POP MUSIC FOR SINGLE LIFE

ソニー SRCS 6375
Harold Melvin&The Blue Notes
Bud Luck('75)
〜『To Be True



 不運が重なったり、やろうとしている事が上手く進まなかったり、失敗ばかり繰り替えしてしまう、そんな時は大抵音楽も聴きたくなかったりします。そんなとき慰めて呉れるような音楽を聴きたくなる方もいるでしょうが。

 オージェイズと並ぶフィリー・ソウルのコーラス・グループ=ハロルド・メルヴィン&ザ・ブルー・ノーツの上掲の曲は歌詞の内容などどうでもよく、とにかく格好いいと感じてよく聴いていました。アール・ヤングのドラム、ロニー・ベイカーのベース共にいつにも増して動き回り(だからといって当然崩れたりはしません)、二人のこれ以上激しいプレイは聴いた事がない程です。ギターのカッティング、サビの部分のコーラス、ホーンのコール&レスポンスもリズムに気持ちよく乗っかっている感じでこれがまた格好よく、その上でテディ・ペンダーグラスのバリトン・ヴォイスが炸裂しているという。そんな曲なです。

 歌詞の内容はタイトル、曲調からして「不運なこともあるさ、でもいつかいいことさあるさ」というものかと思っていました。しかし実際は「不運なことがあった、その理由は運がないからなのだ」というもので、全く救いがない内容のものでした。超強力ダンス・ナンバーで聴いていると誰もがリズムを体で取りそうな曲なのに。この歌詞の内容を聴きながら踊る人は全く妬けくそになっているとしか思えません。

 しかし歌詞の内容を知ってからは、辛いことがあった時などに、全身の力を抜いてダラっとした状態でこの曲を聴くと、「全くその通り」と思い、逆に気が楽になる効能が表れてきました。そういう自虐的な反応が、いいことなのか悪いことなのか分かりませんけど。とにかくフィリー・ソウルの中では最も格好いいと思う曲ではあります。

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