あなたが、ふと「意識」について考え、学ぼうと思い立ったとしよう。どこから始めようとするだろうか?ノートを持って山小屋に一人で籠もる人もあるかも知れぬが、多くの人は手ごろな本を探そうとするだろう。なまじ知識がある人は、フロイトに始まる精神分析の語る「意識」「無意識」からのアプローチを取るかもしれない。もう少し、学のある人は、哲学書から始めるかもしれない。大学で心理学をやっていた人は、ウィリアム・ジェームズでも読み直そうとするかも知れない。新しいものが好きな人は、「あれだよ、あれ、クオリアだよ。読んだ、読んだ。」と茂木健一郎氏の著作を持ち出すかも知れない。
でも、どんな人にとっても一番インパクトがあるのはベンジャミン・リベットが1970年代から80年代に行った一連の実験の結果だろう。
彼が見出した知見はこうだ。
(末梢→中枢)
感覚器のある皮膚、中継地の視床、到着地の大脳の知覚野をそれぞれ刺激することで見出したのは、
1.脳は痛みの場所を体の地図の上にプロットする。(「プロットされた部位が痛い」と意識する)もちろん、1は目新しいことではない。不用意に肘の尺骨神経を机の角などにぶつけてしまうと、小指や薬指に痺れが走る。小指や薬指をぶつけたわけではないのに。もっと遡って大脳を刺激しても指や足先が痛いと感じるわけだ(これらの先駆的な研究はペンフィールドによってなされた)。理解しやすいし、特に違和感を感じない。
2.脳は痛みの時間を時間軸の上にプロットする。(「プロットされた時間に痛いと感じた」と意識する)
でも2は、ずいぶんと違和感がある。なぜなら、脳は0.5秒ほど遅れて痛みを自覚するのだが、痛み刺激を受けた直後に自覚したかのように、時間軸上にプロットしなおすというのだ。つまり私たちの意識は、脳のシステムに騙されていて、ずいぶんと時間が経ってから痛みを自覚しているのに、刺激直後に自覚したかのように錯覚するように出来ているわけだ。進化を通じで出現した「意識」が自覚的にズレていては、存在意義がないのである。(熱いものから手を離すのは脊髄反射であり、大脳を介さない全く別の系である)
(中枢→末梢)
大脳の誘発電位と随意的運動の研究から見出したのは
3.脳からは随意運動の意思決定の時間よりも前に運動準備電位が観察されるこれは、ある運動を行おうと意思決定(を意識)した0.35秒前に大脳より運動準備電位が検出されるということだ。つまり、私が動作の意思決定を自覚した時には、すでに0.35秒も前に脳が動作の準備を始めていて、動作は「決定事項」となっているのだ。
2.と3.から分かるのは「意識」がスタートするには、こと(刺激や運動の決定)が起こってから(膨大な情報を処理して「意識」が認知できるレベルにダウンサイジングするのに)約0.5秒ほど時間がかかるにも関わらず、それを全く自覚させないように「意識」がチューンアップ(というかチューンダウン)されているということだ。
そして、私たちは、自分の「意識」こそが「自分」であり、「自由意思」で「自己決定」していると思っているが、その全て(またはそのほとんど)が、脳というシステムが見せている錯覚である可能性があることを示唆している。
強く推薦する。多様な理論を必要に応じて簡略化しつつも明確に提示している。多くのカラフルな図は理解を大いに助ける。最先端の理論を俯瞰するのに最適の書である。
著者の姿勢も医療ジャーナリストとして、科学的且つ論理的である。最終章の9章では自分の「超越体験」を述べてしまっているが、その経験を突き放しつつ論じているため、許容できる。
最新脳科学―心と意識のハード・プロブレム
Gakken mook―最新科学論シリーズ
矢沢サイエンスオフィス
単行本: 250 p ; サイズ(cm): 26
出版社: 学研 ; ISBN: 4056015058 ; (1997/06)
絶版であるが古書店で探して、手に入れることをお勧めする。チョムスキーなど著明な研究者へ直接のインタヴューをしている記事が多数。理論家自身のざっくばらんな表現での理論の説明を読むことができる。また、理論家相互の批評も興味深い。基礎知識がなくても「意識」の問題への興味を強く刺激される冊子である。脳量子論の比重が高いのには少しげんなりだけど、、、
意識の認知科学―心の神経基盤
認知科学の探究
苧阪直行
(著), 日本認知科学会 (編集)
単行本: 234 p ; サイズ(cm): 210 x 148
出版社: 共立出版 ; ISBN: 4320094352 ; (2000/07)
日本認知学会の学会誌「認知科学」に掲載された論文の邦訳集である。Bernard
J. Baars, Paul M. Churchland, Patricia S. Churchland, Stuart Hameroff,
John C. Eccles らの論文を含む。個々の仮説の概要を知ることができる。
ノーベル賞科学者のアタマの中―物質・生命・意識研究まで
青野 由利 (著)
単行本: 212 p ; サイズ(cm): 182 x 128
