多文化共生教育研究集会2006の報告 (2006年2月18日 会場:福岡市立堅粕小学校)

「先生たちの熱心な議論━教育研究集会に参加して━」 報告:岩本 光弘

 今年も先生たちの研究集会が2月18日に開催されました。九州ネットも実行委員会から参加しており、当日は事務局メンバーも5名参加しました。
 多文化共生の分科会では、飯塚市の市立中学から飯塚に来た家族と二人の子どもたちを受け入れた経験が報告されました。
 飯塚市立第二中学には上の子どもが入り、小学校には下の子どもが入ってきました。スペイン語が理解できる先生がいないため学校では大変な苦労があったようですが、これからの多文化共生のための良い経験になったようで、フロア―からも小学校での経験が報告されました。
 福岡市壱岐中学校で語学学習の取り組みを長年している(加配教員)先生からも具体的な取り組みの報告が出されるなど、先生たちの熱心な議論がありましたが、6年前から参加しているこの分科会で一番熱心な討論があったと思います。今回の参加で強く感じたのは、外国籍の生徒・児童の指導を経験した先生が年々増えていることです。多くの地域で多文化他民族化が進んでいることの現れでしょう。
 九州ネットからは私たちが取り組んでいる政策提言について報告しました。私たちの政策提言にも関心を示してくれましたが、先生たちの意見をまとめる場があるのかという問題があるようです。
提言活動を聞いた先生から「福岡市では加配教師の存在があるのに、その他の地域では先生たちが苦労している。文部科学省の予算はどこに消えてしまっているのか」という質問が出されました。外国籍住民が多いのは県内でも都市部であり、この人たちの問題はクローズアップされていても、少数の外国籍住民しかいない地方都市では自治体も真剣に取り組もうとしていないのではないでしょうか。そのしわ寄せが飯塚の先生たちのような苦労になって現れているようです。これからも教育現場の先生たちの意見をもっと吸い上げ、県内での格差の解消についても取り組むような政策提言を続けていく必要を強く感じました。
 北部九州では自動車産業が進出していて、もうすぐ年間100万台体制に入ります。ところが部品の生産体制は50%しかないため、北九州市は部品メーカーの積極的な誘致活動を始めています。すでに苅田に進出している部品メーカーにはブラジル人労働者が入っています。今後の展開しだいでは多くの外国人労働者が流入してくる可能性があります。その時様々な問題も派生するのです。教育現場でもこのことに無関心ではいられないと思います。労働者が来れば家族が来て、子どもたちも一緒に来るからです。


〜当日のスケジュール〜

全体会 13:00〜14:00
 体育館にてステージ発表、各団体の展示と書籍、物品販売ステージ発表
 @九州朝鮮中高級学校民族打楽器クラブ「ミンタ」による公演 
 A夜間中学県内3校の代表生徒の語りと3校合同生徒・スタッフ合唱「故郷の春」「ふるさと」

分科会 14:15〜16:30

 第1分科会 差別と排外に抗して(歴史と現在)
 「福岡県における朝鮮人強制動員と遺骨の真相究明について」 強制動員真相究明福岡県ネットワーク
 「近くて近い国にしよう」〜すべての子どもの自己実現をめざして〜 田川市立伊田小学校 徳永靖彦

 第2分科会 多文化共生を求めて(多文化のこどもたちは今)
 「ペルーから来たYさん・Fさんへのかかわり」飯塚市立立岩小学校・飯塚第2中学校
 「福岡県・市への外国籍住民等への施策に関する政策提言について」移住労働者と共に生きるネットワーク・九州

 第3分科会 自主夜間中学公開交流会
 「出会いと学ぶことのよろこびを教室の仲間とともに重ねて」〜自主夜間中学「よみかき教室」10周年を前にして〜
    自主夜間中学「よみかき」教室運営委員会

 第4分科会 学校から地域へと広がる多文化共生教育
 「飯倉人尊協でとりくんだフィールドワークPARTU」〜筑豊そして韓国へ〜福岡市飯倉校区人権尊重推進協議会
   「在韓被爆者との出会いを劇に!」 北九州市立吉田中学校 竹中輝雄/北九州市立萩が丘小学校 福井房子

 第5分科会 ワークで学ぶ地球・世界
 「開発教育広場」からのワークショップ