映画横丁4丁目

「マラケシュ・エクスプレス」

 イタリア映画見た。「マラケシュ・エクスプレス」。これは「エーゲ海の天使」のガブリエレ監督の作品。「エーゲ海の天使」なんていうと、あくまでも美しく、ロマンチックで、女性が目をハートにしたいとき観る映画みたいなんだけど、ちがうんだな〜、これが。Sueは「エーゲ海の天使」のビデオを、友達の誕生日にプレゼントしたことがあります。「気合いを入れないで、ぼーっと観てね。」って言って・・・。みなさんも、ぜひ。
 そんなSueに、ガブリエレ監督ファンが「マラケシュ・エクスプレス」の存在も教えてくれた。これはロード・ムービー。
 学生の頃、サッカーやってた仲間たち、10年後にはみんなバラバラ。会うこともない。そうだよね。あのときはあんなに近くにいて、なぜか一緒で、あんなに親しかったのに、いつのまにか色あせた写真の中の思い出になってる。そんなもんです。ところが、ある日、突然、そんな旧友の一人にトラブルが・・・。
 マルコのところに、かわいい女のコが、やってくる。雨に濡れて・・・。ルディが大麻所持で刑務所に入れられた。出るにはお金が必要。なんと3千リラも!なんてドジなんだ。1sも持ってたんだって。昔から世話の焼けるヤツだったよ。だけど、そんなこと急に言われたって・・・。俺には自分の生活がある。だいたいヤツとは10年も会ってない。うん。ごもっとも。昔の友人より今の生活。これ、フツー。でも、それじゃ映画になんないよね。ってんで、旧友4人が集まって、金を届けに行く。
 案内人の誰かを入れて5人、乗用車に乗って、イタリアからマラケシュへ。  楽しいよ。しょっちゅう家族のところに電話するヤツ。ひたすら山にこもっていたというヤツ。車の下のパイプに金を詰めて、フランス、ギリシア、モロッコへ。なんと国境で先生が麻薬所持で捕まっちゃう。何やってんだよ、ポケットの中に入れとくか?だって、サルが・・・、あ〜、おかしいっ!!
 やっとたどり着いたマラケシュ。ほっと安心。みんなでトルコ風呂にでも入ろうぜ。はは。このシーンも楽しい。ところが、ここで大トラブル!!車紛失、金紛失!!こんなとこで、すってんてんで、俺達いったい、何やってんの???
 そして、彼らは砂漠を越える。チャリンコで。うっ。なんでチャリなの?らくだとすれ違うとき、あまりにもマヌケじゃん??
 そして行き着く先に見たものは・・・。
 肩の力を抜いて観ましょう。「エーゲ海の天使」にも「マラケシュ・エクスプレス」にも草サッカーシーンが出てきます。大人が夢中になってサッカーしてるの。楽しそうだよ、ほんとに。イタリア人ってサッカーが好きなんだね。
 悪人は出てきません。ううん、しっかり悪いことやってんだけど、かわいい。
 ふざけてばかりでもないんです。ほろ苦いシーンも、せつない場面も・・・。
こんな映画なかなか出会えない。刺激だけを求めている現代においては、一種のファンタジーといえるのかも。いいえ、メルヘンではありません、誤解なきよう。
 見た後、後味すっきりじゃなくて、なんとも言えない余韻がある。これがガブリエレ監督作品の持ち味です。ぜひぜひ味わってみて。戻る


Last update: 2000/10/23