第一章 焼肉屋さんの肉って?
基本的な事ですが、調理人が肉のプロと思わない方が良いです。逆に良くこれで焼肉屋をして
いる。と思うような品揃えを平気でしている店や、輸入物ばかり扱い国産牛肉の扱いがわかって
いない店も、結構な確率であたります。
第一節 肉の種類
豚肉 −最近やや増加傾向(サムギョックル人気か)。利用肉の3%。
鶏肉 −目玉価格(モモ肉)で置いている店が多い。利用肉の3%。
内臓肉−牛・豚の内臓を利用する。利用肉の14%。
牛肉 −ご存じのとおり、焼肉のなかの王者。利用肉の80%。
第二節 肉の特徴
豚肉 −一般豚と銘柄豚と黒豚があるものの、あまり大きな味覚の差はない。ロース肉を味噌
付けで出すのが、大半であったが、バラを薄切りにてカリカリにして焼きあげるサム
ギョックルを出す店も増加している。
鶏肉 −ブロイラーでは、客がひけないと思っているのか、銘柄鶏や名古屋コーチンを出す店
があるものの、モミタレの味でせっかくの持ち味を、殺してしまっている店の方が多
いのは残念です。
内臓肉−内臓肉自体には、あまり味がないため、臭消しや味付けに味噌タレを揉み込むのが
一般的ですが、最近ではミノやホルモンに塩タレで提供する店が出てきだした。内臓
の食べ方が関東と関西では、大きな違いがある。関西は、もっぱら生で食べるのが
普通、関東ではほとんどが焼き。また、多種類があり各々が持ち味がある。なかでも
一番人気は、ハラミまたはサガリと呼ばれている横隔膜であろう。
牛肉 −輸入牛肉・国産牛肉・黒毛和牛肉の3つに大別されます。味の特徴は、肉色がやや濃
く淡泊な味わいの輸入牛肉、肉色は鮮紅色であるが、脂肪の味わいが薄い国産牛肉
(乳牛去勢牛)、肉にサシが入り芳醇で濃厚な味わいの黒毛和牛と言えると思います。
第三節 焼肉店でのアイテム状況
豚肉・鶏肉とも店のグレードにより、ある店とない店がある。客単価が高い店ほどこの手
の物はありません。逆に安い店ほど品揃えがあり、食べ放題系の店では焼き鳥・焼きトン
(豚の内臓)までも揃えている。
内臓肉のアイテムは、それこそ「ここまでやるか」というぐらいたくさんありますが、
関西の鶴橋あたりではあたりまえでも、関東になるとかなり難しくなります。代表的な内臓
の例をあげておきます。
・ホルモン−一般的には、大腸・小腸・直腸を総称していいますが、焼肉店でいう場合、
関東では腸内脂肪を除去した大腸をさし、関西では腸内脂肪を残した小腸を
さすのが普通です。関西でのテッチャンという場合、直腸(シマチョウ)
もしくは大腸をさすようです。
・ミノ−牛の第一胃、上物は根本の肉厚部分、並はその他の薄い部分。胃は、国産物より
輸入物の方が食感が良い。これは、牛が反芻動物のため草を食べないと胃が発達
しない事によります。国産は、途中で穀物飼料になってしまうため。
・ハチノス−牛の第二胃、胃壁が蜂の巣状になっていることから。煮物での消費が主体。
・センマイ−牛の第三胃、胃壁が黒く襞状にたくさん重なっていることから。酢味噌で
食べる刺身が多いが、焼き物でも良い。
・アカセン,ギアラ−牛の第四胃、赤い色して三胃に連続しているから。単独で出すよう
に最近なったが、昔はホルモンに混入していたりした。
・レバ−肝臓、焼いても生でも良い。刺身の場合、タレが関東はニンニク・醤油、関西は
塩・胡麻油で食べる事が多いようです。
・タン−舌、輸入牛<国産牛<和牛でレベルが高くなる。根本の部分が上物、タンサキに
なるほど固くなる。ほとんどが焼き物ですが、一部の店ではタンユッケなどを出
す店も出始めている。
・ハラミ、サガリ−横隔膜、輸入牛<国産牛<和牛でレベルが高くなる。現状で言うと
大半が輸入物、和牛になるとかなり貴重。
・テール−尻尾、スープの材料として有名だが、根本だけをスライスして食べる和牛の
テールは、なかなかの絶品です。
後は、ゲテモノ系になるため、焼肉店でもめったにおめにかかれません。私の書き込み
を参照して下さい。
牛肉は、ロースとカルビそれにヒレぐらいしかアイテムはありません。まあ、これを並
上・極上・特選などたくさんの等級で区分していきます。カルビという言葉は、朝鮮語で
肋骨のそばのあばら肉をさします。これがだんだん変じてバラ肉、そしてサシのある物を
言うようになっています。これは、関東・関西で差異が少ないです。ロースという言葉は
部位の名前が転用されていますが、関西ではそのとおり肩ロースが使われ、カルビ以上の
物が出てくる場合があります。関東は、都合良く言葉の意味を転化させ、サシのないもの
とか赤身肉のことであるかのようにして売っています。ヒレを売る店は、まだ圧倒的に少
ないです。見た目ロースと大差ないため、仕入単価と販売単価が逆転してしまうからです
し、ステーキハウスのように演出が出来ていないことなどからだと思います。