第6巻

傍聴記 2001/01/08

 請願と言え、陳情といえ何か妙に悲しい響きを持っていませんか。何々をして下さいと、請い願うのです。本来なら、「やりなさい!」とでも命令したいくらいで、主権の在る者としては。でもそうはなっておりません。そもそもの由来は、やはり、ありがたいお方のおめぐみによる権利として考えられていたからです。今でもそれが強く残っているのです。憲法の請願権(第十六条)も単に請願を受理する義務を負うだけで、その内容を審査して、回答したり、それ対する措置をしたりする法的な義務は負わないと解釈されています。
 十二月定例会(平成12年)での陳情はすべて不採用になりました。付託された委員会を傍聴しましたが、審議には程遠いものでした。ある委員が、反対するのなら理由は?と問う始末。傍聴する者としては、採否の過程が知りたいのです。どのような考えで決められていくのかが知りたいのです。物事の意思決定はどのような根拠に基づいてされるのかがです。民主的とは自己の考えを述べることから、相手の言うことを聞くことから始まるのです。その結果互いの意見を調整していくことでしょう。問答無用に、否(特に)は無い。思考の怠慢です。問うた委員も後が続かないのではやはり、調査(勉強)不足。発言をしない委員は採否の権限をその件に関しては剥奪するのです。討論に加わった者だけが、採否権を持つようにするのです。少人数の委員会なのだから全員が侃侃諤諤やったって、時間は十分。えっ、誰も何も言わなかったらって?案件によっては採択をしたらどうか。
 さて陳情ですが、何かについて措置をとって貰いたいという訴えであって、請願のように法的な拘束力は持ちません。つまり、議会が受理する義務とか執行機関の措置義務はありません。善処して頂だい、お願いします!と言うだけです。当市議会会議規則では陳情書等の処理は請願書の例により処理するとなっています。
 請願の手続ですが、国会法第七十九条は、議員の紹介により請願書を提出しなければならないとあり、地方自治法第百二十七条でも当然、議員の紹介によりとなっています。代表を通せということなのか。議員に知り合いが若しくは傍近くに議員がいない場合など、どうするか。それより、直接送付することも可能にしたらどうか。電子政府を謳うなら、ITを喧伝するなら、電子メールでも今後は可能にしなくては。
 憲法の第十六条を具体化している請願法は僅か全六条と附則からなりますが、その第五条に着目しましょう。つまり、「・・・請願は、官公署において、これを受理し誠実に処理しなければならない。」とあります。このことから敷衍すると、前述の委員会は誠実に処理したと言えるのだろうか。市民の直の声を真摯に審議し結論を出すことが、代表民主主義に不足するものを補うことにならないか。審議内容が詳細に分かれば、その機関が何に立脚点を置いて運営されているのかも分かるのだから。委員会公開は議論されてこそ本分である。 


平成12年第5回(12月)尾張旭市議会定例会民生文教委員会付託の陳情第5号−8号

尾張旭市議会会議規則 第3章 請願(第126条−第132条)
(陳情書等の処理) 第132条「議長は、陳情書又はこれに類するもので、その内容が請願に適合するものは、請願書の例により処理するものとする。」


傍聴記 2001/02/22

 大相撲の起源は「力くらべ」が始まりと伝えられている。1958年に年六場所制になった。日本相撲協会の規則には「一年間に六本場所(一月場所、三月場所、五月場所、七月場所、九月場所、十一月場所)を挙行し、力士の成績によって、その昇降を番付により発表する」と明記している。そして一場所十五日。
 そう、大相撲と市議会をちょっと比較して見ようと思って。議会開会日数のこと。定例会4回と臨時会2回で・・・。大相撲は年90日、議会は会期が83日(実際は委員会も含めて定例会は10日ほど、臨時会は1日であるから42日である)。しかも大相撲の場合は、正味一場所15日を目一杯全国(海外までも)テレビ放映されて環視の中にあるのに、当市の場合は市役所内の片隅一箇所にモニターを設置しているのみ。できれば駅頭・目抜き通りにモニターを設置(会期中だけでも)したらどうだろう。
 で、ある日ある議員に「本会議での質疑をもっとしっかりやらないか」見たいなことを言ったら、曰く「議員の仕事は議会だけでない」と。私はあいにく大相撲の力士に知り合いがいないので、「もっと本場所で力を発揮せんかい」と言えないが、もし言えたとして、その力士が「相撲取りは本場所だけでないっす」と言ったら、どんなものだろう。
 相撲の鍛錬は偏にこの本場所に向かってであり、七十あまりの決まり手を駆使して技と力を競い合うのである。議員も市民と接したりする時が鍛錬の場であり、そこから種々の問題・課題提起の着眼等を得るのではなかろうか。そして本会議では、地方自治法第二節権限に定める内容を以って、もう一方の最高機関(自治権)の担い手である理事者側と是非を論じ決するのではないか。
 さて三月場所(定例会)がもうすぐ始まる。どのような日頃の技の鍛えを見せてくれるのであろうか。こんど議員の番付発表を作ってみようかな。腰砕けや死に体だけはまいるなぁ。


