Aは愛知県産業労働部中小企業金融課


Q なぜこのような補助金制度が長い間続けられているのか。


A 商工会に対するこの補助金は、昭和35年の「商工会の組織に関する法律(現在は商 工会法)」施行によって地域経済団体である商工会が法制化され、小規模事業者のための経営改善普及事業に対し国が積極的な助成措置を講ずることを定め、国の小規模事業対策費として予算措置されたことから始まっています。
 この予算によって、国の定める全国同一の補助基準による補助制度が創設され、全て の小規模企業が等しく行政サービスを受ける機会の確保のため、国主導により全都道府県でこの補助制度が小規模企業政策として始められました。
 以後、本県においても商工会における経営改善普及事業(補助制度)は、社会経済環 境の変化に対応して、小規模事業者の新たな課題に応える事業の逐次見直し実施などにより、今日まで小規模企業の経営の改善発達と地域経済の発展に寄与してきました。
 現在、本県では小規模事業者が約28万人、県内事業者数の約8割と圧倒的な比重を 占めており、地域経済社会の基盤ともいうべき役割を果たしておりますが、ご承知のようにこれら小規模事業者は依然として家族経営的な経営実態や経営基盤の脆弱性が認められます。
 近年、小規模事業者を取り巻く環境も大きく変化する中で、税務、金融、経理などの 基礎的な経営改善普及事業を期待する事業者がある一方、経営革新、技術革新など高度で専門的な支援を必要とする事業者のニーズも高まっており、これらに対応すべく本県小規模企業対策として地域経済団体である商工会を通じ、小規模企業の経営の改善発達を図ることは今後とも重要であると考えております。

Q 商工会は自立して会員事業者によって支えていくのが筋ではないか。商工会に毎年税 金を投入し存続させていく、県民・市民にとっての納得のできる積極的メリットは何かあるか。 極々一握りの事業者のために税金を投入し、育成等図る必要があるのか。


A ご指摘のとおり、商工会は地区内の商工業者によって自主的に組織されており、その 維持運営は会費などを中心とした自主財源で賄うことが望ましいことです。
 そのため、商工会では商工会法の定める範囲で会費の他に、各種共済事業や労働保険 事務代行手数料等の収益事業により自己財源の確保を図っており、その自己財源により商工会の運営経費や会員に対する自主事業を実施しております。
 しかし、商工会の役割は、会員のみを対象とした事業活動だけを行っていれば良いも のではありません。即ち、商工会法の目的である地域的総合経済団体として「地区内の商工業の総合的な改善発達を図る」という大きな役割があります。
 そのために国、県、市町村施策の実施主体として、一部の事業者のみを対象とするの ではなく、補助金等により会員、非会員を問わず、地域内小規模事業者全てを対象に経営改善普及事業を始め中小企業全般の振興、地域振興、街づくり、労働福祉、環境衛生、高齢者介護、国際交流、創業支援など多岐に亘る事業活動を展開し、地域経済の発展に貢献しているわけです。
 具体的には、経営改善普及事業であれば、商工会が行う会計処理のための記帳指導や 決算指導は事業者の自主記帳を促進し、また地区内全ての小規模事業者を対象として実施する巡回指導において金融、税務、経営相談などあれば、融資の斡旋から専門家による個別相談などにより経営管理の支援をしています。この他、IT化支援から専門家派遣による技術改善指導など、様々な分野において商工業者の健全な育成発展に貢献しております。
 また、地域住民との生活レベルに密着して高齢者福祉や資源ゴミ・容器包装リサイク ルなど環境問題等を地域小規模事業者への経営支援の方策と位置付け、一方で商工会自らの事業課題として市町村役場、関連組織と連携を取りながら地域コミュニティ的役割も、様々な分野で担っています。
 こうした取組こそ、幅広い分野での事業者育成であり、地域経済の活性化、発展に繋 がるものと考えております。

Q 県下でどれだけの商工会が存続し、過去3年を取った場合で総額でどれほどの補助金 が出ているのか。県と市町村に分けて教えてほしい。


A 商工会に対して交付した県の小規模事業経営支援事業費補助金の額は、下記のとおり
です。市町村分は、市町村から商工会への補助であるため、直接市町村にお尋ねください。


