監査請求を提出、

11月9日 被告宛にレジ袋の有料化に関する公開質問状を提出、

11月11日 尾張旭市レジ袋有料化等の取組の推進に関する条例原案への意見書提出、

   平成21年2月2日 二回目の住民監査請求を提出、

   だが、疑問は深まるばかりであった。

 原告は常日頃、尾張旭市の議会、市の公開された会議を傍聴している者である。議

会でレジ袋の有料化の発言も過去に何度か耳にしている。

 市民全体に及ぶ施策が非公開にて推し進められるとは思わなかった。

 急遽、全容を把握するために情報収集を始めた。そこで判明したのは何とも根拠の

不明瞭な事実であった。所管元の市民生活部環境課を始めとして、愛知県環境部資源

循環推進課一般廃棄物グループ、環境省にも直接問合せ(11/18)をした。

 得られた結果は、レジ袋を有料化する法の根拠が無いこと、裏づけとなる数値は検

証が不可能であることなどであった。

 愛知県と環境省は同じ様な答えであった。レジ袋の有料化ではない。ごみの減量で

ある、と。尾張旭市は、他市がやっているから等、曖昧で説明責任は果たせなかっ

た。

原告は、知り得た県、国の情報等はもとより佐渡市(何度か電話をし、条例の内容、議会の動きを教えて頂いた)の状況、環境省のメルマガから得た各自治体の最新のレジ袋有料化の進み具合、レジ袋大手メーカーへの問い合わせ(失礼とは思ったが、率直にメーカーに尋ねた。「レジ袋削減の影響で会社は潰れませんか」と。後日送付された資料では、営業売上は右肩上がりを保っていた)の内容など、市の環境課に即メール・口頭で伝え、情報の共有化を図ってきた。

 所管元には、会議の公開や議事録のホームページでの掲載を求めた。

議事録から読み取れることは、ただレジ袋有料化へのことだけで、その有料化も本

質的な検討はなされておらず、市民への説明など欠落した内容で、環境という名の下

に押し通し、ごみ減量等の前後の検証する資料も無く、マイバック持参率80%の目標

を掲げることとし、それっきりなのである。

 協働というが、事業者は実態の情報は開示せず、事実を市民は知りえない。ただ市

のアンケート結果(12社17店うち5社は公表しない)の数値から分かることは、事業

者は、年間で39,077,100円(9,531,000枚×平均購入単価4.1円/枚)のレジ袋に関

し、経費節減となる。この他に有料化分(理論的にはアンケート資料等から算出可能)が加わるのである。1円を競う業者にとって、大変な金額のはずだ。この金額が拠出されないことは、事務局の会議の発言で分かった。

 尾張旭市の可燃ごみ組成調査(平成14年度)は、レジ袋は全体の重さの約1.2%であ

ることを示す。レジ袋は基本的にはリサイクル資源であり、先述したメーカーでは、

スーパーと協力して、リサイクル化に取り組んでいる。

 だが、近い将来、マイバック(エコバック)というレジ袋の2倍の資源を使ったゴミ

で、悩まされるのではないかと危惧する。現在、店頭には色とりどりのデザインのマ

イバックがレジ場近くに商品として置かれている。

 尾張旭市では、今年4月中旬頃から新たに可燃ごみ用の小型の指定ごみ袋、10リッ

トル・20リットルの袋が出回ることになった。

原告は思う。掛け声だけで裏づけも無く、もし在ったとしても情報が公開されなけ

    れば、真の知恵は出ないし、更なる悪環境に陥るだけではないかと。確実に実効性の

挙がる施策を住民も行政も考えなければならない。其の為には、施策を遂行する前に、その施策の及ぼす影響の全容を把握することが肝要である。つまり、トレードオフをしっかりと考慮しなければならない。

 俯瞰する知恵を身につけなければ、と思う。環境問題は正に人間自身が作為し背負

い込んだ問題であって、他の生物に責任を転嫁することは決してできない

 新聞で知って以来、持ち続ける疑念を裁判官に聞いて頂きたく、また思いを伝えら

れるように、本人訴訟で臨んでいる。

 

   2 原告の主張

 

   原告の主張は訴状において述べた通りである。

 

(1)    被告の答弁書からは、目標を忘却し単に事務処理をするだけの姿しか浮かんでこ

ない。日頃、一市民としても、尾張旭市の職員と接する機会の多いほうであると、

 思っている。市井の者から見るに、偏にそれは顔を上に向けて呉れる筈の目標の喪

失と考えられるのである。

では、全体の奉仕者としての目標とは何か。民間企業で糊口を凌いだ人間が考え

るのである、的外れを恐れずに言えば、法規の遵守である。民間の立場からすれば、

態々探し捲くることもなく、理念が与えられているのである。あとは実践あるのみ

なのである。青臭い意見かもしれないが、人は大きな希望の中では快適に過ごせる

ものである。

(2)  地方自治法第1条2は、「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本

として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとす

る」と規定する。行政全体が、つまり、個々の政策が「住民の福祉の増進を図る」

ところに帰するのである。住民に身近な行政として計画された施策を実施する段階

において、羅針盤としての法規範の欠如は、地方分権の進展する中、市政に恣意性

帯び住民不在の糸切れ凧のようになる。

  つまり、個々の政策は住民のものなのである。其の政策に住民が異論を挟むのは

至極当然のことなのである。複雑な権利関係の社会で行政の無謬性という時代錯誤

の考え方を被告は表してきている。羅針盤の喪失である。

被告答弁書第3の3の(2)の@で、「レジ袋の「無料化」「有料化」の判断主体は

あくまで事業者であり、その営業の自由に関わることであるので、地方公共団体が、

権力(命令)的、規制的手段でその施策の実施を行うことを相当とするものではな

い」と主張する。では執行機関である被告は手を拱いていたとでも言いたいのだろ

うか。そうだとしても、画策の本人が自作の脚本の中で、傍観者を演じているよう

なものである。

ここでも負担側の住民への配慮はないのである。住民は魚網の中で、手厳しい言

葉が投げかけられるのである。つまり、「なお、消費者はレジ袋無料の店舗を選択

することが妨げられない」(被告答弁書第3の1の(4))と。レジ袋有料化が拡大し

ていった暁までに想像力が及ばないのである。現状維持としても、住民福祉からは

既に遠のいている考え方である。

一方事業者には漁獲を得させ、旨みが無くなれば、去るのである。現にレジ袋有

料化による売上の低迷で、有料化を中止した例が他市にある。レジ袋有料化の再開

は難しい、とする。その程度の施策だったのか。

 環境負荷軽減の施策について、選択の多様性を放棄しては、生物環境の頂点に存

在する生活者としての人間を、困窮させる結果となるだけである。経済的負担によ

る環境の保全は、結局新たな環境負荷を発生させることになり、悪循環となるだけ

である。

 被告は答弁書第4の中で、「レジ袋削減・無料配布中止に関する啓発運動やマイ

バック持参運動に関し、それらの活動等につき条例化されていなければ、当該活動

等をすることは違法な行為となり、あるいは職務外の業務と法律上評価されるか否

かでありこの論点に関する法的判断である」とする。

が、この視点からでは住民の存在は視野に入らず、入ったとしても、一方的な被

害者或いは搾取される側の立場でしか現れない。なぜ条例化が必要とされるかの思

考を停止しているからである。其処に負担や義務や制約が住民へ生じているか否か

なのである。住民に接する身近な政府が無意識、天真爛漫の振る舞いで抜き身の刀

(権力)を弄ぶのでは、住民として日々の生活が落ち着かないのである。住民への

負担や義務が生じる或いは予定される場合、執行機関としては住民の代表機関であ

る議会に最終的決定を委ねるべきではないのか。執行機関としての長や委員会等は、

あらかじめ議決機関としての議会が決定した意思を実現するための機関なのであ

る。

施策の実施に際し、住民視点の判断が機能しなかったら、住民は単に草刈場と化

すのである。

 

(3)  被告答弁書第33(2)のC「Dの誤記か」「この方法は、名古屋市(6)、愛知

(6)などの近隣自治体と同様の手法である」と主張するが、地方分権の進展の

中、他市の例を引き出すのでなく、自らの判断で住民に説明責任を果たせるように

すべきである。

平成19(行ウ)10 公金支出差止め請求事件の判例は横並びの脆さを証明す

る。

 

6 書証の成立の認否

 

1 乙第1号証の成立は、認める。

2 乙第2号証の成立は、認める。

3 乙第3号証の成立は、認める。

4 乙第4号証の成立は、認める。

5 乙第5号証の成立は、認める。

6 乙第6号証の成立は、不知。

7 乙第7号証の成立は、認める。

8 乙第8号証の成立は、認める。

9 乙第9 号証の成立は、認める。

10 乙第10号証の成立は、認める。

11 乙第11号証の成立は、認める。

以上

証拠方法

 

甲第14号証 平成20年11月19日付 レジ袋の有料化に関する公開質問状

甲第15号証 尾張旭市レジ袋有料化等の取組の推進に関する条例原案

甲第16号証 佐渡市レジ袋有料化等の取組の推進に関する条例

 

