闇のてんから
闇のてんから
夕闇に聞こえる川の流れと虫の声。
てんから竿の先で聞こえるバシャッ、ゴポッ音。
岸辺に打ち上げられる、尺イワナ。
蛍、スイカ、蚊取り線香が懐かしい夏の情景。
闇のなかでは、呼吸で捉える手探りの釣り。
撃っては返す。
点から伝わる握りの鈍い重み抜き上げる。
月明かりの浮かぶ魚のあごが光る。
濡れ閉じた毛針をはずし、魚体を新聞紙に放り込む。
また、撃っては返す。
闇の不安に耐えながらてんからを撃つ。
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