風邪の治療法 (97/12/1)


Merck  寒くなってくると風邪がはやりますね。ところで風邪になると皆さんはどうしてますか。風邪はほとんどの場合ウイルスの感染により起るもので、ウイルスに感染してしまったらそのウイルスを倒す抗体ができるまで安静にしているのが一番いいのです。以下はメルク・マニュアルに記述があった風邪の治療法(治療というよりは対策だが)の一部です。メルク・マニュアルはアメリカの医学辞典で、治療法としては世界のスタンダードなものが記載してあるとされています。確かに専門的で、内容の濃い本です。

「暖かで過ごし易い環境と感染を防ぐための対策が勧められる。熱、または急性の感染症状を呈している患者には家での休養が必要」
「解熱剤または鎮痛剤がよく使われるが、熱を下げる以外の効果は疑問である」
「アスピリンの使用は(中略)勧められない」
「アスコルビン酸(ビタミンC)または柑橘系ジュースの大量投与はよく素人が勧める治療法であるが、その有効性を示す科学的データは存在しない」
「抗生物質はウイルスには効果がないので、細菌性の合併症を発症しない限りその使用は勧められない(強調してある)(中略)むしろ不必要な抗生物質の乱用を助長するものである。」
これらを読んで今まで信じていた、または行ってきた治療法とまったく反対のことが書いてあると思いませんか?では、なぜ風邪で医者にいくと抗生物質を処方したりするのでしょうか。その方がもうかるからではないかと思います。現に民間の保険会社が治療内容を厳しく監視しているアメリカなどでは、風邪をひいたら医者には行かせず、家で栄養をとりながらひたすら休養をとらせるよう指導しています。ちょっと驚きますね。
 先日、娘がBCGのワクチンを接種されました。そういえばBCGって何の略だろう、と思ってやはりメルク・マニュアルをあたると、「Bacille Calmette-Guerin(牛型結核菌を弱めたワクチン)」と書いてあるが、何と「若年層に結核が蔓延している開発途上国(!)で使用されたが、アメリカではほとんど使われていない」と記されてます。日本は開発途上国並の結核発症率があるのか?いや、厚生省のパンフレットには「年間4万人を超える」、メルク・マニュアルには「アメリカで1990年に25,750例」。比較して顕著に多くはありません。
 みなさん、以前別の項にも書きましたが医療行政に関して我々は危機に瀕しているかもしれません。


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