2章
湧き水
それは冷たくてのどの渇きを潤した。小川の水だ。
少し休んでまた山を登ることにし
た。
しばらくいくと川とは違うところでも水の音が聞こえてきた。
僕は、そこへ向かって歩いていった。
すこし歩くとたぬきが僕の前に現れた。
たぬきは僕の目をじっ
と見てきた。
その目はあの事故のあとのように「人間」というものを始めて見て
その始めて見たものをどういうものか判断しているようだった。
しばらく見つめあってた
ぬきは逃げていった。
僕はどんな風に思われたのだろう。
ここで止まってはいられな
いので水の音のほうへ行くことにした。
そして、水の音のするほうを見た。
暗かっ
た。
なぜだろう。
何も見えなかった。
僕はこれはたぬきのせいだ、と無理やり思っ
た。
「たぬきの仕業か。」とつぶやくとだんだん光が差し込んできた。
嫌だった、自
分が。
何が起きたのかはわからなかった。
でもあの日以来なにかが変わった。
世界が
変わった。
自分が変わった。
僕はあの事故以来仕事をしていない。
でも生きていけ
る。
小さい頃から勉強ばかりしていい高校、いい大学を出た。
でも、僕に夢はなかっ
た。
大学を卒業してからどこに行くわけでもなくフリーターをやっていた。
そんな
時、彼女に出会った。
彼女は夢をくれた。
結婚。
僕の夢だった。
そのために、仕事を
して金をかせいでいた。
付き合って1ヶ月。
夢は消えた。
心に暗い塊が出来た。
それ
は消そうと思っても消えなかった。
忘れようとしても彼女はどこかに現れた。
そして
話し掛けてきた。
生きているようだった。
消えて欲しいと思っているつもりだった。
でも、実際はこのまま消えないで欲しいと思っていた。
夢をかなえたかった。
たった
1つの夢。
でも彼女は薄れていった。
僕の夢もなくなった。
いつのまにか人の目が見
れなくなっていた。
孤独になっていた。
誰も信じれなくなった。
僕は死んだ。
生きな
がら死んでいた。
いるではなくあるだった。
物になっていた。
そして、夢を見た。
忘
れようとしたときに出てきた。
そして、ここまで来た。
水の音がする場所へたどり着いた。
小さな泉だった。
湧き水が出てきている。
ふと
思った。
ここで生まれた水はどこへ行くのだろうか。
生まれてきた意味はあったのか
と。
そして、生まれた水の行方は、、、