附属書類

 

1  第1原告準備書面               1

甲第14号証〜甲第16号証  各1


被告準備書面

 

平成21年(行ウ)第13号 違法公金支出金返還請求事件

原告 足立 巖

被告 尾張旭市長 谷口 幸治

 

証拠説明書

平成2157

名古屋地方裁判所民事9部B1係 御中

原告 足立 巖

 

 

頭書事件について、原告は、下記の書証につき証拠説明をする。

第1 甲第14号証

 1 文書の標目 レジ袋の有料化に関する公開質問状の控え 

   1.1 原本・写しの別 原本

 2 作成年月日 平成20年11月19日

 3 作成者   原告

4 立証趣旨  本件の答弁書で被告が不知としたことを否認できる証明となる。また

        レジ袋有料化に伴う種々の疑義の点を被告に質問したもので他に証明

となる内容。

 

2 甲第15号証

1 文書の標目 尾張旭市レジ袋有料化等の取組の推進に関する条例原案

1.1 原本・写しの別 写し

 2 作成年月日 平成20年10月頃

3 作成者   被告

4 立証趣旨  被告がレジ袋有料化の違反性を意識していた証明となる。

 

3 甲第16号証

1 文書の標目 佐渡市レジ袋有料化等の取組の推進に関する条例

1.1 原本・写しの別 写し

 2 作成年月日 平成20年12月26日

 3 作成者   新潟県佐渡市

4 立証趣旨  尾張旭市と同時期に佐渡市が同様の条例制定に向かっていた事実の証

明。

 

 

平成21年(行ウ)第13号 違法公金支出金返還請求事件

原告 足立 巖

被告 尾張旭市長 谷口 幸治

 

証拠説明書訂正申立書

 

平成2158

名古屋地方裁判所民事9部B1係 御中

原告 足立 巖

 

 

頭書事件について、原告は、下記の通り平成2157日付け証拠説明書を訂正する。

1              2 甲第15号証 原本・写しの別で「原本」とあるを「写し」とする。

2              2 甲第15号証 立証趣旨で「本件の答弁書で被告が不知としたことを否認できる証明となる。また」の箇所を削除する。

3 「第2 甲第16号証」とあるを「第3 甲第16号証」とする。

4  甲第16号証 原本・写しの別で「原本」とあるを「写し」とする。

5    甲第16号証 作成者で「被告」とあるを「新潟県佐渡市」とする。

6    甲第16号証 立証趣旨で「佐渡市の事情を尾張旭市は承知していた。」の箇所を削除

する。

  いずれも誤記によるものである。

  以上

 

 

平成21年(行ウ)第13号 違法公金支出金返還請求事件

原告 足立 巖

被告 尾張旭市長 谷口 幸治

2原告準備書面

 

平成21512

名古屋地方裁判所民事9部B1係 御中

原告 足立 巖

 

 

被告の平成21年5月11日付被告準備書面(以下「被告準備書面」という)について

 

1        被告準備書面1について

1原告準備書面に対し、争う、だけでは何の趣旨論理を以って争うのか不明である。被告の主張を擁護すべき争う点、つまり、反論を明確にすべきである。

被告が原告の主張に対し答弁書で応じ、その答弁書に対しての第1原告準備書面で

あるから、争うなら其の論理を展開すべきである。

 争う。

 

2        被告準備書面2について

原告の求釈明は事実の認識に必要である。論証の積み重ねに不明な点を明らかにしないのは、土台を築かず柱を立てるようなものであり、砂上の楼閣である。

 

3        被告準備書面3について

被告は、「他に新たな主張がなく、またその余の立証予定が特段ないなら」と、結審を急いでいる。このことは第1原告準備書面の反論に対し窮した為、およそ其の論理の展開からかけ離れ、事実の積み重ねでの証明過程を無視したものであり、特に被告の違法性に関わる事実を不知としたことに、原告は証拠をもって反論(第1原告準備書面第1)したにも関わらず、殊更その反論から目を逸らしている。

否認する。

 

4        原告の意見陳述 

原告の主張は首尾一貫している。しっかりと噛み合う論理の展開を被告に求める。

以上

 

 

平成21年(行ウ)第13号 違法公金支出金返還請求事件

原告 足立 巖

被告 尾張旭市長 谷口 幸治

3原告準備書面

 

平成21626

名古屋地方裁判所民事9部B1係 御中

原告 足立 巖

 

頭書事件につき,原告は、以下のとおり弁論を準備する。

 

1 請求の原因の補整的変更

 

訴状の第2請求の原因の4(7)での額を、各々の環境課職員に対する損害賠償請

求額として配賦し、訴状の第2請求の原因の4に以下の(8) 損害額を追加する。 

 

 (8) 損害額

 

 (a) 請求の法的根拠

法律、条令等に根拠をもたず、違法性を認識した訴状第24(4)の職員の行為は、

職務専念義務の免除にも該当せず、法令、条例等に従うことを義務付ける地方公務員法

35条「職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務

上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有

する職務にのみ従事しなければならない」に反することになり、したがって環境課職員

に支出した給与は、地方自治法204条の2「普通地方公共団体は、いかなる給与その他

の給付も法律又はこれに基づく条例に基づかずには、これをその議会の議員、第二百三

条の二第一項の職員及び前条一項の職員に支給することができない」に違反する給与支

出となる。

また、違反行為に付随し支出された物品の支出額はレジ袋有料化を特化するものであ

り、他に用途は無く上述の職員の行為に密着したものであり、その支出は地方自治法

232条の3普通地方公共団体の支出の原因となるべき契約その他の行為(これを支出

負担行為という。)は、法令又は予算の定めるところに従い、これをしなければならな

に反する。

 

  (b) 返還すべき損害賠償請求金額及び内訳

   損害賠償請求金額の明細は以下の通りである。

 

 

 

 

別紙目録記載の各環境課職員に対する損害賠償請求金額表

 

職   員

(ア)

(イ)+(ウ)

(ア)+(イ)+(ウ)の合計

野村 孝二

2万4282円

1万7188円

4万1470円

大津 公男

1万6188円

 

1万6188円

森田 大輔

  8094円

 

8094円

齋塲 友紀子

8094円

 

8094円

大島 隆史

1万6188円

 

1万6188円

佐々木 翔

1万6188円

 

1万6188円

鬼頭 一誠

4万8564円

1万7188円

6万5752円

稲垣 正宏

4万8564円

1万7188円

6万5752円

総    計

        23万7726円

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

注記:

1  (ア)、(イ)、(ウ)は、訴状の第2請求の原因の4の(7)である。

2  (ア)の根拠は、甲第6号証による。

(イ)、(ウ)の根拠は、甲第9号証により、直接の担当職員である。

以上

 

附属書類

 

1 第3原告準備書面 副本       1

 

平成21年(行ウ)第13号 違法公金支出金返還請求事件

原告 足立 巖

被告 尾張旭市長 谷口 幸治

4原告準備書面

 

平成21626

名古屋地方裁判所民事9部B1係 御中

原告 足立 巖

 

 

被告の平成21年5月11日付被告準備書面(以下「被告準備書面」という)について

 

1 被告準備書面2に対し反論し、否認する。

 

 理由

 

1  被告は、「救釈明事項自体、本件訴訟の争点の整理・判断に関連しないものであり」

と主張するが、原告が求めたのは架空の言辞でなく、被告自身が主張した内容の不明を

を明らかにされたい、としているのである。「本件訴訟の争点の整理・判断に関連しな

いもの」と主張するのであるなら、被告は無意味な主張を弄しただけとなる。

 

2  被告は、「原告は、救釈明事項をもって被告の主張に反論しているだけであり」とは、これまた意味不明な主張である。原告は、救釈明をしたのであり、第1原告準備書面の第1、    2、第3に亘っても、理由を述べ反論している。

 

3 さらに被告は、「原告は、第1準備書面において、答弁書記載に係る被告の主張に対

し、(被告の主張如何に拘わらず)持論をるる展開している」と主張するが、被告の主張

に対して持論を展開するのは当然である。持論があるから、主張(言い分)も整うので

ある。

 

4 被告は、「(被告の主張如何に拘わらず)」と主張するが、主張されたこと(否認、争う)に反応し主張するのは当事者(原告)として当然のことである。

 

5        原告の救釈明事項では、甲第15号証(尾張旭市レジ袋有料化等の取組の推進に関する

条例原案)には、レジ袋有料化等の取組についての市の責務、市民の責務、事業者の責

務が明らかに規定され、また用語等の定義も明確にされているのに、別な定義を持ち込

み、あるいは必要な業務を行っているとの、主張することの内容を明らかにされたいと

問うている。他の事項についても、根拠なく決め付けていること、あるいは微妙に変移

する言葉について、説明を求めるものである。

尾張旭市レジ袋有料化等の取組の推進に関する条例原案は、見送られた(つまり、保

留された)状態なのである。

 

 

2          被告準備書面3に対し「新たな主張」を以って 反論し、争う。

 

