第四章 美味しキムチは?

   ここの部分は、鄭 大聲(チョン・デソン)先生の文献の引用がほとんど
  です。「韓国家庭料理入門」、発行:農村漁村文化協会

 第一節 簡単な歴史

   記録で見ると、古くは3000年前の「詩経」にキムチ類のルーツ
  らしき記述がある。また、中国の「魏志東夷伝」にも記載があり、発
  酵食品を作っていたらしい。朝鮮の文献で記載が見れるのは、高麗時
  代(1200年頃)の詩集に醤油漬けや塩漬けについて記載がある。
   唐辛子は、コロンブスが新大陸で発見し、欧州を経由してアジアへ
  16世紀に伝わってきた。日本では1552年ポルトガル人によって
  伝来し、朝鮮には日本から秀吉の朝鮮出兵に付随して伝わったらしい
  1614年の「芝峰類説」では、「倭から来たので倭芥子と呼ぶ」と
  記載がある。しかし、すぐには普及せず、1700年ぐらいから定着
  していったようです。唐辛子の栽培方法が出てくるのは「山林経済」
  が初めてで、キムチに使用されるのは「増補山林経済」1766年か
  らです。
   キムチという言葉の由来は、李朝時代の「李朝実録」1409年に
  沈蔵庫(チムジャンコ)を設けたとある。冬にかめを埋蔵する方法、容器に
  野菜類を沈漬する方法などが沈蔵(チムジャン)につながったようです。そ
  の後、漬物を指す言葉に沈菜(チムチェ)が用いられ、これが訛ってキムチェと
  なり最終的にキムチとなったようです。
 第二節 キムチの魅力

  第一に乳酸発酵食品であり、ヤクルトと効果は違うが、腸内に入れば
    体内で効用を発揮しやすい。
  第二に唐辛子のカプサイシンが胃腸を刺激し、消化液の分泌を促す。
    また、野菜だから食物繊維が豊富に含まれている。
  第三にビタミンを多く含む。塩漬けでは野菜のビタミンは壊れるが、
    液汁に乳酸菌が増殖することで、野菜になかったビタミンが作ら
    れる。キムチではビタミンB1,B2,B12が多く作られる。
  第三節 キムチの種類

   キムチは100種類を超えると言われています。私のわかる限り
  紹介してみたいと思います。
  1.白菜キムチ(ペチュキムチ)は、キムチの代表である。1600年代に
    なってから葉の大きな白菜系の野菜が栽培され、1700年代に
    唐辛子が一般化して、盛んに漬けこまれるようになった。  
  2.包キムチ(ポサムキムチ)は、北朝鮮の開城地方で作られる独特な白菜
    に各種の詰め物をいれて漬けたもので、開城地方の名物である。
  3.大根キムチ(カクテキ)の最初は、李朝の正宗王(1776〜99)の夫人が大
    根に工夫を凝らし王の気に入り、宮廷料理として取り入れられ、
    その後民間へと普及していきました。
  4.チョンガキムチは、小さな大根のキムチ漬けです。独身男性がし
    ていた髪型と漬けた大根の葉の形がにていたことから、結婚しな
    い男をチョンガーと言うことの言葉の語源です。
  5.胡瓜キムチ(オイキムチ)は、水キムチ系で辛そうにしてありませんが、
    辛味は胡瓜に挟む大根で調整してあります。
  6.ニラキムチは、当然韮を使いますが、しっとりした味わいがあり
    想像するより臭いはきつくありません。
  7.カジキムチは、小ナスを漬けこんだものです。あまり辛くなく、
    韓国では珍しい部類です。
  8.水キムチ(ムルキムチ)は、白菜・大根はもちろんのこと、キャベツや
    胡瓜、せりなども加えます。二日酔いの荒れた胃腸には効果あり
  9.小松菜(プッペチュ)キムチでは、唐辛子を控えて、色合いを生か
    します。
  10.高菜(カッ)キムチでは、高菜ならではの味わいがあります。

  海産物を漬けこむ塩辛(チョッカル)も出す所もあります。
  1.チャンジャは、鱈の内臓を利用した塩辛で唐辛子風漬物です。
  2.オジンオチョッは、イカの塩辛のことです。当然唐辛子を塗してます。
  3.ミョルチチョッは、いわしの塩辛です。いわしの生ぐさみがとれて、意
    外に食べられます。
  4.クルチョは、牡蠣の塩辛です。見かけドロッとしてます。
  5.ケジャンは、渡り蟹を漬けたものです。