                    記

年   度        商 工 会 数     補助金交付額     備  考
平成12年度          72      1,957,323,469 円    決算見込

平成11年度          72      2,007,318,233

平成10年度          72      2,068,728,533


Q 補助金の取り止めないし削減の考えはないか。補助金は中止すべきではないか。


A 本県では平成10年「愛知県行財政改革推進計画」(愛知県第三次行革大綱)を策定
し事務事業の大幅な見直しを進めております。小規模企業政策もその対象として、小規模事業経営支援事業費補助金についても、これまで全庁的な予算マイナスシーリングに応じ削減を図っております。
 また、補助事業中止についてですが、これまでの補助制度を通じた小規模企業の経営  の改善発達に対する事業効果を直ちに否定し、中止することは、行政の継続性として現実的ではありま せん。
 前述のとおり、今日の経済社会において小規模企業の直面する課題は変容を続け新た  な課題が生じています。このため地域経済団体である商工会を通じて、小規模企業の経営の改善発達を 図る経営改善普及事業(補助金)の実施は、本県の中小企業対策を始めとする各分野の政策と同様に 、今後とも小規模企業政策として重要なものと考えております。
  但し、この補助制度については商工会組織運営に密接に関っていることから、社会構  造の変化、国の小規模企業政策理念の変容、新たな産業政策課題、行政改革へ対応、事業効果など様々な 観点から十分精査見直しをし、効率的実施に努めて参りたいと考えております。

Q 商工会自立のための計画ないし見通しはどうなっているのか。


A 商工会のさらなる自立的発展のためには、これまで以上に会員増強に努め、収益事業  による手数料等の自己財源によって活動の自立基盤を確保していくことが必要とされています。このた め、各商工会においても全国商工会連合会の指導の下で、商工会事業の強化・拡充に向けた自主的な検討 、取組みが進められているところです。
 しかし、公益法人が故に事業活動は法律で制限(営利活動の禁止)されているため 、現行法上の許容範囲として実施し得る収益事業のみでは、組織維持運営に限界があると考えられます。また、近年の景気低迷による倒産、廃業者の増加や小規模事業者の後継者不足・不在などの原因によって、会員脱会者が増加傾向にあるのは事実であります。
 こうした状況の下、平成10年度より国、地方自治体、商工会、民間企業等による研 究会によって「今後の小規模企業政策のあり方等」について検討を行ってきました。
 この研究会の中では、今後の商工会の自立発展を前提とし「商工会の事業実施に伴う 組織体制の見直し」についても議論がなされ、(1)単会の広域連携、(2)合併の2つの方向が示されました。
 この提言を受け、国においては広域的な事業実施に対応する予算の組替え、運用の変 更等が行われると共に、合併を円滑化するための法的措置の検討が進められ、この結果、平成13年3月2日に「商工会活動の広域化や小規模商工会の事業実施体制の強化を図るための商工会合併の円滑化」を目的とした、商工会法改正に関する閣議決定がなされたところです。この法律改正は、早ければ本年9月の施行と聞いております。
 この改正により商工会の合併が進められれば、商工会組織としての規模並びに事業実 施単位が拡大し、組織運営・事業の効率化や経費削減などの合理化、さらには組織財政基盤の強化が図られると考えられます。また、このことに関連し、本県においては、昨年12月に愛知県市町村合併推進要綱を策定し、市町村合併の積極的な取組みを促進支援しているところでありますが、市町村合併に伴って市町村単位で設立されている商工会の合併も必然的に取組まれると思います。
 いずれにしても、今日の国、地方自治体での行政改革や民間企業での統合、合併など と同様に、商工会合併は今後の商工会自立的発展の要となるものであり、本県としてもその取組みを積極的に指導、支援して参りたいと考えております。

Q 全事業者数と加入事業者数を県内市町村別に分けて教えてもらいたい。


A 以下のとおりです。
  「愛知県商工業者加入状況」を参照。