理由

 

1 事実その1

 

被告は、尾張旭市レジ袋有料化等の取組の推進に関する条例(案) (以下「条例案」

という) (甲第15号証)に関し、募集した意見の中で条例制定という手法を問われたこと

に対し、市の考え方を述べ、「条例案によることとしたのは、この課題が市民生活や事

業活動に重大な影響を与える政策と判断し」としている。

 

(原告の主張)

 

(1) 行政手続法6 意見公募手続等を定める第38条から第45条の規定に沿う尾張

旭市パブリックコメント手続きに関する要綱」(以下「要綱」という)(甲第20号証)

3条で、パブリックコメント手続の対象となる政策について、その(3)で「市民等に

義務を課し、又は権利を制限する条例(金銭徴収等に関するものを除く。)」と規定している。正に地方自治法第142項「普通地方公共団体は、義務を課し、又は権利を制限するには、法令に特別の定めがある場合を除くほか、条例によらなければならない」に整合性を保ち、条例の必要性を認識するとともに、違法性を認識していたのである。

 

(2) 被告は、文字通り、「重大な影響を与える政策」と判断したがために、条例案を

住民に示したのであるから、その制定への責任は重大であり且つ議決機関を俟っての

レジ袋の有料化の施策なのである、との認識に拠ったのである。

  条例案には、市の責務として、「市はレジ袋有料化等の取組の推進を図るために必

要な措置を講じなければならない」との根拠を定めていたのである。

 

(3) 上記(1)(2)は、取りも直さず被告が、地方自治法第142項を強く意識し、レジ

袋の有料化の根拠を要請したものであり、違法性を認識している証左であり、また侵

害行為については法令の根拠を要することを認識したものである。 

(4) しかしながら、結果的に被告は、条例案の議会提出を見送り、根拠法令の欠けるままに、つまり、「この課題が市民生活や事業活動に重大な影響を与える政策と判断」したレジ袋の有料化を、議会の議決を経べき事件(地方自治法149条第1号)であることを知りながらも議案提出を見送り、一方、そのような事務の議決機関でもない、その権限も付与されていない、住民を代表するのでもない任意団体と事業者に陳謝し、卑屈なまでにも請い願い、レジ袋の有料化の施策を推し進めたのは、裁量権の逸脱でもあり、濫用でもある。

 

(5) 住民福祉の実現にはその手続きにおいても担保されなければならないのであり、福

祉の増進を託された者としての自覚に欠ける行為は、地方自治法第214項、16項に反

する。

 

 

2 事実その2

 

尾張旭市副市長日比野美次・同市酒井敏幸市民生活部長・同市野村孝二環境課長の説

(平成20年1118)では、条例案について会派説明を実施した結果、性急である

とか、概ね否定的であったことも原因として、条例を見送ったとした。

また、パブリックコメントや環境課の窓口への意見、「議会の反対」もあり見送った

とし、その迷走振りも含め「第4回尾張旭市マイバック持参運動ネットワーク」(11

26日開催)( 甲第17号証)会議の席上で陳謝し、弁解した。

 

(原告の主張)

 

(議会関連)

 

(1) 上述の議会関連の言及について、原告は、尾張旭市議会に事実関係の調査申し入

(甲第18号証)をし、議会の総意又は意見でないことの確認を得ると共に、執行機

関に対して「議員個人の発言を議会の意見と表現されたことについては、遺憾に思い、議会の相違と誤解を受けるような発言をしないよう厳重に注意をした」との回答を得た(甲第19号証)

このことは当該条例案を住民の代表機関である議会での審議を回避するため、また、

あたかも議会全体の意思として反対したかの如くの口吻で、任意団体と事業者に会議

(甲第17号証)の冒頭で説明し、市民生活及び事業活動に重大な影響を与える政策の

根拠条例を欠くまま、協定方式という名の下で、随意に施策を推し進めようとするも

のであり、そこには住民への視点は見られず、全体の奉仕者としての服務の根本基準

(甲第21号証)にも外れているのである。

 

(2) 上述のことから、全体の奉仕者であることの服務の根本基準を放棄し(地方公務

員法第30条違反)、行政行為の根拠を疎かにし(同法第32条違反)、いたずらに右顧

左眄し、およそ事大主義の姿を曝け出す迷走振りは、当該地方公共団体がなすべき責

を有する職務にのみ従事しなければならない(同法35条)に反する行為である。また

(1)の作為は信用失行為にも当たり、信用失墜行為の禁止(同法33)に抵触する。

  

(パブリックコメント関連)

 

(1) 条例案へのパブリックコメント関連は、全部で3件あった。この内容を吟味す

れば、1件のみが反対としているが、市に「何故、本条例を制定する必要があるの

かという理由を問い合わせたが、納得できる回答は得られなかった」としている。

つまり、被告側の住民に対する説明責任の欠如が反対を招く原因ともなっており、

 住民の日常生活に大きく影響するにもかかわらず、これまでレジ袋の有料化の過程

が非公開で進められてきたこととも呼応する。開かれた市政を実現する為には肝要

な説明責任を全うしないのは、尾張旭市の方針にも背くものである。

 

(2) パブリックコメントの精査もせずに、事業者と特定団体の意に添うため、条例

案の提出を見送り、住民全体への説明責任を放棄し、根拠法・条例を欠いて違法と

知りながら施策のレジ袋の有料化を推し進めたのである。このことは他事を考慮し

たこととなり、裁量権をも超えるものである。

 

(3) 本来、制定を旨として (尾張旭市ホームページでそう説明している) パブリック

コメントに付したのである。意見公募手続きを実施して条例を定めようとするので

あるから、提出意見は十分に考慮(行政手続法第四十二条の提出意見の考慮)される

べきなのである。その結果を以って、議会に付すべきなのである。それが住民への

説明責任となるのである。

 

(4) 法令にも規定されていず、個別の行政活動としても整理されていず、「市民生活

や事業活動に重大な影響を与える政策と判断」されるレジ袋の有料化は、地方自治

法第142項「普通地方公共団体は、義務を課し、又は権利を制限するには、法令

特別の定めがある場合を除くほか、条例によらなければならない」の対象となる事

項である。

 

(5) 甲第19号証でも判るように「理事者が議案として提出」しない限り議論が議会

の場でなされないとするが、議会の議決を経べき事件につき議案を提出しないこと

は、議会の権限である地方自治法第961項の1「条例を設け又は改廃すること」

の議決権を侵すものである。

 

(6) 要綱では、公表の方法についても定めている。要綱第73項で、尾張旭市ホー

ムページ、実施機関が定める所での閲覧又は配布としているにも違背し、ここでも

「尾張旭市マイバック持参運動ネットワーク」の会議等を非公開で進め、いきなり

新聞で発表する手段を踏襲し、所定の公表前に報道(中日新聞2008/11/19「義務化条

例提案見送り」の見出し)を先行させ、既成事実化を図ったことは、行政運営におけ

る公正の確保と透明性を欠き、負担を分任する義務を負う住民を無視するものであ

る。

 

(7)「環境課の窓口への意見」とあるが、要綱では、意見等の提出方法(6条の2)

についても定めている。つまり、パブリックコメント(市は「電子メール3通のご意

見をいただきました」としている)以外の環境課の窓口への意見を反対意見とし援用

しているが、窓口への意見については、手続き上の公平・公正を保持し、提出され

た意見表明の内容に関する公文書公開請求をも考慮し、口頭での意見は避け、定め

られた提出方法によらなければ、意見公募手続きの透明性を確保することにならな

いのである。そのための意見等の提出方法の定めなのである。

 

 

3 原告の主張

 

1 原告の意見陳述

 

    容器包装リサイクル法(「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法

律」)は、家庭から出るごみの中で、廃棄される容器包装のリサイクル制度を確立する

ことなのである。一般廃棄物としていた物を新たな視点で分別等することにより、廃棄

物の減量と再生資源の有効活用への確保を図る目的で制定された法律なのである。

 レジ袋をとっても、その原料段階からの検討を加えなければ本来の資源の有効活用からは程遠く、レジ袋を削減した分の原材料がそのまま廃棄されたのでは本末転倒である。

人間の手に成った限りある資源は、叡智で極限まで利用されてこそ生きるものであり、容器包装リサイクル法の趣旨に従う。

レジ袋の有料化は新たに大きく資源を費消することに繋がることになる。例示すれば、レジ袋の辞退率はそのまま他のマイバック等の資源の消費等に連携していくのである。

気象庁は、温暖化をもたらす二酸化炭素濃度が国内で過去最高を更新したと発表

(2009519 中日新聞)した。また毎年更新を続けているとしている。

  特に行政が環境問題を扱う場合、全体を見渡せ、かつ細部にあるいは末端にわたるま

での検証を可能とする資料が提供できないのであれば、それは単に、実施した、との口

実用の施策や運動となり、本来の二酸化炭素の抑止に繋がったのかどうか不明であり、

気象庁の調査が示すように、否定しえない現実が切迫してくることになる。

  レジ袋ひとつとってみても、その事実の検証ができないのである。つまり、トレード・

オフを熟慮しないと、逼迫する環境問題に向い徒過し、客観性を無視した内容を追求す

ることとなり、本質には迫れず、事業者の利潤追求の手段に利用される結果になる。

レジ袋の再利用については、レジ袋の大手企業がスーパーと連携しその再生利用を試

 みている。人間の手に成った物(つまり、存在してしまった物)を如何に再資源化、再利

用化するのかは、持続性社会を目指す手始めである。それは、尾張旭市が為すように新

たなレジ袋型のごみ袋(10ℓ(20枚入)価格100円)を指定し、販売させることではな

い。

 

