指紋押捺の復活?
日本に定住する外国人に対する法務省の在り方を問う!
マルセル・コース 美野島司牧センター
去年5月、新しい入管の法律ができました。この法律ができたため、外国人は日本に入国する際、指紋押捺や写真を今年11月から撮られることになります。在日韓国朝鮮人などの特別永住者や16歳未満の外国人などを除く全ての外国人(すでに日本に定住・永住している人までも!)が、日本に入る時、そういう扱いをされてしまうのです。それはテロ対策のためだそうです。
わたしは何年か前、在日韓国朝鮮人と連帯して外国人登録法の抜本的改正を求めて、長く戦いました。在日の人々は日本で生まれて、働いて、税金を払っているにもかかわらず、ひどい差別を受けてきました。在日の子どもたちは16歳になると、まるで犯罪者のように指紋を押さなければなりませんでした。そして在日外国人は、外国人登録証の常時携帯義務があり、日本国外に出た場合、自分の生まれた国「日本」に戻るために再入国手続きが必要です。
この指紋押捺撤廃の戦いの結果、指紋押捺の“亡霊”は、わたしたちの外国人登録の上からやっと消えたと思ったのに、これからいったいどうなるのでしょうか…。
人種差別は、お互いの文明、文化、宗教、イデオロギーなどの違いを認めず、お互いに傷つけたり、疑ったりして、尊敬しあうことができなくなる状況の中で生まれてきます。残念ながら、日本政府はその道を再び歩もうとしているようです。
わたしはカトリック神父としても、クリスチャンとしてもこの新しい制度がもたらすであろう差別に対して強く注意をするように呼びかける義務があると感じております。日本の方々と一緒にお互いを尊重し、人を大切にする社会、正義と平和に満たされている社会を築くように努めたいと思います。
今の政府は日本の歴史の中の醜い部分、例えば従軍慰安婦の存在などを否定しています。ヨーロッパでも“ショーワ”というユダヤ人の虐殺を否定する人々がいます。この人たちの否定的な流れと同じ歩みを日本の総理大臣もしているようです。この態度に対する国際社会の批判はとても厳しいです。
外国人であるわたしにとってこの新しい入管法は、外国人排斥のひとつだと思います。国際的に見て、日本政府の態度は大変恥ずかしいことです。差別を生み出さない法律を作るように政府に要望したいと思います。
今の日本社会の中で人種差別をなくすために戦っている大勢の人たち、被差別部落の方々、少数民族の方々、アイヌの方々、野宿者、薬物依存者や外国人労働者と連帯して真の人権が尊重される明るい社会を築くためにがんばっていきたいと思います。