生まれた水の行方-3     Written by 昼休

3章


子供の頃、生きる意味について考えた。
死にたかった。
いや、そうではなかった。
生きる意味がわからなかった。
そして、死ぬ意味もわからなかった。
自分はそこにあるだけだと思っていた。
自分は誰からも必要とされていないと。
そして悩んだ。
悩んだ 結果見つけた答え、
それはその答えを見つけるために生きることが答えだと思った。

それから十数年たった。
答えを見つけようとはしなかった。
彼女がいたときは生きて いた。
彼女の為に生きていた。
でも今は彼女はいない。
どこか遠い世界に行ってし まった。
取り戻すことの出来ない世界へ。
あれから僕は何も見ていない。
暗い世界の 中に閉じこまっている。
そこから何度も出ようとした。
でも、前に壁があった。
高く ててっぺんが見えない。
壊すことも出来ない。
飛び越えることも出来ない。
僕は何も 出来なかった。
そして彼女を忘れることにした。
いや、忘れていた。
知らぬ間に頭の おくそこに彼女は埋まっていた。
しかし、彼女は消えはしなかった。
夢で出てきた。
彼女は明るい顔をしていた。
僕の暗い心に明かりがともった。
でもそれはすぐに消え た。
そしてその明かりは僕の心をもっと暗くした。
僕は今、砂浜に座っている。
音は聞こえない。
空に光はない。
灰色の雲で覆われてい て今にも雨が降りそうだ。
海は静かに波打っている。
その波はなにか誘っているよう だった。
深くてくらいどこか遠い世界へ。

僕は車で近くのマンションの屋上へ来ていた。
死ぬのは恐くなかった。
むしろ生きる のが恐かった。
今の僕に生きる理由はないと思った。
飛び降りる前に目をつぶってみ た。
そこは明るかった。
これから行く世界だと思った。
僕はその光に誘われるように 前へ倒れこんだ。
落ちる瞬間、彼女が見えた。
明るい顔だった。
そして僕は明かりの 中に落ちていった。
しかし、それはすぐに消えた。
肩に激痛が走り、一瞬とまったと 思ったら次は地面にたたきつけられた。
死ねなかった。
涙が流れた。
痛みからではな い。
僕は悲しかった。
暗い世界でこのまま生きていかなければことが。