2  原告の主張

  

(1)    パブリックコメントに条例案を付しながらも、結果的には「市民等に義務を課し、

又は権利を制限する条例」に該当する政策を実施するための条例案を見送り、根拠条例無

くレジ袋の有料化へと突き進んだのである。一方事業者には卑屈なまでに「条例制定をし

てまで事業者のみなさんの営業活動に制限を加えるべきでないと判断」し、と慮っている

のである。この何処に全体の奉仕者として、職務に専念する姿が見られるのであろうか。

 レジ袋の有料化の施策を進めるために、特定の団体、事業者には条例案をめぐっての

迷走振りを「申し訳ございませんでした」と幾重にも詫びを入れるが、ライフスタイル

を変えさせられ、マイバック持参・レジ袋の有料化の負担を強いられながらも、最大の

協力者となる住民には、説明責任を果たさず、単に「啓発」の対象としか見做していな

い傲慢さを示すのである。

特定の団体、事業者に奉仕することは、憲法152項の規定「すべて公務員は、全体

  の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない」にも触れる。

 

(2)    「レジ袋の有料化を義務づけるというものではございません」・「レジ袋を有料化す

る法的な根拠はありません」にも拘わらず推進されるレジ袋の有料化とは何なのか。それは、事業者に対しての配慮を意味し、儲かるならレジ袋の有料化を、利が無いならさっさと自由に撤退できることを、意味しているのである。したがって、条例化は敬遠することになる。

法令・条例も利益あってこそ意味があるということなのである。

 

(3)    行政の施策として取り込み、レジ袋の有料化を進め購入させる、あるいはマイバッ

ク等の代替入れ物を住民に携帯させることを義務化(強制)することは、事業者あるい

は特定団体の活動を支援することの見解では済まず、住民の日々の生活に紛れも無く直

結してくるのであるから、そこには根拠法・条例が必要とされるべきである。

法律・条例等に基づく行政行為の原理が働いて然る可しであるのに、法的根拠の裏付

けを無視することは、全体の奉仕者としての担保を喪失することである。また住民への

視点を無くすことは、地方公共団体の事務処理の本来の目的である住民の福祉を実現す

る地方自治の本旨にも反し、憲法92条にも違背するのである。

 

(4)   地方自治法第2条の4項「市町村は、その事務を処理するに当たつては、議会の議

決を経てその地域における総合的かつ計画的な行政の運営を図るための基本構想を定め、

これに即して行なうようにしなければならない」に該当する議決を経たとしても、

実施段階においては特に拘束的計画、つまり、「義務を課し、又は権利を制限する」場

合には、法律、条令等の根拠が必要なことは当然である。行政計画であれば、実施内容

すべてに白紙委任された広範囲な裁量権が委ねられているわけではなく、法的規制の中

にあっての裁量であることを認識すべきである。

 被告側が認識しているように自ら「市民生活や事業活動に重大な影響を与える政策と

判断し」条例案を提示し、その中で「市はレジ袋有料化等の取組の推進を図るために必

要な措置を講じなければならない」と規定しているのであるから、裁量の余地は無く、

レジ袋の有料化の一連の行為は、条例に拠るべきことと判断されるのである。

したがって環境課職員の訴状第24(4)作為は、法令、条例、地方公共団体の規則

及び地方公共団体の機関の定める規定に従わないものとなる。更に被告自身がその違法

性を認めたものとなる。

 

(5)   法、条例の根拠を持たぬ環境課職員の作為は、地方自治法、地方公務員法の各規定

と、それに基づく尾張旭市の以下の条例・規程にも抵触ないしその効果が及ぶものであ

る。

尾張旭市職員の服務の宣誓に関する条例

尾張旭市職員服務規程

尾張旭市職員の職務に専念する義務の特例に関する条例(甲第3号証)

尾張旭市職員の職務に専念する義務の特例に関する条例施行規則(甲第4号証)

尾張旭市職員の懲戒の手続及び効果に関する条例

尾張旭市職員の給与に関する条例

以上

  

証拠方法

 

甲第17号証  平成20年度第4回尾張旭市マイバック持参運動ネットワークの会議録の

   写し

甲第18号証 尾張旭市レジ袋有料化等の取組の推進に関する条例原案の各「会派」説

明及びその内容に関する事実関係調査申し入れ書の控え

甲第19号証  尾張旭市レジ袋有料化等の取組の推進に関する条例原案の各「会派」説

明及びその内容に関する事実関係調査申し入れについて(回答)

甲第20号証  尾張旭市パブリックコメント手続きに関する要綱の写し

甲第 21号証 尾張旭市職員の服務の宣誓に関する条例の写し

 

附属書類

 

1 第4原告準備書面 副本      1

2  甲第17号証〜21号証までの写し 各1通
被告準備書面

 

平成21年(行ウ)第13号 違法公金支出金返還請求事件

原告 足立 巖

被告 尾張旭市長 谷口 幸治

 

証拠説明書

平成21626

名古屋地方裁判所民事9部B1係 御中

原告 足立 巖

 

 

頭書事件について、原告は、下記の書証につき証拠説明をする。

第1 甲第17号証

 1 文書の標目 平成20年度第4回尾張旭市マイバック持参運動ネットワークの会議録

   1.1 原本・写しの別 写し

 2 作成年月日 平成20年11月26日以降

 3 作成者   被告

4 立証趣旨  被告が条例の制定を見送った理由と迷走したことへの詫びおよび事業

者への営業活動への配慮はあっても、影響を受ける住民に対する配慮は

伺われないことの証明。また最終段階になって初めて本質的な疑問が出

されるなど、議論が尽くされていないことなどを含め、他の証明ともな

る。

 

2 甲第18号証

1 文書の標目 尾張旭市レジ袋有料化等の取組の推進に関する条例原案の各「会派」説

明及びその内容に関する事実関係調査申し入れ書の控え

1.1 原本・写しの別 原本

 2 作成年月日 平成20年11月27日

3 作成者   原告

4 立証趣旨  被告が条例案の提出を見送った理由に議会の反対等があったことに関する事実関係の確認および執行機関と議会との在り方への疑義を提示したもので、議会の反対等と挙げた理由の根拠の希薄さを証明。

 

3 甲第19号証

1 文書の標目 尾張旭市レジ袋有料化等の取組の推進に関する条例原案の各「会派」説

明及びその内容に関する事実関係調査申し入れについて(回答)

1.1 原本・写しの別 写し

 2 作成年月日 平成20年12月18日

 3 作成者   尾張旭市議会議長 森 和実

4 立証趣旨  議会の反対等と挙げた理由の根拠の希薄さを証明、また執行機関への市

議会からの厳重注意等の証拠。

 

4 甲第20号証

1 文書の標目 尾張旭市パブリックコメント手続きに関する要綱

1.1 原本・写しの別 写し

 2 作成年月日 平成19年4月1日(施行)

3 作成者   被告

4 立証趣旨  パブリックコメントの手続きと対象となる政策の中で、地方自治法第

142項との整合性を証明、また被告の手続きに反することの証明、反対理由に環境課の窓口への意見を挙げたことに対するパブリックコメントの手続き期間中での意見提出方法の証明。

 

5 甲第21号証

1 文書の標目 尾張旭市職員の服務の宣誓に関する条例

1.1 原本・写しの別 写し

 2 作成年月日 昭和26年2月13日

3 作成者   被告

4 立証趣旨  法に従い全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、職務に専念

        するなどの職員としての宣誓内容の証明。

 

平成21年(行ウ)第13号 違法公金支出金返還請求事件

原告 足立 巖

被告 尾張旭市長 谷口 幸治

5原告準備書面

 

平成2178

名古屋地方裁判所民事9部B1係 御中

原告 足立 巖

 

 

被告の平成21年7月1日付被告準備書面(以下「被告準備書面」という)について

  

1 被告準備書面2に対し反論し、争う。

 

 理由

 

1  原告は、公金の支出原因となる先行行為の違法性を問い、結果、その違法性の承継が

財務会計上の支出手続き自体に及ぶとするのである。したがって、被告が抗弁するよう

に直接的に単に環境課職員の事務処理上の手続きに関することではないのである。

 

2        地方自治法第232条の42項「会計管理者は、前項の命令を受けた場合において

も、当該支出負担行為が法令又は予算に違反していないこと及び当該支出負担行為に係

る債務が確定していることを確認したうえでなければ、支出をすることができない」と

定め、原因行為と公金支出とに法的一体性を認め、ここでも非財務的な違法行為が支出

の違法に承継されることを原則としている。

 