出版社: 築地書館 ; ISBN: 480671187X ; (1999/09)
一歩引いた視線で、「意識」研究(者)を眺めてみると、、、 書店で手に取るのが恥ずかしくなるような書名ではあるが、内容は意識研究の流れを概観したのも。なにが多くのノーベル賞科学者が「怪しい」意識研究に走らせるのか?について考察を加えている。青野由利氏は、他の(科学)ジャーナリストにありがちなおかしな思い込みや不正確さがほとんどない、信頼できる書き手である。
生存する脳―心と脳と身体の神秘![]()
アントニオ・R. ダマシオ (著),
Antonio R. Damasio (原著), 田中 三彦 (翻訳)
単行本: 402 p ; サイズ(cm): 182 x 128
出版社: 講談社 ; ISBN: 406210041X ; (2000/01)
moriyama.com書評必読の基本書である。(翻訳が少し読みにくい)
無意識の脳 意識の脳―身体と情動と感情の神秘
![]()
ダマシオ・アントニオ (著), 田中 三彦 (翻訳)
単行本: 412 p ; サイズ(cm): 182 x 128
出版社: 講談社 ; ISBN: 4062118785 ; (2003/06/20)やはり必読の書である。この書物の中心は第8章「仮説を裏付ける神経学的事実」である。神経解剖学と神経心理学の基本的な知識のある者は、彼の仮説の説明部分(5−7章)と第8章を読めばよい。説得力のある仮説であるといえる。
デイヴィッド・J.
チャーマーズ
David J. Chalmers
オーストラリア出身。大学では数学とコンピュータサイエンスで学位、哲学と認知科学で博士号。
ハード・プロブレム
hard problem
意識する心―脳と精神の根本理論を求めて![]()
The Conscious Mind: In Search of a Fundamental Theory
デイヴィッド・J. チャーマーズ (著),
David J. Chalmers (原著), 林 一 (翻訳)
単行本: 508 p ; サイズ(cm): 182 x 128
出版社: 白揚社 ; ISBN: 4826901062 ; (2001/12)The Conscious Mind: In Search of a Fundamental Theory
by David J. Chalmers
ダニエル・デネット
Daniel C. Dennett
哲学者
多文書(草書)理論
multiple draft model
ダーウィンの危険な思想―生命の意味と進化![]()
ダニエル・C. デネット (著),
Daniel C. Dennett (原著),
山口 泰司 (翻訳), 大崎 博 (翻訳), 斎藤 孝 (翻訳), 石川 幹人 (翻訳), 久保田 俊彦 (翻訳)
単行本: 797 p ; サイズ(cm): 182 x 128
出版社: 青土社 ; ISBN: 4791758609 ; (2000/12)解明される意識
![]()
ダニエル・C. デネット (著),
Daniel C. Dennett (原著), 山口 泰司 (翻訳)
単行本: 638 p ; サイズ(cm): 182 x 128
出版社: 青土社 ; ISBN: 4791755960 ; (1997/12)
バース
Bernard J. Baars
認知心理学者
グローバル ワークスペース モデル
global workspace model
In the Theater of Consciousness: The Workspace of the Mind
ペーパーバック: 212 p ; サイズ(cm):
出版社: Oxford Univ Pr ; ISBN: 0195147030 ; Reprint 版 (2001/10/01)
ハードカバー: 193 p ; サイズ(cm):
出版社: Oxford Univ Pr on Demand ; ISBN: 0195102657 ; (1997/03/27)
Paperback: 212 pages ; Dimensions (in inches): 0.65 x 9.16 x 6.30
Publisher: Oxford Press; Reprint edition (October 2001)
ISBN: 0195147030
original 1997A cognitive theory of consciousness
Publisher: Cambridge : Cambridge University Press, 1988
Physical desc.: xxiii, 424p : ill ; 24cm
ISBN/ISSN: 0521301335Essential sources in the scientific study of consciousness
