実用書は実用的だ

我が家の台所兼食堂の隅に書斎コーナーがあって、今この文章を書いているノートパソコンと数冊の本が置いてある。ある日ふと、そこに並んでいる本がほとんど全部実用書であることに気付いた。考えてみると、実用書は必要に応じて何度も読み返すものだから、そういう手近な場所に置いてあるわけである。僕は何年か前にはカタイ本ばかり読んでいた時期もあるが、最近は実用書の方が実用的でエライと思うようになった。

まず辞書が何冊かある。辞書というのも、いってみれば実用書である。主に使っているのは、中学の時に国語の先生の薦めで買った「角川国語中辞典」と、一昨年第二版が出る直前に買ってしまった「リーダーズ英和辞典」である。どちらも大きくて重いが、重たい辞書というのは使っていて腕が鍛えられそうな気がしてくるところが良い。僕は純粋な知的作業はあまり好きではない。かといって、純粋な肉体作業もそんなに得意ではない。頭も身体も使う軽作業みたいなものが一番好きだ。実用書というものは大体そういう作業に関わっている。

「バイク・メンテナンス大百科」(ソニー・マガジンズ):バイクのキャブを直そうと思って会社の後輩に相談したら、「やめた方がいいですよ」と言いながらもメンテ本を2冊貸してくれたのだった。それを見ながらキャブをばらして掃除して、また組み立てたら一発でエンジンがかかり、腹の底からヨロコビが湧いてきたものだ。お礼に自作のビールを持って本を返しに行ったら、後輩は2冊のうち1冊を僕にくれた。それがこの本。二色刷りで地味だが、絵も写真も文章も判りやすくて良い。その後、この本を見ながらパンクの修理もやった。

「Macintosh PowerBook 2400 シリーズユーザーズマニュアル」:電気製品なんかの使用説明書も実用書の一種だが、読んでも面白い情報は少ないし、あまり役に立ったためしは無い。僕は今までに3台のマックを所有したが、どの機種のマニュアルもほとんど同じようなことしか書いてない。それだけマックの使用法に一貫性があるということか。

「山下達郎 ギター・ソング・ブック」:楽譜も実用的だ。この本を見ながら書斎コーナーの横にあるシンセサイザーを弾いたりする。最近キムタクのドラマでリバイバルした「Ride on time」も弾いてみた。僕は昔から気に入った曲があるとギターやキーボードでコードを解明しようとする習性がある。でもそれはものすごく手間ヒマがかかるし、どうしても解明できない部分が残ったりもする。楽譜を買ってくるとそういう苦労が全くなくてラクである。「奥田民生全曲集」でギターの練習をする方が多いが、ギターは書斎(2畳)に置いてあるので、「民生曲集」も書斎にある。

「趣味の園芸 作業12ヶ月(40)芝生」(NHK出版):最近の僕の趣味ランキング1位は芝生の管理である。この本を繰り返し読んで施肥、水やり、除草、刈り込み等の作業に勤しんでいる。芝生の管理は単純なようで実は奥が深い。

「初めての庭木」(大泉書店):我が家の花壇にはオリーブとメイプルの苗を植えてあるので、その手入れ(特に剪定)の方法を知るために買った。木の世話というのは芝生に比べると何もしないに等しい。

「ザ・スパイス」(大泉書店):たくさんの種類のスパイスとハーブの利用法が載っていて楽しい。スパイス・ティーやピクルスやカレーを作る時に参考にする。奥さんが庭で何種類かハーブを育てているので、それを料理に使う時にも役に立つ。

僕の生活は以上のような実用書に支えられて成り立っているわけです。

(03.5.25)