3        1、2に関しては、第1原告準備書面第1の8「被告答弁書第2の5の請求原因5項の

「不知」に対する反論」でも既述している。

 

4        被告は、「環境課職員の上記@の本件職務行為は、答弁書に主張したとおり、その職

務の範囲に属する適法な活動であり」と主張するが、第1原告準備書面第2「被告答弁

書第3被告の主張に対する反論」で既述している。

 なお、被告は、第1原告準備書面第4求釈明の4「当該事務を担当し必要な業務を行

っている」の中身を明らかにされたい、との原告の求釈明に応じない(平成21年5月

11日被告準備書面、関連:第2原告準備書面、第4原告準備書面)のは、乙第9号証で

挙げる環境課分掌事務に、原告が請求の原因とし違法行為とするレジ袋の有料化の事務

が含まれないからと判断できる。

 

5        原告は、地方自治法242条の2第1項4に基づき、執行機関に、本来支出すべきでな

い公金を支出したので、当該職員に損害賠償の請求することを求めているのである。被

告の主張する地方自治法243条の2第1項前半の重過失とは相違する。

 

6 「訴状別紙記載〜損害賠償請求が認められるものでもない。」は、論旨不明につき、

求釈明とする。

 

7 被告の主張する「仮に〜「法律上の原因」を欠くものでもない。」も、5と同様の主

旨で、原告がこれまでの準備書面でも反論し、主張している通り違法性があり、法律上

の原因が存在するため、民法703条の不当利得の返還義務による主張を以って、原告の

主張するレジ袋の有料化に伴う作為の違法性を、適法とすることはできない。

 

2 被告準備書面3に対し反論し、争う。

 

理由

 

1 第1の理由で挙げた1から5、7の趣旨と同様である。

 

2 原告は、レジ袋の有料化に伴う一連の違法行為中、その違反行為を助長し、他に用途

の無いチラシ・のぼり旗に関し損害請求額を、「支出負担行為決議書兼支出命令書」(甲

9号証)に基づき、第3原告準備書面の第1の(8)損害額(b)の別紙目録記載の各環境

課職員に対する損害賠償請求金額表の(イ)+(ウ)を定めたものである。

「支出負担行為決議書兼支出命令書」は稟議書でもあり、作成者の起票者(係)・課長

補佐・課長が、「尾張旭市マイバック持参運動ネットワーク」事務局として、本件チラ

シ・のぼり旗の直接作成の関与者であることは会議録からも明らかであり、直接作成の

関与者として、起案・審査(承認)・決裁と各々の役割を一体として果たしたものであり、

レジ袋の有料化の行為の違法性の原告の主張からは、損害の発生原因となった程度の係

わりは同程度と判断しても、損害回復に特段の不都合は無い。

 

 

3 求釈明

 

1        被告準備書面2で、「訴状別紙記載〜損害賠償請求が認められるものでもない。」迄の

段落は、論旨不明につき、整理された上の主張を明らかにされたい。

 

 2 被告準備書面3で、「(9)」とは、何を意味するのか明らかにされたい。

以上

 

 

附属書類

 

1 第5原告準備書面 副本      1

 

平成21年(行ウ)第13号 違法公金支出金返還請求事件

原告 足立 巖

被告 尾張旭市長 谷口 幸治

6原告準備書面

 

平成21810

名古屋地方裁判所民事9部B1係 御中

原告 足立 巖

 

 

1 被告の平成21年7月1日付被告準備書面(以下「被告準備書面」という)について

  

被告準備書面の2に対し更に反論し、争う。

 

     理由

 

「訴状別紙記載〜損害賠償請求が認められるものでもない。」は、論旨不明につき

求釈明としたが、被告の適用した地方自治法242条第1項4号は同法242条の2第1

4号と確認(7月8日高等弁論期日)されたので、その旨にて反論する。

 被告は、「支出負担行為自体に「違法性」を認定することはできないので「相手方」

に対する損害賠償請求が認められるものでもない。」と主張するが、第5原告準備書面

でも反論しているように、違法な行為が原因先行となり後行行為たる財務会計行為が

なされた場合は、財務会計上の行為自体(公金支出)が違法でなくても、その財務会計

行為もまた違法となるのが、最高裁の判例(1原告準備書面の第18)である。した

がって、当該環境課職員の行為の違法性が財政行為の違法に引き継がれるため、損害

賠償請求が認められる。

被告は、後行行為たる財務会計上の行為である給与支払行為の適法を主張し、先行

する当該環境課職員の行為の違法性についてのこれまでの原告の主張には反論をして

いないのである。

 

2          原告の主張 議会の観点から

 

「尾張旭市におけるレジ袋削減・無料配布中止に関する協定」参加者募集要項(乙第5号証)

(以下「協定」という)の目的に関し、反論する。

 

協定の目的に、「温室効果ガスである二酸化炭素の排出量の削減」、「循環型社会の

構築を目指したごみ減量」のため、「市民、事業者、行政が協働してマイバック持参

運動」を展開し、「レジ袋の削減を図る」とある。

 

1 「循環型社会の構築を目指したごみ減量」について

 

「循環型社会の構築を目指したごみ減量」とあるが、そもそも「「循環型社会」と

は、製品等が廃棄物等となることが抑制され、並びに製品等が循環資源となった場合

においてはこれについて適正に循環的な利用が行われることが促進され、及び循環的

な利用が行われない循環資源については適正な処分が確保され、もって天然資源の消

費を抑制し、環境への負荷ができる限り低減される社会をいう」(循環型社会形成推

進基本法)と、定義されている。

   つまり、ごみの減量が主体ではなく、循環的な利用である再使用、再生利用及び熱回収を促進しているのであって、一度人間の手になった天然資源を最後まで利用為尽していこうとする趣旨である。したがって、ごみの減量特にレジ袋の有料化による削減を指すのではない。

では、一歩譲ってレジ袋の有料化による現実のごみの削減はどうなのか。

瀬戸市・尾張旭市・長久手町の21町の一部事務組合で、尾張東部衛生組合(晴丘センター)(甲第22号証・甲第23号証)を設立し、現在、ごみの共同処理を実施している。

21町の 経費負担金は、30%が前年度101日の人口数、70%が前々年度のごみ搬入量で按分している。

その尾張東部衛生組合議会の平成21327日会議録(甲第24号証)には、じんの和子議員のレジ袋有料化による予算への影響についての質問に対し、横山光義主幹は「レジ袋の袋の重さは何グラムということで、うちの焼却炉は年間8万トンのごみが入ってきまして、それに関してレジ袋が有料化になって減ったということに関しては計算していません。それだけ出てきません」と答弁している。

歯牙にもかけてないし、実際の統計上にも出ては来ないのである。これでは住民に、レジ袋削減効果の数値での説明責任は果たせないし、無責任の謗りを免れない上に、住民を欺くものとなる。

因みに、晴丘センターの平成20年度事業概要によれば、家庭系ごみ56,706t、事業系ごみ24,261の計80,967tである。

 

2 本来の循環型社会に向かってのレジ袋の再利用はどうか。

 

平成20年第6回(12月)尾張旭市議会定例会での岩橋盛文議員の質問(甲第25 号証)、「これまでレジ袋をごみの内袋として使用していましたが、今後は買わなければなりません。高齢者家庭、生活保護者家庭など、生活弱者についてはどのように考えてみえるのか」に、酒井敏幸市民生活部長は、(1)「事業者は、当然営業活動の中で、有料化導入時に無料エコバックを配賦」、

(2)「行政でも、若干PR用に配布するエコバックの在庫を持っていますので、高齢者、生活保護家庭など必要とされる世帯」に配布すると、

(3)「レジ袋をごみ排出時の内袋としなくてもいい方法」の啓発もする、と答弁している。 

具体例を甲第26号証にて示す。

 

(1)については、@など種々の形態で様々の事業者から、有償・無償(無料の考え方

については第1原告準備書面で述べた)で、現在、出回る。各種あるが重量は120g

前後である。

 

(2)については、Cを当てるのであるが、当然無料で市民に配布されたのではない。

環境ショッピングバッグの名目で、500個×546=273,000円を、税金から支弁

したのである。

「地球温暖化を防ぐため」、「CO2(二酸化炭素)を減らしましょう」、「〜地球にやさしいこと、はじめてみませんか〜」と、「CO2CO2(コツコツ)ダイエットプラン」を市民に働きかけるために使用した残余である。

平成18331日に購入しているが、今年724日現在の残在庫は250個で

ある。

議会答弁後に、生活弱者に配布されたとは聞かない。

 

(3)については、Bを20094月から新規に市の指定ごみ袋に加えた(甲第26号証、

32号証実物2)

