いいうんこしてます?

この前、育児をしているという男性が「子どものウンチの処理をしたら、自分で作ったカレーが食べられなくなって捨ててしまった」と書いているのを読んだ。「ウンチを処理したらカレーが食べられない」というと一見繊細そうだが、実はちょっと感性が大ざっぱ過ぎるのだ。要するにウンチとカレーという実体の異なるものが同じに思えてしまうのだから雑な感覚である。

ウンチとカレーは確かに見た目は似ているけれど、ものごとを見た目だけで判断してはいけない。勇気を出してカレーを食べてみれば、匂いや味によってそれはカレーでしかないということがわかる。それができないのは「これはウンチとは全然違うものなのだ」と想像する力に欠けているのである。想像というのは見た目にとらわれないために別の感覚を頼ることでもある。

うちでは食事中にウンチの処理をすることなんかしょっちゅうだけど、そんなの別になんともない。処理が済んだら手を洗って食事の続きをするだけだ。夫婦で子どものウンチの話をしながらご飯を食べていることもある。ウンチの具合は健康状態や発育の目安になるから、育児においては重要な情報である。子どもの表情とウンチを見れば大体のことは分かる。

生まれてから半年くらいまでの赤ん坊のウンチは臭くない。ヨーグルトのにおいである。その時期の赤ん坊はおっぱいかミルクしか飲んでいないから、ウンチの成分もヨーグルトみたいなものだろう。だから、ヨーグルトを食べる時に「ん? これは、赤ちゃんのウンチのにおいだなー」と思うのだけど、別にヨーグルトが食べられなくなったりはしない。それはヨーグルトであってウンチではないからだ。

赤ん坊が離乳食を食べるようになってくると、ウンチもだんだん固く、そして臭くなってくる。大きさも立派に大人みたいなのが出る。いいウンチが出るのは、いろんなものが食べられるようになって、しかもちゃんと消化できている証拠だから喜ばしいことである。いいウンチというのは心身が健康じゃないとできない。だから、浮浪雲は挨拶がわりに「おねえちゃん、いいうんこしてます?」と声をかけるのだ。

(98.10.3)