分科会報告「労働」 福岡ゼネラルユニオン 川口英治

 A分科会は、「労働」をテーマに開催されました。参加者は15名ぐらいで「働くこと」をテーマに、外国人がおかれている差別の実態について報告や討論が行われました。
 出された意見を簡単にまとめると、以下の通りです。
・ 在日コリアンの立場から、韓国人や朝鮮人以外の外国人との交流を進めていきたい。
・ 外国籍住民のスピーチを聞いて、外国人が日本で暮らしていく上でのハンディーをつくづく考えさせられた。
・ 日本の労働者は法律によって強く守られているが、日本人でさえも十分認識がなく、外国人になるとその権利をまったく知らないのが実態だ。
・ 日本には、12万人の留学生がいるが、その内1万人が政府受け入れの留学生で、残り11万人は自費で来日し、働きながらの留学生活だ。実際、深夜まで働いている留学生は多く、出席率80%をクリヤーするために講義には出席するが、授業中に疲れて寝る生徒も少なくない。11万人のある意味での労働者について、勉強が出来るような援助を政府は検討すべきではないか。
・ 知人のアフリカ人が仕事を探しているが、肌の色で露骨な差別を受けている。スーパーのレジの面接に行ったら、日本人は肌が黒いとびっくりするから雇えないといわれた。
・ 外国人の労働問題に関しても、定住するための条件の整備や権利の拡充が大きな課題となってきている。
・ 例えば、外国人の90%は1年契約という不安定な雇用契約でしか働けない。大学の助教授クラスでも1年契約で、毎年秋になると次年度の雇用はあるのかが不安になりながら働いている。こうした環境を変えるため、団体交渉などが取り組まれている。また、少しずつではあるが、雇用制度が変わりつつある。
・ また、社会保険についても、数年前までは健康保険の制度よりもその金額が問題となっていたが、昨年から英会話学校や大学などに社会保険制度の整備を要求する取り組みに変わった。

 今回は、福岡県国際交流課の方の参加もあり、充実した分科会となりました。働くことは、生活の基盤です。しかし、外国人が安心して働く環境を整えるには、労働組合だけではなく、幅広く市民の協力と理解が必要であり、そのためには多くのNPOやNGOとの連携が必要となっていくでしょう。また、自治体との連携は不可欠であり、福岡市職員の方の参加や、福岡県から参加があったことは、今後の取り組むべき方向を指し示しているように思えました。


 分科会報告「家族・教育・文化」  早瀬孝子

 B分科会参加者は、外国人12名(フィリピン6人 ペルー2人 スリランカ・イギリス・アメリカ・フランス各1人)、日本人16人の合計28人でした。

@年老いた親の介護のあり方
 まず、全体会で言い足りなかった思いをペルー人女性が「私は日本で一緒に暮らしたいのに入管は、独身の妹をペルーに帰らせて面倒を見させろと言う」と語りました。これに対しフィリピン女性からも「日本では年寄りの一人暮らしが多い。フィリピンでは一緒に暮らすのが当たり前。冷たいなあと思う」と発言があり、分科会は「日本の高齢者問題」にまで及びました。
まとめとしては、アメリカのように永住ビザがあれば母国から親を呼び寄せられるようにするには、「なぜ日本はだめなの?」と言う問いかけではなく「どうしたらよいか」を具体的に提案していく姿勢が必要であり、日本人側も外国人を「労働力」とだけ見るのではなく、「家族を抱えている一人の人間」として日本での共生方法を考えていくべきとなりました。

A日本社会で生きていくためのキーワード
 来日して10年以上になるフィリピン人女性が「初めは、日本の社会・風習に不満が多かったが、長く暮らすうちに日本の社会はこうなんだ。人に迷惑かけなければ私の生き方でいいのだ、と悟ってから生きやすくなった」
 と語られました。ペルー人女性も「外国人は雇った事が無い、」と躊躇していた会社側に、ハローワークが「この人は2級免許を持っています」と助言してくれたことで採用が決まったことを発言。「町内行事にもどんどん顔を出す。こどもの友達の親にも自分から関わる。これで信頼が生まれる」と積極的に日本社会で生きていこうとアピールされました。
まとめとしては日本で生きていくには「信頼」と「仕事に必要な資格」のふたつがキーワードのようです。

Bこどもをめぐる教育
 全体会で「信徒であることからくる悩み」を語られたフィリピン人女性が日曜日のミサと、子供の所属しているスポーツクラブの試合時間が重なる事で悩んだが、信仰の異なる日本人の夫の理解、スポーツクラブの理解の中で、子ども自身も日曜のミサに参加できていることを話されました。また、別のフィリピン人女性からは、中学生の娘が学校で男子から差別発言され、ショックで3日間休んだ時、自宅に相手が親子3人で来られ涙を流して謝罪されたこと、翌日から子ども同士仲良くなったことの報告もありました。
 私自身、福岡市の小学校教員です。この中学の担任の先生が2家族の間に立って適切に行動されたのだと推察しました。1時間半があっという間に過ぎ、「来年もこんな会を持ちたいね」と語り合えた分科会となりました。