レジ袋型ごみ袋(1020枚入)の投入である。重量8g(家庭用料理秤で実測)、価格

100円、5/枚である。レジ袋の有料化の5円と同じである。

ごみ袋の中に、ごみ袋として利用したレジ袋が入る代わりに、指定のごみ袋が

入ることになる。レジ袋をごみ袋として利用していた自治体もあったが、指定ご

み袋によって排除された。更にレジ袋駆逐の為に、レジ袋の有料化が追い討ちを

かけているのである。

 Aがいわゆるレジ袋である(32号証実物1)。重量は本例の実測で7gである。

レジ袋が白眼視されるため、(b)で見るように、事業者が自前レジ袋を止め新たに

エコの名の下、市指定のごみ袋をレジ袋にして、商機に挑む事実がある。

尾張旭市指定ごみ袋取扱店は113店舗である。ごみ袋は「尾張旭市指定ごみ袋

認定要領」に基づく市の認定制である(甲第27号証)

 

(a)レジ袋は容器包装リサイクル法の対象であるが、資源としての再商品化も再

    利用もままならず、レジ袋の有料化という手段で、容器包装リサイクル法に該当

    しない、「商品そのものである容器包装」としてのマイバックやエコバックに取っ

    て代わられるである。マイバックやエコバックは単にゴミの増大である。

 行政にとっては再利用・再資源化の手間が省け、事業者にとっては経費の削減

(レジ袋経費そのもの・再商品化義務(委託料金の支払い))と新たな商品(製品)の販

売、残存するレジ袋利用者には有料販売の利点がある。

 消費者(住民)は、単にキャッチフレーズ行政に欺かれ、更なるごみの排出に

加担させられた上に、レジ袋の有料化による負担、義務を課せられる犠牲者とな

る。これは環境課職員の欺罔である。

協定の目的には「レジ袋の削減を図ることにより、次世代の子ども達により

よい地球環境を引き継ぐことを目的として協定を締結」すると謳うのであるが、

レジ袋の資源としての再利用を一切考慮することなく、マイバック或はエコバッ

ク、新規指定ごみ袋という新たなごみが生み出されて、排出されることになる。

    では何の為のレジ袋の有料化なのか。それは環境の名を借りて、住民をミス

リードし、業者への利益を図ることである。媒介者としての環境課職員のあり

方は、公務員としての服務の根本基準を忘失した行為である。

 

(b)スーパーのチラシ(200989)で知ったのだが、そのスーパーは店の名前が入ったレジ袋(重量7g)を中止し、尾張旭市のレジ袋型ごみ袋(32号証実物2 重量8g)を、従来のレジ袋と同様に買い物客に無料で渡すことにしたのである。名古屋市のレジ袋型ごみ袋(32号証実物3 重量7g)については既に実施している。

更に、1020枚入のまとめ買いでなくとも、レジ袋型ごみ袋を必要な人には一枚単位でも小分けして販売するのである。しかも4/枚である。本スーパーの店長に原告が直接確認をした事実である。

 つまり、レジ袋が立派にごみ袋になるのである。レジ袋=ごみ袋の等式が成立し、単にごみと一緒に燃やすだけの用途でなく、確実に再利用付きなのである。

レジ袋の有料化ではごみの減量にはならないばかりか、二酸化炭素の排出量の削減にもならないのである。

 

3        レジ袋削減の効果と目的

 

岩橋盛文議員は、レジ袋削減の効果と目的について、質した。

酒井敏幸市民生活部長は、

(1)店頭でのレジ袋お断り率80%を目標、

(2)目的はレジ袋の削減を通して環境負荷の低減を図るエコライフのきっかけづくり、

(3)プラスチック製容器包装ごみとしてレジ袋がかなりの量で排出されている事実もございます、と答弁している。

  

(1)80%のお断り率(「有料化の尾張旭レジ袋の辞退率目標上回る87%」中日新聞

朝刊2009527日付) の目標は、そのままマイバック或はエコバックなど、新

たなごみの組成として認識され、今後の組成率に占める割合の増加となるのである。

    なお、事業者の情報公開が整わない単なる一方的な報告数値では、お断り率の検

   証も本来できない数値である。

 

2)のエコライフの実態は、レジ袋の有料化により、レジ袋を廃止し、代わりにレ

ジ袋以上の資源の消費と二酸化炭素の排出をしてしまう製品(マイバック・エコバ

ックなど)を作り出し、その付けを消費者である住民に虚なる言葉で包んで負担さ

せることに他ならないのである。

酒井敏幸市民生活部長の答弁、「環境負荷の低減を図るエコライフのきっかけづ

   くり」は、議会をそして住民を欺く詭弁である。甲第17号証「平成20年度第4

尾張旭市マイバック持参運動ネットワークの会議録」を見ると、「CO2の削減とい

った目標ではなく、マインドを変えるといった目標を定めて始めた方が大事ではな

いか」と、既にその欺瞞性が指摘されていながらも、協定の目的は変えなかったの

である。

協定の目的は、二酸化炭素の排出量の削減と、ごみ減量、その手段として、レジ

   袋の削減を図り、もって地球環境を引き継ぐことなのである。

エコライフのきっかけづくりのためとしても、それはレジ袋の削減という手段が

   協定の目的に副う場合なのであり、実態は相違し、環境課職員が推し進めるレジ袋

の有料化によるレジ袋の削減の実際効果を、隠す為の口実であり、その欺瞞性は既

に述べた。

  直近の尾張旭市廃棄物減量等推進審議会(平成2185日)でも、委員から、

レジ袋は家庭の再使用の点でも便利であり、ごみの組成でも1%程度なのに、レジ袋

削減の効果はあるのか、との疑問が出ている。

エコライフのきっかけづくりであるならば、環境課として他に取るべき選択肢は

   他に豊富にあるのに、拙劣にも、何ゆえに、強制的に効果に根拠の無いレジ袋の有

料化をもって、住民(消費者)に、エコライフなるものを押し付けるのか。環境課

職員のあり方は誠実さを疑うところである。

1原告準備書面でも述べたように、トレードオフと検証可能な資料が無くては、

環境の名の下事実を隠蔽しての更なる義務や賦課を住民に行政裁量で負わせること

になる。

家庭からの温室ガス効果ガス排出の割合は、家庭からが5%70%は大規模工場か

   らである(2007年の温室効果ガス排出量算定報告公表データより「気象ネットワー

ク」)。

資源化可能としてのごみに占めるレジ袋は、瞬間データからでの組成率で、尾張

   旭市1.2%である。

この資料からみて、なぜ本末転倒にも末流の家庭の二酸化炭素の排出量の削減や

   レジ袋の削減が強制的になされたり、大声疾呼されるのか疑問である。効果的に事

を成そうとするなら、全体の数値の大部分は構成のうちの一部からなるというパレ

ートの法則を踏まえれば、二酸化炭素の排出を抑制するなら、大規模工場から、ご

みの抑制なら、70%近くを占める生ごみ、事業系ごみについて、将来を見据えて真

っ先に検討すべきなのである。

恐竜の尻尾である5%1.2%が、恐竜全体を振り回すことはできないのである。

上述した直近の尾張旭市廃棄物減量等推進審議会の委員から、市民に負担をかけ

   る前に行政が為すべきことがあるのではと、「尾張旭市ごみ減量計画後期計画(平成

21年度〜25年度))」の採決に際して、指摘がなされている。

 

(3)については、尾張東部衛生組合作成の「一般廃棄物(ごみ)処理基本計画 後期計画:平成21年度〜25年度」の「21町の生活形態ごみ組成調査別」によれば、「代表的な地域において可燃ごみの収集前にごみ集積場所からごみ袋をピックアップする方式」で、ごみの排出特性を調査した結果、レジ袋の全体に占める割合は、瀬戸市(1日の調査)0.9%、尾張旭市(4日間の調査)1.2%、長久手町(1日)1.0%である。

酒井敏幸市民生活部長が答弁の中で「プラスチック製容器包装ごみとしてレジ袋

   がかなりの量で排出されている」との認識には疑問がある。

プラスチック製容器包装ごみとして排出しているのではなく、岩橋盛文議員の指摘のように「毎日の暮らしで生ごみや小さなごみくずなど」を「レジ袋をごみの内袋として使用」、つまり、再使用・再利用した結果と見るのが妥当である。

また、「かなりの量」が如何ほどか不明であるが、事実なら再資源化等の方策も検

   討すべきなのである。レジ袋の有料化によりレジ袋を排除し、新たなごみ袋を指定

するなどでは、ごみの減量にはならないし、合理性的な説明にも程遠い。

また、上述の一般廃棄物(ごみ)処理基本計画では、尾張旭市に関して、平成14

度と今回(平成20922日、25日、103日、7日の4日間)と比較して、

「プラスチック製容器包装・レジ袋等のプラスチック系の混入割合は大きく変わら

ない」としているのである。

数値で見ると、平成14年度と平成20年度の数値は、レジ袋1.2%・白色トレイ

0.2%で変動なしなのである。大きく変わらないというより、同じである。

21町の中で、レジ袋の有料化の先陣を果たした瀬戸市も、同様の特徴を示し

   大きく変わらないというが、むしろ、レジ袋・白色トレイは増加の可能性も疑える

のである。長久手町も変化は見られないのである。

 