edited by Bernard J. Baars, William P. Banks and James B. Newman
Publisher: Cambridge, Mass. ; London : MIT, 2001
Physical desc.: xiii, 1192 p : ill ; 23cm
ISBN/ISSN: 0262523027 (pbk)
0262024969
ペーパーバック: 1192 p ; サイズ(cm):
出版社: Mit Pr ; ISBN: 0262523027 ; (2003/01/30)意識の認知科学―心の神経基盤 認知科学の探究
![]()
苧阪直行 (著), 日本認知科学会 (編集)
単行本: 234 p ; サイズ(cm): 210 x 148
出版社: 共立出版 ; ISBN: 4320094352 ; (2000/07)
第2章がバースによる論考。
ミンスキー
Minsky, Marvin Lee, 1927-
人口知能学者
心の社会モデル
m model
The society of mind
Marvin Minsky illustrations by Juliana Lee
Publisher: New York, N.Y. : Simon and Schuster, c1986
Physical desc.: 339p
ISBN/ISSN: 0671607405心の社会
![]()
安西 祐一郎 (翻訳), Marvin Minsky, マーヴィン・ミンスキー
# 単行本: 574 p ; サイズ(cm): 210 x 148
# 出版社: 産業図書 ; ISBN: 4782800541 ; (1990/07)
ジャッケンドフ
Jackendoff, Ray
言語学者
意識の計算論モデル
model
Foundations of Language: Brain, Meaning, Grammar, Evolution
Ray Jackendoff (著)
ペーパーバック: 506 p ; サイズ(cm):
出版社: Oxford Univ Pr ; ISBN: 0199264376 ; (2003/09/01)
フランシス・クリック
Click, Francis
分子生物学者
意識の計算論モデル
model
DNAに魂はあるか―驚異の仮説ポール・M・チャーチランド
フランシス クリック (著), Francis Crick (原著), 中原 英臣 (翻訳)
単行本: 374 p ; サイズ(cm): 182 x 128
出版社: 講談社 ; ISBN: 4061542141 ; (1995/12)The Astonishing Hypothesis: The Scientific Search for the Soul
Francis Crick (著)
ペーパーバック: 336 p ; サイズ(cm):
出版社: Simon & Schuster ; ISBN: 0684801582 ; Reprint 版 (1995/07/01)別冊日経サイエンス () 意識とは何か
クリック & コッホ (著), (翻訳)
大型本: p ; サイズ(cm): 30
出版社: 日経サイエンス ; ISBN:
認知哲学―脳科学から心の哲学へパトリシア・チャーチランド
ポール・M・チャーチランド (著), 信原 幸弘, 宮島 昭二
単行本: 448 p ; サイズ(cm): 22
出版社: 産業図書 ; ISBN: 4782801114 ; (1997/09)
Neurophilosophy
MIT Press, 1986
V.S. ラマチャンドラン
V.S.Ramachandran
インド出身の神経科学者、神経内科医、phantom limbsについての研究で有名
脳のなかの幽霊 角川21世紀叢書ヴォルフ・ジンガー![]()
V.S. ラマチャンドラン (著), サンドラ ブレイクスリー (著),
V.S.Ramachandran (原著), Sandra Blakeslee (原著), 山下 篤子(翻訳)
単行本: 404 p ; サイズ(cm): 182 x 128
出版社: 角川書店 ; ISBN: 4047913200 ; (1999/08)(オリバー・サックスの著作を思わせる)多くの神経心理学的に興味深い症例を例示した、一般の人にも読みやすい良書である。所々に、他の研究者への著者の皮肉が散りばめられており笑いを誘う。最終章には意識についての論考が述べられている。
Ramachandran VS, Hirstein W.
The perception of phantom limbs. The D. O. Hebb lecture.
Brain. 1998 Sep;121 ( Pt 9):1603-30.
http://brain.oupjournals.org/cgi/reprint/121/9/1603.pdf
(上記リンクで論文のPDFファイルを読むことが出来る)Ramachandran VS.
