要 請 状
南野法務大臣・福岡入国管理局長殿
2004年12月17日
移住労働者と共に生きるネットワーク・九州
連絡先 福岡市博多区美野島2-5-31 美野島司牧センター内
092-431-1419 FAX092-431-5709
共同代表 岩本光弘、(福岡県遠賀町)
コース・マルセル(福岡市・美野島司牧センター)
塚田ともみ(鹿児島市・ATLAS)
中島真一郎(熊本市・コムスタカ-外国人と共に生きる会)
1、退去強制手続きについて
@在宅での違反調査から審判部審査に移る前の仮放免手続きの際の保証金を取ることを廃止して下さい。
A子どもの収容を行なわないようにして下さい
B退去強制者が退去強制されるまでの収容期間を明確にし、できるだけ短期間の収容で帰国できるようにして下さい。
C被収容者の病気や体の変調に際して対応できる収容施設での医療ケア(精神的ケアも含め
て)の体制を充実させてください。
D通訳の必要な場合には通訳者を、また退去強制手続きの過程をわかりやすく説明した図表を多言語でつくるなど、退去強制に応じたくない場合には異議申し立てを行い、法務大臣への在留特別許可を申請できることを必ず理解できるようにしてください。
2、在留特別許可について
@日本人等との婚姻や日本人等との実子を養育していることなどを理由とする在留特別許可申請については現行の三審制を1回の審査で済むように改める等、増大傾向にある在留特別許可申請に対応して迅速に審査し、審査期間を短縮するように改善して下さい。
A在留資格のない外国籍の家族について、子どもが就学中の場合には在留特別許可により定住者の在留資格も認めるようにして下さい。
B入管法違反で収容され、退去強制令書発付に日本人等との婚姻届が受理された場合には、再審情願により法務大臣の裁決を見直し在留特別許可を与えるようにしてください。
3、定住者ビザへの変更について
@日本人配偶者との離婚や死別等により配偶者ビザから定住者ビザへの変更を希望するケースで、子の親権のない場合でも、子の面接を行うなど子との交流を続けているケースでは、定住者ビザへの変更が認めるようにしてください
A日本人配偶者との離婚や死別等により配偶者ビザから定住者ビザへの変更を希望するケースで、日本人配偶者等の在留資格で3年間の在留期間のビザを有し、日本での定住を希望する場合は、原則として定住者の在留資格への 変更を認めてください。
4、改正DV防止法の施行に伴う措置について
@外国籍のDV被害者に対して、夫と離婚成立前であれば日本人配偶者等の在留資格の更新を、離婚後であれば日本人配偶者等の在留資格から定住者の在留資格への更新を認めるなど、在留資格の付与を明確にしてください。
A在留資格のない外国籍のDV被害者で、入国管理局へ出頭し在宅で在留特別許可の審査を受けている場合に、自治体からの国民健康保険加入や生活保護の給付決定を行うための在留特別許可取得の見込みの問い合わせに対して、福岡入国管理局が、「在留特別許可により1年以上の在留期間のある在留資格(「定住者」・「日本人配偶者等」など)が与えられる蓋然性の有無」について回答するようにしてください。
5、人身取引の被害者について
外国籍の在留資格のない人身取引の被害者に対して、帰国を希望する場合にはすみやかな帰国の実現を、帰国を希望しない場合には、仮放免の弾力的運用や在留特別許可を付与するなど積極的な被害者保護を行うことを要請します。
6、2004年12月2日施行の改定入管難民認定法について
@難民認定制度ついて
(a)難民の認定基準を大幅に緩和して積極的に難民を認定するようにしてください。(b)難民認定の申請者に対して、審査中において収容施設に収容せず、在宅で難民の認定のための審査を行うようにしてください。(c)難民認定の申請者に対して、審査中においても申請者の住居・医療・教育・福祉・生活・仕事など人道的に配慮した施策を積極的に行うようにしてください。
A在留資格取り消し制度の創設及び出国命令制度について従来行われてきた上陸許可取り消し処分を廃止し、すべて在留許可取り消し処分として行うようにしてください。また、出国取り消し制度や在留許可取り消し制度の運用にあたっては、手続きの透明性や公正性を確保し、恣意的な運用をしないようにしてください。
B上陸拒否期間の見直しについて
上陸拒否期間内であっても、日本人等との婚姻や日本人等の実子がある場合などには、人道配慮を優先し、上陸特別許可を積極的に認めるようにしてください。
C「精神障害者」の上陸拒否事由の見直しについて、「精神障害者」を理由とする上陸拒否事由を全て削除してください。
D法務大臣にも、改定入管難民認定法に関する1-4の要望を伝えてください。
7.家族の結合の基準の見直しについて
@現行の入管難民認定法の定住者告示(1990年)では、「定住者の在留資格が認められるためには、」普通養子は「6歳未満」、再婚した配偶者の実子は「未婚・未成年」が要件として規定されていますが、家族の実態がある場合には、上記の要件を緩和し、「定住者」の在留資格を認めるようにして下さい。
A中国残留邦人の家族については、現行の入管難民認定法の定住者告示(1990年)に規定されているインドシナ難民と同様に、「普通養子」には6歳未満の要件をなくし、また、「その他の随伴する家族については、人道的に配慮する」という人道配慮条項を適用し、家族の結合の基準を緩和して下さい。
B日本人との子を国外で養育する外国籍親が、日本での子の国籍取得手続きや定住するため「短期滞在者」として来日している場合に、日本人親が身元引受人にならない場合にも、「特定活動」あるいは「定住者」としての在留資格を速やかに付与してください。
C出身国にいる年老いた親を呼び寄せ日本で一緒に暮らしたいと希望する外国人に対して、親が来日して子どもと一緒に日本で定住できるようにしてください。
8、収容施設での収容者の取り扱いについて
@裁判係争中の収容者、病気のある収容者、障害のある収容者、妊娠中の女性などに対して、仮放免を積極的に認め、収容施設ではなく在宅で暮らせるようにしてください。
A帰国意思がありながら、帰国費用がないため長期収容されている収容者に対して、速やかに国費による送還を実視するようにしてください。
9、意見交換会への入管の実務担当職員の出席を要請します
今年度の意見交換会は、昨年度同様福岡入管側の出席者が渉外調整官一人となりました。来年度以降、福岡入管と移住労働者と共に生きるネットワーク九州との意見交換会においては入管側出席者を渉外調整官だけでなく1998年から2002年までの意見交換会に出席していたように質問に関連する実務担当職員が出席して行わるよう要請します。