POP MUSIC FOR SINGLE LIFE


(SEQUEL NEM CD 722)
The Jerry Ross Symposium
'69 '72にリリースされたアルバムを2in1でCD化



 肉体労働で体が滅茶苦茶疲れた時、欲しくなるマシンは「ナショナル モミモミ アーバンリラックス」。このマッサージ椅子に座ってビールでも飲んでりゃ、さぞかしラクになるだろう、なんでパソコン買う金あるんならモミモミ買わないんだ、と自分を責めることもしばしば。

 そんな椅子に座って、音楽を聴くならやはり、スピーカーはJBLのパラゴンとか、K2、アンプはマークレビンソンあたりのゴージャスな機械がイイなあ。とか。想像は膨らむばかりで実現は限り無くゼロに等しい生活を送る毎日です。

 想像するのは勝手なので、ついでにそんな物質文明を謳歌するようなセットで聴く音楽を考えると、取りあえず思い浮かぶのは「じぇっとすとりーむ」系のパーシー・フェイスとかマントヴァーニ、ポール・モーリアのからだを包み込むようなストリングスがウリのイージー・リスニング。こんな人畜無害の音楽をバカがつく程の豪華なオーディオシステムで垂れ流せばさぞかし贅沢な気分になれるかも。しかし、もう少し突っ込んで考えると、ソフトロックやフリーソウルの揺れるビートを通過して来た身としては、少しリズム的に野暮ったさを感じると思います。

 それでこのジェリー・ロスがプロデュースしたイージー・リスニングのアルバム2枚を1枚にカップリングしたCD。ジェリー・ロスはソフト・ロックファンにはスパンキー・アワ・ギャング、キース、ジェイ&ザ・テクニークスなどのプロデューサーとして、ソウル・ファンからはギャンブル&ハフの師匠として知られる人です。

 中身は流麗なストリングス、ホーンそして時より効果的に使われるコーラスが心地よく、しかもドラム&ベースも適度に動いて飽きさせず、非常に洗練された印象を受けます。古臭さを感じさせません。ポール・モーリア以上に、飛行機に乗っているような気分にさせてくれる音楽。

 収録曲にはショッキング・ブルーの「ヴィーナス」、トッド・ラングレンの「アイ・ソー・ザ・ライト」、スティーヴィー・ワンダーの「スーパー・ウーマン」などポップスのカヴァーが多いです。私が知らないだけで他にもいろんなカヴァーが入っていると思います。

 この音楽を「モミモミ」に座って、豪華なサウンド・システムで聴けたなら、物質文明万歳と心の底から叫んでしまうこと必至。

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