Behavioral and magnetoencephalographic correlates of plasticity in the adult human brain.
Proc Natl Acad Sci U S A. 1993 Nov 15;90(22):10413-20
http://www.pnas.org/cgi/reprint/90/22/10413.pdf
(上記リンクで論文のPDFファイルを読むことが出来る)
J・アラン・ホブソン
Gray CM, Konig P, Engel AK, Singer W.
Oscillatory responses in cat visual cortex exhibit inter-columnar synchronization which reflects global stimulus properties.
Nature. 1989 Mar 23;338(6213):334-7.cf.最新脳科学―心と意識のハード・プロブレム Gakken mook―最新科学論シリーズ
Marck Baringa "the Mind Revealed?"
Science 249(1990) 856-8![]()
矢沢サイエンスオフィス
単行本: 250 p ; サイズ(cm): 26
出版社: 学研 ; ISBN: 4056015058 ; (1997/06)
ジンガーへのインタヴュー、およびジンガー自身による論考を含む。
The Chemistry of Conscious States: How the Brain Changes Its Mind
Little Brown & Co ; ISBN: 0316367540 ; (1994/11/01)
別冊日経サイエンス (134) 意識と脳![]()
J.A.ホブソン (著), 澤口 俊之 (翻訳)
大型本: 147 p ; サイズ(cm): 30
出版社: 日経サイエンス ; ISBN: 4532511348 ; 134 巻 (2001/06)
ペンローズ & ハメロフ
Roger Penrose & Stuart
Hameroff
ペンローズはサーの称号を持つ高名な数学者、ハメロフは麻酔科医
量子脳理論
(あまりに具体的な根拠がない仮説なので、お金と時間の余裕のある向学心に満ちた人向け)
皇帝の新しい心―コンピュータ・心・物理法則トノニ & エーデルマン![]()
ロジャー ペンローズ (著), Roger Penrose (原著), 林 一 (翻訳)
単行本: 536 p ; サイズ(cm): 210 x 148
出版社: みすず書房 ; ISBN: 4622040964 ; (1994/12)読み物としては興味深い本である。
心の影〈1〉意識をめぐる未知の科学を探る
![]()
心の影〈2〉意識をめぐる未知の科学を探る![]()
ロジャー ペンローズ (著), Roger Penrose (原著), 林 一 (翻訳)
単行本: 248 p ; サイズ(cm): 210 x 148
出版社: みすず書房 ; ISBN: 462204126X ; 1 巻 (2001/12)
単行本: 278 p ; サイズ(cm): 210 x 148
出版社: みすず書房 ; ISBN: 4622041278 ; 2 巻 (2002/04)
脳から心へ―心の進化の生物学
(Bright Air, Brilliant Fire: On the Matter of the Mind, 1992)
G・M. エーデルマン (著), Gerald M. Edelman (原著), 金子 隆芳 (翻訳)
単行本: 352 p ; サイズ(cm): 182 x 128
出版社: 新曜社 ; ISBN: 4788505193 ; (1995/05)翻訳が古めかしく若干読みにくい。
Tononi G, Edelman GM.
Consciousness and complexity.
Science. 1998 Dec 4;282(5395):1846-51.
