塩化ビニール汚染地帯を往く 第1回

 あるアーティストのある1曲だけ聴きたい。しかし、その為にベスト盤でもCD1枚分出費するのが惜しい。そんな経験はありませんか?例えばアルバート・ハモンドの72年のヒット曲「カリフォルニアの青い空」が急に聴きたくなった。しかし、その為に2000円前後もするCDを購入するのはいかに考えても無駄だ。みたいな。
 そんな時、アナログのシングル盤というのは重宝します。大ヒットした曲ならたくさん流通在庫もある訳で特にオリジナル盤とかそういうのにこだわらなければ、値段も手頃です。あと問題になるのが音のクオリティーという事になるのでしょうが。多少のスクラッチ・ノイズ(パチパチって音)を我慢してもらえば音が太くて(特に中低音)、逆に良い音と感じる事もあります。特にテープやMDに録音してカーステレオで聴くということであれば、尚更だと思います。それについて「やっぱりアナログ盤の方が音圧があって聴いていて気持ちイイよね」等と同乗者にウンチクをたれるという事も可能ですが、相手がどのような感情を抱くかは私の想像の範囲を越えているので分かりません。悪しからず。
 そんな訳でアルバート・ハモンドの「カリフォルニアの青い空」を通勤帰りのディ○スクユニオンにて発掘、210円(税込み)という缶ジュース2本我慢すれば、お釣が来る値段で購入しました(「例えば」、なんて書きましたが私事)。ジャケットを見てもらえればお分かりのように、日本盤のオリジナルでもなく、ヒット曲のカップリング(C/W「カリフォルニアへ愛を込めて」)で盤的には何の価値もなさそうですが、1曲聴いてみたいという目的であれば何の問題もありません。しかし、これ程魅力の無いジャケットも珍しいです。
 中身の方ですが、思っていたよりテンポが遅く、木管楽器が脳天気に入るイントロから脱力感120パーセントで、非常に隔世の感を抱かせました。現在のポップ・ミュージックへの影響力を微塵も感じさせない、ある意味では凄い曲です。でも、これから春を待つ間、寮の周りの田舎道のドライブのお供には丁度よさそうです。
 レーベルを見ていると共作者にHAZELWOODの文字があるのですが、ナンシー・シナトラのプロデューサーとして知られるリー・ヘーゼルウッドのことでしょうか?だとしたら少し意外な感じもします。リー・ヘーゼルウッドって何か不健康そうなイメージあるんですが、この曲は健康そのものですもんね。

・ジャケット写真 アルバート・ハモンド「カリフォルニアの青い空」(EPIC/ソニー ESPB-270)

汚染地帯インデックスに戻る

ホームページに戻る