地方自治法 第102条【定例会・臨時会・会期】のA定例会は、毎年、四回以内において条例で定める回数これを招集しなければならない。B臨時会は、必要がある場合において、その事件に限りこれを招集する。
「尾張旭市議会の定例会の回数を定める条例」尾張旭市議会の定例会の回数は年4回とする。

定例会の本会議について、『議会の概要』(2000(平成12年)尾張旭市議会)から見ると、「議会の活動状況(平成11年)2 本会議開催表」で、第6回(12月)会期16日の内4日が割り当てられている。で、その4日で正味会議時間数は、12時間4分(1日平均4時間1分)である。このときの議案が意見書案も含めて12件。文中83日はこの資料による。

尾張旭市は臨時会(1月・5月)・定例会(3・6・9・12の月)である。(同上資料による)


傍聴記 2001/04/04

 ″市民の皆さん≠たしたちは今日「教育基本法」が高らかに謳う前文・教育の目的(第1条)・教育の方針(第2条)等を再度噛みしめてみなければなりません。昭和22年3月31日に制定されたこの法は真に前向きで真摯なものであります。そこでは自主的な精神を涵養し、真理と正義を愛し、創造する者としての個が求められています。半世紀以上前の昔に定めた時と同じ厳粛な気持を、再度今こそ一人一人の心に刻みなおそうではありませんか。
 すべてが大きくそして素早く変化して行くなかにあっても、この法の精神は瑞々しいほどに未来への案内を引き受けているのです。いわば自他の在り方の根幹となるものを内包しながら、先の戦争によって打ちひしがれた人々のこころの再興を、また真理と平和を希求する人間を育てることによって続く世代に夢を託してきたです。
 さて話は変わりわたしたちの市の教育委員会を覗くと、満足に自己の意見を表明できない委員、知らないことを聞くのはいいがそれだけで終ってしまい、何のことはない報酬を貰ったうえに知識まで授けてもらっている委員。分からないことを聞くのは当然である。が、聞いたうえでその件に関しての自己の意見を吐かないのは「教育、学術及び文化に関し識見を有するもののうちから・・・」に該当しない、つまり失格である。見識無しなのである(納得だけするな!)。前回の議事録の確認を求められても、しっかりとした返事もできない委員達。自分達が前回過ごした僅か二時間にも満たない無為にも等しかった時間の確認ではないか。傍聴者から見ていると極力意見みたいなものは言質をとられるから言わないという姿勢か、まるっきり場違いの人としか見て取れない。
 そんなことでおめおめとよくもまぁ、金貰うな!聞くけど、新聞くらい読んでいるんだろうね?だって問題意識がなさ過ぎるもの。また新聞記事からの識見くらいではこれもまた付和雷同の謗りを免れないよ。それから長い間教育に携わって子供たちには多分、「元気よく挨拶しましょう!」なんて言ってきたそこのあなた!たった一人の傍聴者の前を会釈も出来ないで通り過ぎて行ってしまうの?!こちとらは挨拶したくとも禁じ手もあるし、視線を合わせたくても「そこのあなたは」目線が水平角度より上に向いているしね・・・。教育者か・・・。この程度では子供の感性(こころ)の目には耐えることができないだろうよ。誠実とは言葉で言うものでなく日常の行動で築きあげるものなのだよ、あなた。
 行政(市長)はどのように委員を決めているのだろうか。その意思決定過程が知りたいものだ。どう考えても任命理由をまに受けるには無理がある。二年余の傍聴でのつくづくの思い。


「尾張旭市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例」で教育委員会委員長 月額 52,000円  委員 月額 43,000円 旅費は、尾張旭市職員の旅費支給に関する条例による助役・収入役相当額。事務局に月額の理由を聞いたけど知らないとう返事であった。もちろんこの場合条例で決まっているというのは回答にならない。なぜそう決めたかを問うているのであるから。私は半日額で十分と考える。この類で一番の高額は月額85,000円の監査委員で、次が社会教育指導員の月額83,000円である。以下少年センター指導員の月額70,000円と続く。
教育委員会の根拠法令 「地方自治法」180の8 「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」2〜15

引用:ー群馬県教育委員会ー
教育委員会は、地方自治の理念のもとに教育の政治的中立性と安定性を確保するために、地方公共団体の長から独立して設置される機関です。教育委員会は、法令又は条例の範囲内で規則を制定することができます。教育委員会には独自の予算調整権はありませんが、地方公共団体の長は、歳入歳出予算のうち教育に関する事務に係る部分について教育委員会の意見を聞かなければならないとされています。教育委員会は教育行政の基本方針や重要施策の決定を行いますが、非常勤である委員が教育行政の実際の運営に関して専門的な知識を有する必要はなく、むしろ、素人(レイマン - Layman)としての総合的な観点から基本方針の決定を行うことを期待されており、一方、教育行政に関して十分な力量を有する専門家としての教育長の設置が定められているのです。(注)群馬県教育委員会へのリンクは承諾を得ている。