ジョン・C・エクルズ
John C. Eccles
高名な神経科学者(ノーベル賞受賞者)
二元論
微小作用点仮説
microsite hypothesis
自己はどのように脳をコントロールするか![]()
大野 忠雄 (翻訳), 斎藤 基一郎 (翻訳)
単行本: 223 p ; サイズ(cm): 210 x 148
出版社: シュプリンガー・フェアラーク東京 ; ISBN: 4431708065 ; (1998/12)意識の認知科学―心の神経基盤 認知科学の探究
![]()
苧阪直行 (著), 日本認知科学会 (編集)
単行本: 234 p ; サイズ(cm): 210 x 148
出版社: 共立出版 ; ISBN: 4320094352 ; (2000/07)第9章にエクルズとFriedrich Beckの共著の論文を含む。
アダム・ゼマン
Adam Zeman
INVITED REVIEW "Consciousness"![]()
Brain(2001), 124, 1263-1289
Consciousness: A User's Guide
![]()
黒崎 宏 (翻訳), 米澤 克夫 (翻訳)
単行本: 348 p ; サイズ(cm): 22
出版社: 産業図書 ; ISBN: 4782800126 ; (1982/07)
マリオ・ブンゲ
M.Bunge
精神の本性について-科学と哲学の接点-![]()
黒崎 宏 (翻訳), 米澤 克夫 (翻訳)
単行本: 348 p ; サイズ(cm): 22
出版社: 産業図書 ; ISBN: 4782800126 ; (1982/07)一元論・二元論をそれぞれ5通り、計10通りの類型に分類。
その他の著者によるもの
ユーザーイリュージョン―意識という幻想![]()
The User Illusion: Cutting Consciousness Down to Size
トール ノーレットランダーシュ (著),
Tor Norretranders (原著), 柴田 裕之 (翻訳)
単行本: 566 p ; サイズ(cm): 182 x 128
出版社: 紀伊国屋書店 ; ISBN: 4314009241 ; (2002/09)ベンジャミン・リベットの研究について詳しく記載するとともに、その結果に対してのリベット自身や他の研究者、また著者の解釈を示しつつ、「意識」について検討している。また、「意識」の歴史についても概説している。しばしば過剰な解釈(言いすぎ)と思われるところもあるが、知的好奇心は満足させられる。最終章の16章「崇高なるもの」にはいささか面食らうが、、、
この本は自然科学系の話から始まり、「意識」を語り、それを引き継ぐ形で、人文科学系の話に流れ、果ては社会学系の話でまとめる、という奇妙ではあるが興味深い書物である。意識のなかの時間
エルンスト・ペッペル (著), 田山 忠行, 尾形 敬次
単行本(ソフトカバー): 251 p ; サイズ(cm): 20
出版社: 岩波書店 ; ISBN: 4000027719 ; (1995/12)
学術論文
Bereitschaftspotentials
運動準備電位
Kornhuber, H.H. and Deecke, L.
Hirnpotentialanderungen bei willkurbewegungen und passiven bewegungen des menchen: Bereitschaftspotential und reafferente potentiale.
[CHANGES IN THE BRAIN POTENTIAL IN VOLUNTARY MOVEMENTS AND PASSIVE MOVEMENTS IN MAN: READINESS POTENTIAL AND REAFFERENT POTENTIALS]
Pflugers Arch Gesamte Physiol Menschen Tiere. 1965 May 10; 284: 1-17.
Libet B, Wright EW Jr, Gleason CA.
Preparation- or intention-to-act, in relation to pre-event potentials recorded at the vertex.
Electroencephalogr Clin Neurophysiol. 1983 Oct;56(4):367-72.
学術会議
Association for the Scientific Study of Consciousness (ASSC)
上記はカリフォルニア工科大学が事務局になっている正統派のアプローチをとる学会。ツーソン会議それ以外により注目を集めているのが、現在アリゾナ大学のDavid Chalmers、Stuart Hameroff、Alfred Kaszniakらが事務局を務めているツーソン会議のグループがある。2年おきにアリゾナ州のツーソンで会議を開いている。また、その間の年には世界各地で会議を開いており、1999年には東京で開かれた。
1994
Toward a Scientific Basis for Consciousness "Tucson I" April 12-17, 19941996
Toward a Science of Consciousness "Tucson II" April 8-13, 19961998
Toward a Science of Consciousness "Tucson III" April 27-May 2, 19981999
東京2000
Toward a Science of Consciousness "Tucson 2000" April 10-15, 20002001
スウェーデン2002
Toward a Science of Consciousness "Tucson 2002" April 8-12, 20022003
チェコ
(ASSC)の学会誌としては、下記の2つ。上の雑誌の方が学術的なものである。2002年の6月特別号ではB.リベット(Libet)の所見についての特集がなされた。一方、下のフリーの電子ジャーナルは学際的な色彩の強いもの。
ツーソン会議の出している学会誌としては以下のものがある。書籍
リンク
Science And Consciousness Review
Google Directory
Society > Philosophy > Philosophy of Mind > Consciousness
Studies
日本の脳研究者で一番の知名度の人物は誰であろう。それは間違いなく養老氏である。そして彼がその力を発揮する場所は驚異的なベストセラーとしての本であり、時にテレビのなかである。(当然、国際学会会場ではない。コチコチのアカデミズムが良いというわけでもないが、、、)
本来なら、養老氏の学術的な立場(というか見解)からは隔たったアプローチを取っている著者の著作にについても多くの本に「監修者」として出ている。本によっては著者の名前より養老氏の名が大きく印刷されており、顔写真も養老氏のものしかなかったりする。出版不況のなか、神頼みならぬ養老頼みの苦境の出版社の状況は同情を禁じえないが、なにかがおかしいのも事実である。
彼の言説は、直球勝負の神経科学的・神経心理学的アプローチではない。いささかクセ球を投げてくる(だからこそ「面白い」のである)。でも、直球あってこそのクセ球なのである。
では、直球勝負のイデオローグ(イデオロギーではないけどね)たりうる人物はいるのか?と言われると、、、、
澤口氏は、研究者としては素晴しいのであろうが、時に科学者としてはあまり評価されない類の書物の共同執筆者になったりする。
それでもまだ脳科学関連の書物は、進化心理学のような悲惨な状況にまでは陥っていないといえる。ここで踏みとどまって欲しい。まあ、ここでも頼りになるのは、米国で活躍している神経学者の啓蒙書の翻訳に頼らざるを得ないのが実情なのだけど、、、
澤口俊之
多重構造理論
誰の「脳」が狂っているのか?