4 「尾張旭市マイバック持参運動ネットワーク」について

 

岩橋盛文議員は、会議も議事録も非公開で行われていた「尾張旭市マイバック持参

運動ネットワーク」について、「公募の方なんかは入っていないのか」と質した。

野村孝二環境課長は、「今後につきましては、会に諮りまして、公募の委員や新たな

委員の公募につきましても、提案していきたい」、と答弁するも、現在に至るまで動き

は無い。

本来、全住民の生活に関わる事であるのに、甲第1号証、甲第14号証でも明らか

にしたように、秘密裏に事を運んでいたのである。協定にいう「市民」とは、特定団

体を指しているのである。

上述した尾張旭市廃棄物減量等推進審議会で、レジ袋に関し委員から、今後につい

て問われたのに対し、従来の尾張旭市マイバック持参運動ネットワークと同様の組織

について言及するのみで、公募については答えていない。

 

5  岩橋盛文議員の質問の中でも言及している中部大学教授の武田邦彦氏の「レジ袋追

放の材料学的意味」(甲第28号証)を挙げる。

 原告は一住民として、一生活者としてレジ袋の有料化を推し進める環境課職員の一

連の行為に疑念を持ち、その根拠、つまり、法的根拠を、レジ袋の有料化の検証すべ

き資料を求めてきたのであるが、県も市も持ち合わせていないし、推進するレジ袋の

有料化の説明責任を果たせないでいる。

武田教授の考えを現実のレジ袋の有料化の状況に当て嵌めて見ると納得できる現実

があり、武田教授の説明に符合する。

環境問題については、百家争鳴であるが、一筋の理論的根拠や解説が専門家によっ

て示されることは、問題を考察する上で参考になる。他の識者の批判の過程の中で、

事実が明らかになり、理論的に検証されれば、環境課題の取り組みに裨益する。

住民が携わる環境問題の取り組みは実践であるがゆえに、誤った方向に走ってから

では取り返しのきかない環境を作り出すことになる。したがって、行政としては、現

在の見識を広く深く求めると共に、実行為に移す根拠法と行為の検証方法を住民に公

開(説明)し、共に考え協働する場を設け、慎重に環境への取り組みの歩を進めるべ

きなのである。

 

3 原告の主張 報道の観点から

   

企業はどのような状況か

 

1原告準備書面で原告が「レジ袋削減の影響で会社は潰れませんか」と、率直

に問うことになった契機が、「緑区のレジ袋有料化1年(以下「新聞記事」という)」

(甲第29号証)の記事である。 

レジ袋製造大手であればあるほど、企業存続の危機に遭遇しているはずである。破

  竹の勢いでレジ袋辞退率が有料化によって生じているのである。まるで燎原の火の如

くレジ袋削減が全国で起きているのである。魔女狩りの様相を呈し、恐ろしい限りで

ある。環境改善はレジ袋削減によって達成されるかのようである。

平成21114環境省は、「レジ袋削減に係る全国の地方自治体での取組状況

について(概要)(お知らせ)」を発表した。「調査結果(全国での取組状況)」によれば、平成20年11月1日現在、47都道府県のうち38道府県(全体の81%)では、既に何

らかの方式でレジ袋削減の取組が実施されており、都道府県レベルでは、今後ほとん

ど全国各地で何らかの取組が行われると見込まれます(抜粋)」としている。

この「何らかの方式で」「何らかの取組」とは、原告の訴状第2の請求の原因 4

2)の国会答弁と符合するのである。つまり、環境省(国)は地方が自主的にやって

いることであり、方法については関与していない、といっているのである。

 同調査結果は、市町村レベルでも、「回答のあった1,653市町村のうち651市町村

(全市町村の39%)」が何らかの削減の取組、今後310市町村がレジ袋の削減に取り

組む予定で、市町村レベルでも大きく広がっていくことが見込まれるとしている。

 しかし、少し冷静になって相手を気遣うと、変だ、と思う。つまり、レジ袋を製造する企業は、大丈夫なのか、倒産することはないのか。レジ袋はごみだから、そんな企業の心配は無用と、思慮の外なのか。

 レジ袋製造企業のことには触れないで、環境行政はごみ減量を戦旗とし、軍陣で采配を振るうのである。原告は当然、早晩、企業はレジ袋製造から撤退を余儀なくされか、業種転換を図るか、人員整理で合理化をする羽目に陥るか、そして今次の金融危機のように、公的資金(税金)を遣うことになるか、と思ったのである。

しかし、新聞の経済面に、全国自治体のレジ袋削減で、レジ袋メーカーが倒産、との記事も見ない。

 

レジ袋メーカーに問い合わせ

 

新聞記事に「ごみを捨てるのに使われるポリ袋全体の消費量はかわっていない」と

のレジ袋メーカーの指摘がある。レジ袋製造大手の福助工業名古屋支店に問合せた(11

20日)(甲第30号証)。同日、愛媛県にある福助工業本社の総務部 宮崎氏から電

話があった。

送って頂いたものに、一つには、「レジ袋リサイクル ニュース報道」(以下「テレ

ビ」という)録画時間15分のDVD版(甲第31号証)である。一つには「売上高推移」

がある。

 

(1)テレビ報道では、レジ袋のリサイクルの取組について伝えている。

つまり、循環型社会に適い、容器包装リサイクル法に基づく、「容器包装廃棄物

の排出の抑制並にその分別収集及びこれにより得られた分別基準適合物の再商品

化」を開始した現況を伝える。

4原告準備書面でも述べたように、「人間の手に成った限りある資源は、叡智

で極限まで利用されてこそ生きるものであり、容器包装リサイクル法の趣旨に従う」

のである。

環境課職員の行為は、ごみとしてレジ袋を扱い、強制的に眼前から抹殺し、レジ袋

から名前を変えただけの新規ごみ袋製品を指定し、そのごみ袋を燃やすのでは、

再資源化にも、二酸化炭素の排出削減にもならないし、似非エコライフのすすめ、

となるだけである。

 レジ袋を有料化し、レジ袋を追いやっても、実態として変化なしでは無意味である。

 

(2)テレビ報道の「マイバック運動どれくらい環境にいい?」では、ポリ袋の全体

量は、2004年122.7万トン、2005年123.2万トン、2006年126.9万トンと増加の

傾向にあると報じている。その理由として、生ごみなどを容れるなどして再利用す

るからとしている。レジ袋を貰わないと他のごみ袋が必要となり購入しなければな

らない。つまり、「第2 原告の主張 議会の観点から」の帰結するところである。

 

(3)新聞記事に戻る。「レジ袋=悪」の構図は誰が拵えたのか。なぜ「指定ごみ袋=悪」

とはならないのか。奇怪である。解答は、(2)でのテレビ報道の中にある。

 事実レジ袋が悪なら、その実態を為す原料レベルからも検証しなければならない

のである。ポリ袋全体量が増加傾向にあるのは、レジ袋が無料として配られるから

いけないのであって、有料で製品(商品)として販売されるのであれば、善哉々なの

である。つまり、利益構造の中にあれば他は無視するのである。

マイバックにしろ、エコバックにしろ、呼び水として最初は配られるのである。

「レジ袋がバッシングされているが、本当にマイバックがいいんですか」(新聞記

)の疑問は、レジ袋メーカーではなく、我々住民(消費者)が発しなければならない

疑問なのである。

消費者(住民)は、「エコもぐら叩き」のゲームをさせられているのである。常に

次から次へと顔出す土竜を叩いていなければ、得点を得られないのである。得る点

数とは、エコライフに向かわなくてはとの強迫観念から逃れることである。モグラ

は、エコを纏った或いは偽った新製品である。このもぐら叩きゲームから降りなけ

ればならない。甘言に釣られるのでなく、事実を追求すべきである。

 

(4)「一年分のレジ袋の削減減量の推計は、枚数で三千百四十八万枚、重さにして

二百二十トンになる」(新聞記事)、この事実が全国的に広がるのであるから、や

はり、事業が傾くのではないか、と再度心配するのであるが、「売上高推移」(

30号証)から判断するに、右肩上がりを維持し、余所目が心配することはなさ

そうである。勿論、如何なる企業にも浮沈は付いて回るが、レジ袋の削減の猛威に

は、現在、巨視的には凌いでいる。

 環境行政のレジ袋に特化した、視野を極度に狭めた削減推量の効果に肯いては、

   実態が把握できないのである。

 

(5)このレジ袋メーカーに限ったことではないが、テレビ報道にもあったように、レ

ジ袋の生産量は企業機密である。仮に、情報公開が可能であって、製品種別毎の比

較統計資料を知ることができれば、検証能力も高まり精度も上がり、数値に現実味

を帯びるのである。

 協働を謳う協定書の事業者にしても情報開示は儘ならないのである。

 

4 原告の陳述

 

 「レジ袋をもらわないようにしたり(買い物袋を持参する),簡易包装を店に求めて

いる」を挙げた者の割合が62.0%と高いとある。 (「循環型社会に関する意識につい

て」内閣府の世論調査報告書平成21年6月調査)

