≪回答 2004616日≫

尾張旭市議会議長 殿

2004年5月17日

足立 巖

 

議員の国民年金保険料納付状況に関する公表の申し入れ書

 

 

 現国会(第159回)において年金法案が審議(5月12日現在参議院にて審議始まる)されております。それに伴い国民年金の未納問題等についても質疑が行われています。

 

 さてわが国の公的年金は、国民皆年金・社会保険方式・世代間扶養方式という性格を有しているとされています。そうであるなら未納は保険料を拠出しない個人だけに跳ね返るものではありません。性格に挙げました世代間扶養という大切な考え方からすれば、国民全体(皆保険)で費用を負担し老後の生活を支えあうことになります。保険料未納はこれらの基礎が崩れ社会制度が不安定なり様々の問題を招来させることにもなります。

 

 ここに資料を示します。現国会における国民年金保険料の未納問題に関する質問に対する政府答弁書から、「昭和六十一年度から決算が確定している平成十四年度までの間に、二年間保険料の納付がないことから、国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第百二条第三項の規定に基づき時効によって保険料を徴収する権利が消滅したものとして処理した保険料」の各年度別の金額及びその総額です。

 

 

 

 

(単位:円)

年度別

金     額

 

年度別

金     額

昭和61年度

219,914,352,608

 

平成7年度

431,994,021,060

昭和62年度

284,977,579,234

 

平成8年度

470,260,802,180

昭和63年度

333,103,710,303

 

平成9年度

526,959,172,510

平成元年度

351,613,310,063

 

平成10年度

602,327,633,000

平成2年度

349,569,248,377

 

平成11年度

668,924,420,740

平成3年度

378,596,750,542

 

平成12年度

756,549,953,530

平成4年度

357,368,674,108

 

平成13年度

804,933,212,430

平成5年度

375,952,934,330

 

平成14年度

819,379,949,400

平成6年度

398,240,337,490

 

総  額

8,130,666,061,905

 この未納分は厚生年金等で補って来た訳です。

 

 議員各位においては日頃より国民年金に深い関心と理解をお持ちのことと推察いたします。ご承知のように国民年金は強制加入であり、全国民が加入しなければなりません。つまり、国民の義務なのです。

 議員は住民に直接選挙によって選出され、法規を遵守することにより、議会で地方自治法に定められた権限を行使します。議事機関としての議会の地位は執行機関としての長と対等独立な関係にあります。その執行機関に対する監視的権限有する議会の構成者の立場として、それに地方公務員(特別職)として憲法九十九条にいう「憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」ことからしても、国民年金の未納の問題に無関心・黙殺という訳にはまいりません。各位の未納の有無に関し積極的に住民の前に明らかにし、重責を負う議会人として更なる信頼を得るべきであると考えます。加えてその未納の理由をも挙げ、国民年金に対する問題の核心に迫っていただきたいと思います。

 

 また「地方公務員等共済組合法(第11章)地方議会議員の年金制度」【市の拠出になる議員共済組合負担金は、平成15年予算で13,432,000円/年額である。給付費負担金率は、昭和47年度の給付費負担金制度実施時の100分の1から、共済会の収支の状況を勘案して引き上げられ現在は100分の10.5である。つまり議員共済会財政は悪化の方向を辿っている。此の制度に4割以上の公的負担がなされている。】 の存廃の見直しにも迫っていただきたいと思います。制度的なことも在ろうかとは思いますが、最終的には住民の負担になってきますので、この未納問題を奇貨としてぜひ公費負担の見直しや廃止も含め幅広く論議を深めていただくことを願います。

 

 新地方自治法は、住民の福祉の増進を図るとことを基本とする地方公共団体の役割と国がその趣旨を達成するための役割分担を定めました。このことは国の施策に対する容喙を阻むものでなく、積極的に住民福祉の増進のために国への提言や申し入れを勧奨するものと解し、本国民年金保険料未納問題も立法府だけと考えずに、新たな提案へと結びつけていただければと考えています。

 

 此の未納問題に関しては既にご承知のように立法府においても公表されつつあるところです。また当市においても執行機関の長である市長は新聞のアンケート(中日新聞 5月12日朝刊)に答えている所です。

 

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