第5章 スープとクッパと冷麺について

 第1節 スープは料理のいのち
  
   料理店にとってスープブイヨンをつくることは、調理の仕事の基本

  中の基本であり、手間がかかるからといって、ここの手を抜くようで

  は、良い店の評判を取ることは、至難でしょう。

   一口にスープといっても、用途により、店により作り方は多用にな
 
  ります。一般的にいうと、煮込む時間で、冷麺用、各種スープ用、コ

  ムタン用という具合に時間をかけていきます。

   ダシとりの具材で分けると、牛骨と鶏ガラ、1羽の丸鶏、牛スジ、

  牛ゲンコツぐらいになります。店それぞれの考え方があります。

   焼肉屋の代表的なスープは、ワカメスープ、野菜スープ、卵スープ

  ですが、洋食・中華でも似たようなスープがあります。味の違いがわ


  かりますか。胡麻油が決め手になります。韓国の料理の味付けベース

  は、胡麻油だということを覚えてください。

   お店にありそうなスープを説明すると、テグタンスープは牛のテー

  ルを煮込んでつくるスープです。また、鱈の味をいかしたりします。


  コムタンスープは、牛のテール・ゲンコツ・ハチノスから取った濃厚

  なスープ。ユッケジャンスープは、牛肉とナムルを煮込みコチジャン

  で辛味を付けたスープです。サムゲタンは高麗人参と鶏のスープです

  私の聞いた範囲だと、夏バテ予防の食事として、女性が食べるものと

  いうことでした。男性はどういうものを食べるかというと、ポシンタ

  ンです。中身の解説はしません。想像してみてください。

 第2節 ビビンバとクッパ
   
   ご飯の食べ方で、日韓の大きな違いは、使う道具である箸と匙の問

  題というこもできます。日本は、茶碗を左手に持ち、右手に箸を持つ


  食べ方。韓国は、茶碗を持たず、テーブルの上に置き、匙ですくいま

  す。これは、中国と同じ食べ方です。この辺の事情は、民俗学的にな

  るので書く必要はないでしょう。

   ビビンとは、混ぜるの意味で匙文化の韓国の典型的な料理です。ご

  飯に4種類ぐらいのナムルといりごま、もみのり、胡麻油をかけたら

  基本ができます。後は、入れる具材により○○ビビンバとなります。
   
   石焼ビビンバは、全羅道の名物料理です。石鍋の底にできるお焦げ

  がたまりません。最近は、これを出してくれる店が増えてきてます。

  食べ方に決まりはないのですが、添えられてくるスープを鍋に入れて

  少しむらし、白菜キムチを入れるかすると味が良くなる気がします。
 
   クッは湯、パッはご飯とが結びついたもので、日本風に言うと雑炊

  にあたります。スープのところで書いた種類のクッパがあります。
 
 第3節 冷麺について

   細かく言うと2種類あります。平壌(ピョンヤン)式と咸興(ハム

  ン)式があります。日本で親しまれているスープの入ったアッサリ味

  の冷麺は、ピョンヤン式といえます。始めから甘辛く味付けされてい

  るのが、ハムン式です。コチジャン主体のヤンニョンで食べるので、

  ピビン麺とも言います。

   麺の原材料は、小麦粉、じゃがいも澱粉、そば粉、片栗粉が用いら

  れてます。日本の麺とコシの強さの違いは、重曹を使うところにあり

  ます。日本の麺は、食塩を使います。良く似たものに、冷やし中華そ

  ばがありますが、これはカン水を使います。

   具材については、店により各種ありますが、ユッス(肉水)の取り

  方が味の基本を決定します。