報告
第9回移住労働者と共に生きるネットワーク九州・総会
「しゃべらんね、かたらんね、外国籍住民との集い」
中島 真一郎  コムスタカ−外国人と共に生きる会


 2007年5月13日の、第9回移住労働者と共に生きるネットワーク九州・総会を兼ねた「しゃべらんね、かたらんね、外国籍住民との集い」には、熊本、長崎、福岡、久留米、大牟田、北九州等から70名を越える参加がありました。
 参加人数は、昨年5月の集いと同程度でしたが、外国籍と日本籍の比率が、昨年の4対6割から、6対4と、外国籍(15カ国)の参加者が多くなりました。

 当日は、進行が遅延してしまいました。まず、第一部の外国籍住民のスピーチが、一人あたり5分から10分の予定が、大幅に遅れて終了しました。依頼時には、5分程度しか話すことができないという人もいましたが、いざ口を開くと、話しが尽きず、大半が持ち時間を過ぎてしまいました。
 そのため、報告会の後、テーマを決めずに小集団に分かれて行う予定だった分散会を、「仕事」「家庭・教育」「在留資格」の3テーマに分けて分科会として行いました。
 これを、当初の1時半の予定を1時間に短縮し、さらに、最後に行う予定だった全体会を中止して、分科会までで終了しました。
 第一部のスピーカーの国籍は、ペルー4名、フィリピン2名と、中国、イギリス、ナイジェリア、アメリカ各1名と様々でした。性別は、女性5名、男性5名でした。報告発言内容も、生活、仕事、子どもの教育などと多様でした。
 在留資格については、定住者の在留資格の申請や更新の際に、日系3世などに限り新たに要求されている「無犯罪証明書」の取り寄せや在留特別許可取得の大変さが、日常的な暮らしの中で直面する差別については、例えば、ゴミ出し日以外にゴミが出してあったら、外国人である自分が疑われた、入居の挨拶を団地の人にしたら、「悪いことはしないように」と言われたなどの話が出ました。また、理髪店で、「うちは外国人の散髪はしない」と拒否された人もいました。
 さらに、11月から導入される予定の、入国外国人を対象とした個人識別情報についても発言があり、昨年以上に多面的な内容でした。
 昨年なかった発言としては、同国人同士の噂話、誹謗中傷などに傷つけられたり、足を引っ張られたりしたという外国籍のコミニテイ内部のことや、日本のNGOの中には、助けを求めても、住所や氏名だけ聞いて、その後何も連絡してくれなかったところもあったなどという、NGOのあり方への批判などがありました。
 特に印象に残った発言は、「外国で暮らすことは勇気のいること、その勇気のいることをみんなでしている」、「これまで、日本で実現できなかったことと、出来たことの違いは、途中であきらめてしまったか、人に助けや協力を求めたかによる違いだった」などでした。
 この集いが、外国籍住民にとって、日頃日本での暮らしの中で感じていることを、多くの人の前で語ることのできる場として定着すればと思います。さらに、こういった機会を通じて、国籍を越え、人として共感しあい、その共感を原動力として、具体的な行動を起こすことができたらと思います。