しかし、「レジ袋をもらわないようにしたり(買い物袋を持参する)」と買い物袋(

バックあるいはエコバック)とのトレードオフは、どう考えるのか。他の商品に転化し、目先を

変えて新たな消費、新たな環境負荷を消費者(住民)をして為さしめることは、環境の名の下に、

環境を食い潰す愚行ではないのか。

 所詮、われわれは、二律背反の関係の中で、より悪影響を及ぼさない仕方を選択し

ながら、この地球に存在するほかないのである。それゆえ、事前の慎重な検討やコン

センサスが必要なのであり、検証システムの確立が求められるのである。

遮二無二エコを叫び、地球にやさしいとのキャッチフレーズを飛ばしても、気休め

にしかならない。全貌を見る努力と叡智が要請されるのである。

レジ袋の後に何が待ち受けるのか。御茶を濁している余裕があるのか。結末は長い

時間を掛けてやってくる。その長い時間の刻々瞬間の積み上げをしているのが、我々

の一つ一つの今の判断なのである。

同じ内閣府の調査の循環型社会の形成についての意識では、「大量生産,大量消費,

大量廃棄型の社会から脱却し,循環型社会を形成する施策を進めていくことについて

に関し、やむを得ないも含めて92%が肯定している。

しかし、ごみの発生を減らすこと(リデュース)、ごみや不要品を、再使用(リユー

ス)、再生利用(リサイクル)することに取り組むべきだとの中では、具体的には企業

に対して、長期間利用できる製品やリサイクルが容易な製品・リサイクル技術の開発、

製品の原材料の減量化など、物が発生する時点を問うのである

源流である生産の段階で既にごみが、視点を変えれば再資源化、再利用の智恵が要請されているとの認識なのである。

我々末流にある消費者(住民)が、循環型社会を支えるためには、行動に必要な情報が共有されなければならない。互いに知恵を出すためには、偏頗な情報や一方の利益を見るのでは、無意味である。

  5%や1.2%をなぜ標的にするのか。その理由は明白である。5%の家庭の二酸化炭素の排出量を、ごみ組成率1.2%のレジ袋の削減を目的にしているのでなく、この割合を狙う真の意味は、日常的に直接係わる生活者(住民)全体に影響を及ぼすことが可能だからである。

隠れた真の目的は、その生活者をマス・コンシューマーとして捕捉することである。つまり、生活者から消費者へと強制的に企業市場へと向かわせることに他ならないのである。住民は草刈場と看做されているのである。

結果、エコの名の下、新たなる製品が市場に投入され、買うことを強迫されるのである。なぜなら、それがエコライフだからである。そして、更なる環境負荷を排出し、大量消費の付けを回されるという、環境贖罪の悪循環に住民は陥ることになるのである。

一種のエコ呪縛である。

 一鶏鳴けば万鶏歌うでは、環境の実態は明らかにならない。振り回されるだけである。不知を相手に委ね知る努力を怠れば、付けは回されるのである。

全体の奉仕者として公共の利益のために専念できる者こそが、本来なら、事業者と住民(消費者)との調整者として立ち、共に未来の不確かな環境に向かうことが可能となるのである。

以上

 

証拠方法

 

甲第22号証  尾張東部衛生組合晴丘センター沿革 写し

甲第23号証 尾張東部衛生組合規約 写し

甲第24号証  尾張東部衛生組合議会第1回定例会会議録 写し

甲第25号証  平成2012月定例会(6) 岩橋盛文議員発言部分抜粋 写し

甲第26号証  レジ袋・マイバック(エコバック)・指定ゴミ袋の例示 原本

甲第27号証  尾張旭市指定ごみ袋一覧表 写し

甲第28号証 レジ袋追放の材料学的意味 写し

甲第29号証 緑区のレジ袋有料化1年 写し

甲第30号証 お問い合わせの件 原本

甲第31号証 レジ袋リサイクル ニュース報道(DVD版) 原本

甲第32号証 レジ袋と指定レジ袋型ごみ袋の実物 現物

 

 

 

附属書類

 

1 第6原告準備書面 副本      1

2 甲第22号証〜32号証までの写し 各1通(現物含む)

 

 

平成21年(行ウ)第13号 違法公金支出金返還請求事件

原告 足立 巖

被告 尾張旭市長 谷口 幸治

 

証拠説明書

平成21810

名古屋地方裁判所民事9部B1係 御中

原告 足立 巖

 

 

頭書事件について、原告は、下記の書証につき証拠説明をする。

第1 甲第22号証

 1 文書の標目 尾張東部衛生組合晴丘センター沿革

   1.1 原本・写しの別 写し

 2 作成年月日 平成21年8月1日以前

 3 作成者   尾張東部衛生組合 晴丘センター

4 立証趣旨  尾張東部衛生組合晴丘センターの説明

 

2 甲第23号証

1 文書の標目 尾張東部衛生組合規約

1.1 原本・写しの別 写し

 2 作成年月日 平成19年2月23日以前

3 作成者   被告

4 立証趣旨  尾張東部衛生組合の組織の説明

 

3 甲第24号証

1 文書の標目 尾張東部衛生組合議会第1回定例会会議録

1.1 原本・写しの別 写し

 2 作成年月日 平成21年3月27日

 3 作成者   尾張東部衛生組合

4 立証趣旨  じんの和子議員が、レジ袋の有料化による予算への影響を質したの対し、  

管理者側の答弁から、レジ袋が有料化になって減ったということに関しての計算をしていない事実・レジ袋の有料化による減量が無視されるべき程度である事実の証明。

 

4 甲第25号証

1 文書の標目 平成2012月定例会(6) 岩橋盛文議員発言部分抜粋

1.1 原本・写しの別 写し

 2 作成年月日 平成21年3月以前

3 作成者   尾張旭市議会

4 立証趣旨  レジ袋削減の取り組み等に対する質問事項と理事者側の答弁内容。

 

5 甲第26号証

1 文書の標目 レジ袋・マイバック(エコバック)・指定ゴミ袋の例示

1.1 原本・写しの別 原本

 2 作成年月日 平成21年8月9日

3 作成者   原告(撮影)

4 立証趣旨  写真により例示比較し、レジ袋の有料化により、レジ袋に変わる製品が

出回る事実と種類の一端を証明。

 

6 甲第27号証

1 文書の標目 尾張旭市指定ごみ袋一覧表

1.1 原本・写しの別 写し

 2 作成年月日 平成21年6月24日以前

3 作成者   被告

4 立証趣旨  尾張旭市のごみ袋の種類と新規に10ℓの可燃用指定ごみ袋ができた事実 

  の証明

 

7 甲第28号証

1 文書の標目 レジ袋追放の材料学的意味

1.1 原本・写しの別 写し

 2 作成年月日 平成20年7月23日

3 作成者   中部大学武田邦彦教授

4 立証趣旨  レジ袋に至る小歴史と同じポリエチレンでできているのに、レジ袋でご

        みを捨てさせない理由などを説明していて、その説明が実態に合うこと

の証明。

 

8 甲第29号証

1 文書の標目 緑区のレジ袋有料化1年

1.1 原本・写しの別 写し

 2 作成年月日 平成20年11月2日

3 作成者   中日新聞

4 立証趣旨  「ごみを捨てるのに使われるポリ袋全体の消費量は変わっていない」など、レジ袋削減とごみ減量の置かれた状況。

 

9 甲第30号証

1 文書の標目 お問い合わせの件

1.1 原本・写しの別 写し

 2 作成年月日 平成20年11月20日

3 作成者   福助工業株式会社

4 立証趣旨  甲第28号証に掲載されたレジ袋メーカーに問合せた事実の証明とテレ

ビ報道番組のDVD版入手した事実の証明。

 

10 甲第31号証

1 文書の標目 レジ袋リサイクル ニュース報道(DVD版) 

1.1 原本・写しの別 原本

 2 作成年月日 平成20年9月

3 作成者   福助工業株式会社

4 立証趣旨  レジ袋がリサイクルされている事実とポリ袋の全体量が増加している

など、レジ袋削減とマイバック運動の実態を報道。

 

11 甲第32号証

1 標目    レジ袋と指定レジ袋型ごみ袋の実物

 

        実物1 レジ袋 各事業者用の物 (7g)   ポリエチレン

        実物2 尾張旭市 認定番号201(8g)    ポリエチレン(高密度)

         (500mm以下×横450mm以下×厚さ0.027mm以上)

        実物3 名古屋市 承認番号00006(7g) ポリエチレン

                (重量は家庭用料理秤で実測した数値)

        

 2 作成年月日 平成21年8月9日以前

3 作成者   事業者

4 立証趣旨  レジ袋の代わりにレジ袋型ごみ袋が出回っている事実、レジ袋とごみ

        袋は認定或いは承認されているかどうかの違いである事実、レジ袋が有

        用である証拠にレジ袋型のごみ袋があることの事実、レジ袋を有料化し

        駆逐し、なぜごみ袋として利用させないのかを現物を見れば、不可解な

ことが確認できる事実などをそれぞれ証明。