尾張旭市議会議長 殿

 

平成151224

足立 巖

尾張旭市XXXXXXXX

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陳情に関する委員会審査についての意見書

 

 

 請願権については憲法第16条にその定めがあり、それを具体化しているのが請願法であります。請願法第5条に「この法律に適合する請願は、官公署において、これを受理し誠実に処理しなければならない」と置かれています。この請願された内容について、官公署は実現する義務を負う訳ではありませんが、「誠実に処理」する義務は負います。その誠実さは、請願されたことの内容に関し公正な検討を加えて、その結果を請願者に告知することであると考えられます。このような過程を経ることはある意味では官公署の政策実現への参加、つまり参政権への行使の一歩でもあります。地方自治法は第124条・125条にその定めを置きます。この請願の権利は先の憲法16条を根拠としています。誠実に処理することは言うまでもありません。

 

 さて上述の請願と似ているものに陳情があります。公的機関に一定の事柄について適当な措置をとってもらいたいという訴えで、法的な拘束力持っていない点では請願と異なります。議会が受理する義務や執行機関の措置義務等もありません。しかしながら、例えば東京都議会は陳情の扱いは原則として請願に準じて取り扱われています。陳情の書式・手続きも請願に準じています。愛知県議会は受理されると県部局に関係する常任委員会等に送付はされますが、採択、不採択などの議会の決定はなされていません。また、愛知県議会会議規則に陳情の定めもありません。しかし、「請願・陳情は、皆さんの意見や要望を県政に反映させる大切な制度」としております。このように各自治体議会により扱は法の定め無きため微妙に相違していますが、誠実に処理されることは承知されていると考えられます。

 

 尾張旭市は「尾張旭市議会会議規則」第85(陳情書の処理)の定めで、請願書と同様に処理するとあります。つまり同規則第831に基づいて審査がなされる訳です。これは先に述べた「誠実に処理」の義務を負うて、付託された各委員会がその審議において正当な検討を加えることを要求されていると考えられます。

 

 さて、これまでもそうでありましたが、今定例会(平成15年第6回 12)で、特に民生文教委員会(他の委員会も同様ではありますが)は付託された陳情に関し、その審査(詳しく調べて適否等を決める)がなされる過程(議論)が見受けられずに結果が出されております。これは傍聴する者にとっては非常に理解のしづらいことであります。傍聴は住民が参政・監視し得る手段でもあります。もし万が一住民不在のところで暗黙の了解事項等が図られて公開の審議の過程が抜かされているとしたら、これは傍聴権または知る権利への侵害ともなりうると考えられます。公開の場で議論され審査されることは上述の「誠実に処理」されることへの担保ともなることなのです。縷々述べてきたことの趣旨をご理解の上、ぜひ採択・一部採択・不採択が透明かつ活発な審議の上、つまり、明確に議する言葉を発してなされるようここに意見を述べます。

以上

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