生まれた水の行方-4     Written by 昼休

4章


気が付くと病院のベットの上に横たわっていた。
寝ている間、長い夢を見ていた。
彼 女と一緒にいたときをすべてみたような気がした。
彼女は僕を励ました。
「がんばっ て」と言って励ました。
その声は僕にとって、苦痛でしかなかった。
この夢が終われ ば彼女はもういない。
夢の中で思っていた。
起きてからどのくらいたったのかわから ない。
天井をずっと見つめていた。
何も考えずに、ただ見ていた。
白い天井はきれい でシミもなかった。
僕は、その天井をぶち壊してやりたくなった。

半年ぐらい入院してただろうか。
やっと退院することになった。
病院は地獄だった。
医師や看護士だけじゃなく、それだけでも嫌なのに、
患者まで気を使うのだ。
向こう が気を使ってくれる分、
僕も気を使わなければいけないのだ。

人に人の気持ちはわからない。
普通に話していても相手の人はどんなことを思ってい るかわからない。
子供の頃、友達と「嫌いな人は誰?」と言って聞いてみた。
友達は ある人の名前を出す。
でも、友達はその人と、まるで親友のようにいつも会話をして いたのだ。
その時から僕は「信じる」という言葉を無くした。
僕に親友はいない。
友達はいるかもしれないけど、親友はいない。
中学生の頃の友達 は、それ以来関係は無い。
高校生の友達は、それ以来見た覚えが無い。
僕はお道化て 必死になって友達を作ろうとした。
僕は、いつもだましていた。
心の中は暗くても、 表面は明るく振舞っていた。
いつも死にたがっていた。
生きる意味がわからなかっ た。
そして、今もわからない。

川原に来た。
水は青く輝いていた。
緑の草は空に向かってそそり立ち、そして空は、
夕日の色で染まっていた。
この川で死のうと決めた。
久しぶりに小さい頃に行った田んぼに向かった。
蛍を見に行った所だ。
蛍の時期に は、もう遅い。
2週間は遅れているけど、蛍を見に行った。
車を降りて、外を見る。
近くに1匹、季節はずれの蛍が光っていた。
僕はその蛍に妙に悲しみを覚えた。

オス もメスもいない。
生きる意味が無い。
ただ、死を待つだけ。
それに気づかずまだ生き ている。
そんなことを考えながら、蛍をじっと見ていた。
何時間見ていただろうか。
ふと光が落ちた。
そして、消えた。

死。

輝きを失うとき。
人生が輝いてるかどうかは わからないけど、
その時なにかが無くなる。
僕も一生懸命やってきた。
そろそろ幕を閉じようと思う。
今日は星がとてもきれいに 見えた。