澤口氏の一部の著作に批判的なサイト
茂木健一郎
クオリア
茂木氏のサイトはとても充実している。
苧阪直行
実験心理学者
現時点において視覚の研究は、「意識」の研究において、もっとも具体的で説得力を持ちうるデータが期待できる分野である。苧阪氏は視覚と意識を研究テーマとしている。
意識の3階層モデル(同様の仮説はダマシオも提唱)
意識のワーキングメモリ・モデル(Baddeleyに多くを負う。Baddeleyによるワーキングメモリについての最近の総説ではWorking
memory: looking back and looking forward. Nature Reviews Neuroscience,
vol.4 Oct 2003, 829-839がある)
意識の認知科学―心の神経基盤 認知科学の探究![]()
苧阪直行 (著), 日本認知科学会 (編集)
単行本: 234 p ; サイズ(cm): 210 x 148
出版社: 共立出版 ; ISBN: 4320094352 ; (2000/07)苧阪氏編著による良書。オススメ。
意識とは何か―科学の新たな挑戦
![]()
単行本(ソフトカバー): 120 p ; サイズ(cm): 19
出版社: 岩波書店 ; ISBN: 400006536X ; (1996/02)大学生協で岩波書店の15%引きの時内容をあまり見ずに買って、後で奥付に著者が「心理学」専攻だと書いてあるのを見つけ、「失敗したか、、、」と正直思ったのだが、読んでみたらコンパクトにまとめられた良書でした。教養課程の90分ひとコマの授業のような感じの本。これは古い本なので、読むのなら同じ著者の近著をすすめます。
Neural Basis of Consciousness (Advances in Consciousness Research, 49)
Naoyuki Osaka (著)
ハードカバー: 211 p ; サイズ(cm):
出版社: John Benjamins Pub Co ; ISBN: 1588113396 ; (2003/01)
中田力
(新潟大脳研究所統合脳機能研究センター長。カリフォルニア大脳神経学客員教授兼務)
意識は「脳の渦理論(Vortex Theory)」で説明可能
意識について独自の仮説を立てていらっしゃいます、、、
腰原 英利
意識をつくる脳脳と精神の哲学―心身問題のアクチュアリティー
腰原 英利 (著)
単行本: 187 p ; サイズ(cm): 210 x 148
出版社: 東京大学出版会 ; ISBN: 4130602020 ; (1997/09)
著者は、まじめで(彼なりに)よく勉強されている。書店の店頭でパラパラと見たときは非常に魅力的な書物に思えた。しかし、自宅に戻って座って読み始めると、著者の論理的なつめの甘さや、文章からにじみ出る未熟さ(これでもかと頻発する)でげんなりしてくる。それでもなんか面白くまとめてある(ところも多い)。アンビヴァレントな本。
中原紀生氏による書評
SGCライブラリ 24
臨時別冊・数理科学2003年6月
脳の謎に挑む−ブレイクスルーへの胎動−
東京工業大学助教授 茂木健一郎 編著
B5判 / 168 頁 / 本体1829円
ISBNSGC-24 / 初版2003年5月